めでたさの象徴鯛
「めでたい(鯛)」縁起ものとして食膳を飾る「鯛」。この喜ばしい魚は春に旬を迎えます。食材としても“万能”で、刺身や煮物、蒸し物、鍋物など、多彩な料理でその魅力を発揮します。今回は都内人気店が提供する『鯛めし』、『甘鯛のウロコ焼き』、『真鯛のカマのフリット』の3品をご紹介。春の訪れを感じさせる「鯛」の滋味を存分に噛みしめてみましょう。
「めでたい(鯛)」縁起ものとして食膳を飾る「鯛」。この喜ばしい魚は春に旬を迎えます。食材としても“万能”で、刺身や煮物、蒸し物、鍋物など、多彩な料理でその魅力を発揮します。今回は都内人気店が提供する『鯛めし』、『甘鯛のウロコ焼き』、『真鯛のカマのフリット』の3品をご紹介。春の訪れを感じさせる「鯛」の滋味を存分に噛みしめてみましょう。
【麻布 秀】東京・麻布十番
旬の素材の旨さは、シンプルな調理法で堪能するのが贅沢というもの。鯛料理の王道といえる『鯛めし』は、鯛を丸ごと入れた炊き込みご飯。鯛と米は、互いの良さを引き出し合い、格を一段引き上げる組み合わせです。一粒一粒にうつった鯛の旨味が口中に広がる幸せを、ゆっくり噛みしめるのがこの料理の楽しみ方。
【麻布 秀】は旬の食材の良さを引き出す和食店。板長の小菅安則さんが語る『鯛めし』の一番のこだわりは「いい鯛といいお米を使うこと」。兵庫県淡路から仕入れる桜鯛に、新潟県産のコシヒカリ。極上の食材が揃ったら、あとはご飯を炊くのみ。とはいえ、シンプルな料理こそ和食の命である出汁が決め手に。
板長は出汁づくりに試行錯誤を繰り返し、繊細な味付けを料理ごとに施しています。『鯛めし』を炊く際は鯛のアラとカツオ節から出汁をとり、少しの醤油を加えて味を調整。鯛は最初に焼き上げることで香ばしさを纏い、旨味に奥行きが出ます。
つくり置きは一切せず、オーダーが入ってから調理を開始。30分ほどで完成すると、料理人が客席へ土鍋を運びます。蓋を開ける瞬間こそ『鯛めし』の“見せ場”。炊きあがったご飯が湯気と芳香を振りまき、高揚感を煽ります。料理人が骨を抜き、ふっくらとした身とご飯を混ぜた状態でテーブル席に再び登場。春の訪れをほっこりと噛み締めてみましょうか。
【レストラン オカダ】東京・広尾
日本ならではの食材にフランスの技を加えたこの魅力に出会えるのが【レストラン オカダ】の『山口県萩から届いたアマダイのウロコ焼き 魚介のエキスとハーブのソース』。メニュー名からどんな料理かというイメージはつきますが、「食べたことがない」という声も多く聞こえる「ウロコ焼き」。
ウロコがついたままこんがりと焼き上げるこの料理は、もとはフランスにはない、「若狭焼き」とも言われる和食の調理法です。なぜ、概ねほかの魚では「ウロコ焼き」にできないのか。理由はウロコの柔らかさにあります。甘鯛の繊細なウロコだからこそ、このスペシャリテが成り立ちます。
たっぷりめのオリーブオイルで、シェフの岡田宏さん曰く、「揚げる」と「焼く」の中間でじっくりと火を入れます。こうすることで「シンプルですが、魚の旨味を最大限に生かせます」。仕上げに、鯛のアラでとった旨みたっぷりの出汁にバター、フレッシュハーブを加えて焼くのがオカダ流。「フランスから友人のシェフが来たときにも、自信をもって提供できるメニューです」。
味わってほしいのは当然、焼きたての美味しさ。パリパリに焼けたウロコの香ばしい食感と、ふっくらと柔らかい白身の優しい甘さ。異なる食感を、ソースがひとつにまとめます。上からオイルをかけて開いたウロコは花が咲いたような華麗な見た目に。皮、ウロコ、身と余すところなく鯛の旨さを噛みしめれば、食材としての鯛のポテンシャルを再評価できるはずです。
PICK UP
パプリカやししとうなどの唐辛子類が旬を迎え、ビールのお供、枝豆も欠かせません。トビウオやスズキ、シマアジも収穫期。
秋の味覚の王様、松茸が店頭に並びます。サンマの水揚げがはじまり、たっぷりと脂がのった戻り鰹の季節です。
収穫の秋、里芋類やカボチャなどがおいしくなる季節です。サンマに脂がのり、イワシやニシン、イカがなども旬を迎えます。
ズワイガニ漁、サクラエビの秋漁、さらに山の幸ジビエの狩猟が解禁。サツマイモやカボチャなどの甘味もピークです。
鍋に最適な冬野菜の白菜や大根、春菊がおいしい季節です。海の幸もカキやホタテが旬を迎え、魚は脂がのって旨味が増します。
年が明け、旬を迎える魚が一年で最も多いのがこの時期。アマダイやアカムツ、イカやアカガイが出まわります。
ホタテやタラ、あんこうなど鍋に入れたい魚が豊富。蕾菜やアスパラ菜などが花芽を伸ばし、春の訪れはすぐそこです。
富山のホタルイカ漁が解禁。あさりや蛤などもおいしく、潮干狩りのシーズンを迎えます。山菜が出始めるのもこの頃。
アスパラガスやたけのこが出まわり、新タマネギや新ジャガイモの収穫も始まります。真鯛や鰆も獲れ、春到来です。
初鰹が最盛期を迎えます。野菜は、絹さややスナップエンドウなどの豆類がおいしい季節となります。
キュウリやピーマン、空芯菜やつる紫などの夏野菜が出始めます。海の幸は鮎やキス、トビウオ、マアジが旬を迎えます。
スズキやトビウオ、真アジに加え、鮎やハモも旬真っ盛り。茄子やズッキーニ、ゴーヤーなどの夏野菜が食卓を彩ります。