郷土料理を成熟させることで
名店を築いた三代目
【御料理 柳家】 山田 和孝氏 日本料理
秋冬の熊や猪、鹿をはじめ、夏の天然鮎や天然鰻、秋のきのこと、季節ごとに地の食材を提供する【柳家】。岐阜県瑞浪市街から、車で約30分の立地の郷土料理店でありながら、日本で最も注目される名店の一つになるには、どんな秘訣があるのか。三代目のご主人、山田和孝氏のヨコガオに迫りました。
郷土料理を成熟させることで
名店を築いた三代目
秋冬の熊や猪、鹿をはじめ、夏の天然鮎や天然鰻、秋のきのこと、季節ごとに地の食材を提供する【柳家】。岐阜県瑞浪市街から、車で約30分の立地の郷土料理店でありながら、日本で最も注目される名店の一つになるには、どんな秘訣があるのか。三代目のご主人、山田和孝氏のヨコガオに迫りました。
――【柳家】には、長い歴史があるそうですね。
来年、創業70年を迎えるのですが、現在のスタイルになったのは、先代の頃。それまでは日本料理を提供するというスタイルだったのですが、新しいことを模索しなければ立ち行かなくなったと聞いています。その際に、あえて、古い伝統的な郷土料理を選んだわけです。隣の山岡町にあった安政時代に建てられた古民家を移築し、地域で獲れたものを囲炉裏で提供する。そんなやり方を始めたのですが、熊、猪、鹿などは、ゲテモノに近いイメージをもたれていることもありました。
――それが今では、日本でもっとも注目される名店の一つです。
それは、フレンチやイタリアンの方が積極的にジビエを使い、お客様に浸透してきたことが大きく影響していると思っています。そのおかげで、私たちも野生の鳥獣の肉を出しやすくなりました。その美味しさを知ったお客様が、『あ、日本にもあったんだ』と日本の食文化を再発見して頂けた結果ではないでしょうか。
――郷土料理をやっていても、実は欧米文化に密接に関係しているんですね。
そうですね。以前、名古屋の方がアメリカからのお客様に日本の文化を見せたいと来て頂いたときのことが印象的です。うちは表札も出していないので、かなり迷ってしまったようで、ホストの方は少しナーバスになっていたのですが、そのアメリカのお客様は、『美味しいものがあるところに時間をかけて行くのは、苦労ではなく、楽しみだ』というようなことをおっしゃっていたんですね。ミシュランの三ツ星のお店が、田舎にぽつんとあったりするように、欧米では確かにそういう食文化があります。そういった言葉の一つ一つに励まされてきましたね。
――多くのメディアで、【柳家】は知る人ぞ知る名店と評されていますが。
お客様に恵まれたということは常々感じています。こんな都心から離れたところまで、わざわざ足を運んでくださるわけですから。もともとは同業者や好奇心が強い食通の方々に支えられてきたのですが、その後、インターネットが普及したことによって、客層が広がったということはあると思います。いわゆる著名人だったり、会社経営をされていたりと、そんなエグゼクティブな方々が増えてきたのも、ここ数年のことです。ただ、冷やかしで予約されてドタキャンだったり、来店されなかったりという、よく言われるネットのデメリットをこうむっていないことが私たちにとっては重要です。やはり都市からの距離の問題もあるのか、ネットから知って頂いたお客様も、勉強熱心な方が多いですし、有り難い限りです。
――そういった食通のお客様を満足させるのは、簡単なことではないと思います。
料理に関しては、秋冬の熊や猪、鹿などのジビエにしろ、夏の鮎や鰻にしろ、どうすれば美味しく食べられるかという長年のノウハウがあります。これらの食材は、誰もが美味しく料理できるものではありません。〆方などの処理や仕込みのやり方によって、味が全然違います。サービスに関しては、基本的なことですが、どなたも分け隔てなく接するということです。それがかえって田舎の料理店としては良いのかもしれません。料理を召し上がっている3時間の間、現実を忘れて、『昔の実家がこんな家だったなぁ』と懐かしい時代を思い出してもらったり、田舎らしさを楽しんでいただければ、それで十分だと思います。
郷土料理を末永く残したいという気持ちを抱いて私たちはやっていますが、先ほどの海外の感覚が浸透してきたということも含め、お客様の関心が何回転かして、こういった文化を楽しんでくれる方が増えてきた実感はありますね。
撮影/久保 尚子 文/ヒトサラ編集部(2015.7.8取材)
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