





庄内の食材を愛する
地産地消イタリアンの第一人者
【アル・ケッチァーノ】 奥田 政行氏 イタリアン
山形・庄内の食材にこだわり、地産地消のリーディング・シェフの一人となった【アル・ケッチァーノ】の奥田政行シェフ。日本の食材を使いながら、イタリア・スローフード協会からも世界の料理人に選出されるなど 本場からも認められる天才シェフが見つめる、料理とは、料理人像とは?
庄内の食材を愛する
地産地消イタリアンの第一人者
山形・庄内の食材にこだわり、地産地消のリーディング・シェフの一人となった【アル・ケッチァーノ】の奥田政行シェフ。日本の食材を使いながら、イタリア・スローフード協会からも世界の料理人に選出されるなど 本場からも認められる天才シェフが見つめる、料理とは、料理人像とは?
――まず、奥田シェフが、地産地消にこだわるようになった経緯に関して、改めて教えて下さい。
26歳のとき、山形に戻って仕事を始めたのですが、美味しいものを探したら、地元にあったということです。でも、東京でフレンチやイタリアンの修行をしていた若かりし頃は、「本場の味」という呪縛に縛られていました。だから、店に日本の食材や地元である山形・庄内の食材が入荷されても、美味しいかどうかの確信は持てませんでした。そもそも日本の野菜の特徴は瑞々しくて香りがあることです。それは、イタリアンやフレンチでは、デメリットになります。本場の水分の少ない野菜を活かす調理法では、水々しいではなく、水っぽくなってしまいます、でも、実際に庄内の食材を美味しいと思う自分がいるわけです。それをイタリア料理として活かす方法を必死に考え、欠点を長所に変える方法をひとつひとつ見出していきました。そのころはまだ「地産地消」という言葉が一般的ではなかったので、「地場イタリアン」と呼んでいましたけど。
――奥田シェフの特徴の一つとして、生産者の名前をメニューに付け、彼らをリスペクトするスタンスがあります。
飲食店をやっている醍醐味は、すべての人の気持ちが一つになることです。お客様はもとより、調理、サービス、そして生産者の方々も気持ちが一つになったと感じる瞬間があります。なので、当然、生産者の方々もスタッフの一員だと思っています。それには、適正な価格で食材を購入することも大切です。例えば、農業で年間400万くらい稼げるならば、大卒の初任給に比べても遜色はないので、農業を継ぐ若者が増えると思います。そういった状況をつくっていく責任が自分にはあると感じています。私自身も、いくつかの店を直接経営したり、プロデュースしていますが、彼らの販路を広げるという意味合いもあるのです。
――実際、奥田シェフは、現在では日本各地にいくつかの店舗を抱えています。マネージメントの方法論はあるのでしょうか。
私の考えとしては、共通している部分と変化をつける部分を両立させることです。共通しているのは、席数です。座席数を揃えれば、スタッフが違う店に移っても、オペレーションに大きな違和感は生まれません。一方で、変えているのは、提供する料理のコンセプトです。各店舗、味は違います。たとえば『アル・ケッチァーノ』は食材を薄味で生かすのに対して、『イル・ケッチァーノ』は伝統重視です。お客様にとっても、様々な味が堪能できて楽しいでしょうし、実はスタッフにとってもメリットがあります。料理人は「わかる人にだけわかってもらえればいい」と「皆にわかってもらいたい」という相反する気持ちに揺れ動くものです。ならば、成長過程において、どちらの欲求もある程度叶える場を用意しておき、若い料理人を育てていくことも使命だと思っています。ある料理人が今働いている店と気持ちがマッチしていないなと感じたら、違う店に異動させます。そうすることによって、目の前の仕事に打ち込める環境をつくることには気を使っています。
――確かに、ものをつくる仕事に就く人は、自分の道を究めたいという気持ちとすべての人に愛されたいという気持ちで揺れ動くという言います。
料理人にとって、次に来るターニングポイントは、快楽的な料理を目指すか、精進的な料理を目指すか、です。ただ、快楽的な方向で、誰もが美味しいという料理をつくることはそんなに難しいことではないんです。脂の乗った食材を使って、少し焦げ目をつけて香ばしさを出し、2皿で飾りきる。それがある種の黄金律です。けれども、それを面白いとは思わないので、私は精進的な方向に進んでいます。食材のひとつひとつが持つ、小さなつぶやきに耳を傾けながら、その持ち味を最大限に生かした料理を追求したいと思っています。そんな「未完成の完成」のような方向に興味があるんです。
――そんな奥田シェフが、この先に見据えているのは、どんなことなのでしょうか。
イタリアンやフレンチというジャンルは正直どうでもよくなってきていますね。突き詰めていくと、料理のジャンルは重要じゃなく、もうその人ひとしかつくれない料理になっていくのだと思います。成澤由浩さんも、自らの店から「フレンチ」という冠を外しましたよね。その気持ちは、よくわかります。
さらに言うなら、食べ物ですべての人を幸せにするということです。実は、すべての人ではなく、「日本の人を」と言っていたのですが、アメリカに行ったときに、ポール・ボキューズでも研鑽を積んでいた料理人に叱られまして。「そんなちっちゃな夢じゃダメだ、料理とは、すべての人を幸せにできるのだから」と。アメリカ人らしい大味な言い方だと笑うこともできるのですが、それを言われたときには全身を撃ち抜かれたような衝撃をうけまして(笑)。それができる立場にいるのならば、そのくらい大きな目標を持ってもいいと思います。
撮影/志賀真人、大鶴倫宣 文/ヒトサラ編集部(2014.8.14取材)
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