インドネシアの家庭料理 ~故郷の味を伝える~
【チャベ 目黒店(cabe)】アグース・ウィアント氏アジア料理
インドネシアに魅了された日本人だけではなく、日本に滞在する多くのインドネシア人が訪れるという【チャベ 目黒店】。インドネシアの家庭の味を丁寧に届けるのが、【チャベ】のスタイル。笑顔が絶えない明るい厨房で、シェフ・アグース氏のヨコガオから温かいハートを感じた。
インドネシアの家庭料理 ~故郷の味を伝える~
インドネシアに魅了された日本人だけではなく、日本に滞在する多くのインドネシア人が訪れるという【チャベ 目黒店】。インドネシアの家庭の味を丁寧に届けるのが、【チャベ】のスタイル。笑顔が絶えない明るい厨房で、シェフ・アグース氏のヨコガオから温かいハートを感じた。
「インドネシアの本場の味、自分が小さい頃から味わってきた、母のつくる温もりにあふれた優しい味を伝えたい」。
【チャベ】の料理には、そんな「シェフの思い」が詰まっている。
【チャベ】の料理の要となっているのが、さまざまな料理のベースとなるブンブだ。ブンブとは、インドネシアの豊富なスパイスを活かしたペースト状の調味料である。スープに用いられるブンブソト、炒め物に使われるブンブバリなど種類は豊富で、それぞれの料理に合ったブンブをつかい分けることで、料理を個性的に変えている。料理のベースとなる重要なものだけに、3時間以上もの時間をかけてじっくりつくられることもあるという。
そのように手間ひまがかかることから、インスタントのブンブが日本でも流行しているが、【チャベ】ではオープン当初から「手作りのブンブ」にこだわってきたのだ。素材をすり潰し、色が変わるまで丁寧に炒めてミキサーにかける。そしてハーブを加え、また炒める。毎日つくるもの、一週間に一度まとめてつくるもの、どんなブンブも必ず一から手づくりで仕込んでいく。
「ブンブによく使う、玉ねぎにもこだわっています。新玉ねぎではなく、ひね玉ねぎのみを使うんです」甘みがあり、実が柔らかいことで好まれる新玉ねぎは、水気が多いため料理のベースとなるブンブには不適切。それに比べてひね玉ねぎは、インドネシアで多く使われる赤小玉ねぎと同様に水分と甘みが少なく、スパイスの味が引き立つのだ。本場の味へのこだわりが、こんなところにもあらわれている。
シェフの思いが詰まった自家製のオリジナルブンブは、シェフ自慢のフライパンさばきによって、軽やかかつダイナミックに食材と合わさり、日本人の口にも合う、柔らかく優しい味わいになっている。
【チャベ】のイチオシメニューとなるのが、ターメリックで色づけし、ココナッツミルクで炊きあげた黄色いご飯に、数種類のおかずが添えられた『ナシクニン』だ。オープン当初からメニューに入っているという『ナシクニン』は、インドネシアでは祝い飯として、結婚式、出産、誕生日のときなどにつくられる。
おかずの数や種類に決まりはなく、シェフのバラエティ豊かなラインナップのなかから、実際に来店されるお客様の年齢や好みに応じて一皿ずつおかずを決めていくそうだ。
定番なのは、大豆をテンペ菌で発酵させたものに、小魚やピーナッツを混ぜ合わせた『テンペテリ』。黒砂糖を使い甘辛く味付けされ、日本で言うふりかけのようにして食べるとご飯が進む。
そして、祝い飯だからこその華やかな見た目も、『ナシクニン』の魅力のひとつだ。「時間があれば、もっとカービングの勉強をしたい」バナナの葉で作られた飾りは、自ら自宅で編んだもの。そしてタイ料理でよく見かけるカービングされた野菜は、タイフェスティバルで見かけ、みようみまねで始めたという。毎年1本ずつカービング用のナイフを買い足し、カービング技術を磨いているそうだ。おかずだけでなく、デザインにもこだわって作られる『ナシクニン』。特別な日の、思い出に残るような一皿を目指しているという。
アグース氏が、長い料理人生の中で感銘を受けたというのが、現在ともに料理をつくる【チャベ】のチーフ・スタミ氏だ。笑顔を絶やさず、愛情に溢れた母のような振る舞い。インドネシアの味を伝えようという強い思い。そして、何よりも新たな手法にも努力を惜しまずチャレンジする、真摯な姿勢を尊敬しているという。
そんなスタミ氏の根底にあるのが「料理が好き」ということ。インドネシアの家庭の味に、優しい手で加えられる「新たな手法」というスパイス。愛のこもったスパイスを隠し味として加えた、新鮮かつ魅力的な料理で、インドネシアの多彩な美味を披露する。アグース氏の伝統への愛と、スタミ氏のチャレンジ精神が合わさって、はじめてできあがる【チャベ】の一皿。本場ならではの充実の旨みを体験したい。
撮影/永友 啓美 文/ヒトサラ編集部
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