中国の食材を駆使して健美の広東料理を提供
【カントニーズ 燕 ケン タカセ】高瀬 健一氏中華
中国料理のなかでも、特に親しみやすいといわれている広東料理。東京ステーションホテルの地下1階に、香港の本格的な広東料理が味わえる、【Cantonese「燕」KEN TAKASE】がある。料理長の高瀬健一氏は、日本の広東料理を牽引する料理人のひとり。菜食健美をテーマに、本場の世界観を伝えるべく、日夜奔走する高瀬シェフのヨコガオに迫った。
中国の食材を駆使して健美の広東料理を提供
中国料理のなかでも、特に親しみやすいといわれている広東料理。東京ステーションホテルの地下1階に、香港の本格的な広東料理が味わえる、【Cantonese「燕」KEN TAKASE】がある。料理長の高瀬健一氏は、日本の広東料理を牽引する料理人のひとり。菜食健美をテーマに、本場の世界観を伝えるべく、日夜奔走する高瀬シェフのヨコガオに迫った。
2012年にリニューアルした東京ステーションホテルの地下1階にある、カントニーズキュイジンヌの【Cantonese「燕」KEN
TAKASE】。美容と健康、アンチエイジングをテーマにした料理の数々は、盛り付けもフレンチのように洗練されていて美しく、連日、多くの女性客が訪れている。
料理長の高瀬健一シェフは、日本の広東料理を牽引する料理人のひとり。もともと四川料理から始めた高瀬シェフに転機が訪れたのは24歳の時にキッチンの仲間と香港へ行ったときのことだった。
本場の料理と日本で食されている広東料理の大きな違いに衝撃を受けた高瀬シェフは、舌で覚えた味を頼りに、香港を訪れては本場の広東料理を食べて味覚を磨きつつ、独自に料理の探求を始める。その後29歳で上京し、舞浜のシェラトンホテルや台場の日航ホテルなど、首都圏のホテルを中心に11年ほど修業を積みながら、一方では都内近郊の中国料理を食べ尽くした。
40歳の時にマンダリンオリエンタル東京にあるカントニーズダイニングSENSEの初代料理長に就任し、都内にあるほとんどの中国料理店を食べ尽くした時、「東京の中国料理は何か物足りない」と思うようになる。
香港やマニラへと足しげく通うことで感じた、「日本の中国料理は他国に比べて遅れているのかもしれない」という感覚。当時、料理長をつとめていた香港では、エビのマヨネーズソースが人気を博していた。「何かちょっと他と違うもの、でも、今の時流にのっている料理を生み出すことはできないか」。そう思い立ち、試行錯誤を重ねて作り上げたのが、『車エビのマンゴーマヨネーズソース 卵黄抜きヘルシースタイル リーフサラダ添え』。通常、マヨネーズには卵黄を使用するが、このソースには卵黄が使われていない。サッパリとコクを出すためにマンゴーのピューレを添え、最後にピスタチオでアクセントを添える。
薄い衣で表面はパリッと揚げ、甘めのマンゴーソースを絡めたエビは、プリプリとした弾力とソースとの絡みが絶妙な仕上がり。この料理は瞬く間に人気メニューの一つとなった。
このようにして、高瀬シェフがこれまで独自に研鑽を重ねてきたことが実を結び始め、マンダリンオリエンタル東京では3年目以降、4年間ミシュランの一ツ星を獲得し続けた。
そして2012年の10月、これまで蓄積してきた知識や技術のすべてを生かし、新しく誕生した【Cantonese「燕」KEN
TAKASE】の料理長に就任。「ヘルシーで栄養価の高いものを食することで、若々しく健康的な心身を保つ」をコンセプトに、天然のコラーゲンや干しアワビ、浮き袋、ナマコといった四大乾貨、鮮度と季節にこだわった野菜等をふんだんに使い、本場の世界観を伝える、新しい広東料理を生み出し続けている。香港で食べた広東料理の味に衝撃を受け、以来、常に自己研鑽を続けている高瀬シェフの挑戦は、始まったばかりだ。
これまでの料理人経験のなかで、最も影響を受けた料理人。それは、元マンダリンオリエンタルホテルの調理長だった、ジョセフ・謝(ジェ)氏だ。
常にグローバルな視野を持ち、広東料理を探求してきた高瀬料理長。休みには現地へ赴き、盛り付け方や、現地の最新情報などを探求している。一時は杭州で子豚の焼き方を教わったこともあるとか。
香港にあるすべてのホテルを食べつくし、独自に研究を重ねてきた高瀬料理長に、ジョセフは広東料理に欠かせない4大乾貨と呼ばれる干しアワビ、ふかひれ、ナマコ、浮袋といった食材の見極め方や使い方まで、乾貨に関するすべてを教えてくれたという。幻のスープ『ファッチューチョン』も、こうした教えがヒントになっているといえるだろう。
撮影/大鶴 倫宣 文/ヒトサラ編集部
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