至福の逸品~dish stories~ vol.29

ダイナミックな冬の美味を新鮮な刺身で堪能『タラバガニ』~赤坂きた福~

「立春」を過ぎ、春を目の前に、再び厳しさが訪れる2月。寒さが染みる季節に旨みの増す食材がある。茹でたり、焼いたり、鍋にしたりと様々な味わい方が楽しめる「カニ」だ。その種類によって、味わい方もさまざま。今回は、日本人が好んで味わう「カニ」、そしてその中でも特に人気の高い「タラバガニ」を極める。

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撮影/菊池 崇文

冬を代表する北海道の味覚、タラバガニ

冬の味覚の代表格、カニ。食用から観賞用まで、世界各国で食されているカニの種類は実に多く、花咲、タラバ、ズワイ、毛ガニなど、ざっと挙げるだけでも6~7種はある。旬や食べ頃も種類によって、さらには雄か、雌かによっても変わってくる。
   数あるカニのなかでも、特に一般的に食す機会が多いのは、「タラバガニ」と「ズワイガニ」だ。ゴツゴツした甲羅に覆われ、食べ応えのある身が特徴の「タラバガニ」は、鍋などで楽しむ。一方の「ズワイガニ」は、甲羅が小さくて脚が細長く、カニ本来の甘みや繊細さや旨みが感じられる。茹でてそのまま、あるいはしゃぶしゃぶなどであまり火を入れずに味わう。カニの身や殻にはアミノ酸の一種であるタウリンや亜鉛、ミネラル、摂取が難しいビタミンB12などが豊富に含まれている。カニは丸ごとが高たんぱく低カロリーの優れた栄養食なのである。

表面がゴツゴツとしたタラバガニ。数あるカニの中でも特に大きく食べ応えがある。類似種のアブラガニとの見分け方は中央のとげの数だそうだ。

冬が旬のタラバガニを目の前で捌く粋

旬は大きく夏と冬とに大別されるが、多くの人は「カニの美味しい季節」と聞けば「冬」を思い浮かべるだろう(タラバガニやズワイガニもこの時期に旬を迎える)。カニは高価な食材でもあることから、日常食というよりは、年末年始などの家族や親族が集まる時期、祝い事があった時などの食事に選ばれることが多い。カニを茹でてシンプルに、または鍋などにして、特別な日の食卓をみんなで囲むのである。
   そんな冬の味覚、カニを存分に堪能できるのが、赤坂にある活け蟹料理店【赤坂きた福】だ。ここでは料理人が各部屋ごとにつき、目の前で新鮮なカニを捌きながら料理を饗し、色々な食べ方で楽しませてくれる。この技術は札幌・すすきのにある【活カニの花咲】の北海道フードマイスターである大地兼右氏から伝授されたもの。都内では唯一の活け蟹専門店ならではの演出なのである。

殻から取り出した時の身を咲くような状態にするため、氷水に浸しておく。

部位ごとに異なるシンプルな調理法でカニの旨みを堪能

ここでのカニの味わい方は、「誰もが黙々と殻から身を取りだし、ひたすらに口に運ぶ」といった一般的なスタイルのそれとは一線を画している。一パイの大きなタラバガニが、料理人の鮮やかな手さばきによって、目の前で次々に形を変え、一品料理となっていく。
   まずは氷づけにして赤い薄皮部分をキレイに外し、新鮮かつジューシーなカニを生でいただく『刺身』。透き通った身は利尻昆布でとったダシ汁にくぐらせてあるので、そのまま味わい、程よい弾力と、噛むほどに増してくる旨みを堪能。冷やしたワインとの贅沢なマリアージュを楽しむのも一興だ。続けて5分ほど火にくぐらせ、少しずつ身をいただいていく『蟹しゃぶ』、そして足の最も太い部分に備長炭で火を通し、カニの甘みを少しずつ引き出した『焼き蟹』と続く。胴体の部分はボイルにしてほぐしていただくが、好みで蟹酢につけても美味しい。このように部位によって火を通す時間や旨みの引き出し方が異なるカニ。種類によって美味の旬が異なるカニを、季節ごとに楽しんでみるのもいい。

脚の最も太い部分を、備長炭でじっくりと焼き上げた『焼き蟹』。ほどよく色づいたら、塩あるいはすだちをかけていただく。

常連客が勧める逸品  ~季節の八寸~

常連客が勧める逸品  ~季節の八寸~

『季節の八寸』
(コースの前菜より)


活カニ専門店でありながら、2人の料理人はもともと京料理の出身。そのため、コースを通じて登場する、『季節の八寸』などの一品料理にも趣向を凝らしており、それを楽しみに通う常連も多い。
(手前から)富山産白エビの昆布〆/たらの芽の湯葉揚げ/桜鱒の木の芽焼き/大徳寺麩と近江カブの白あえ/帆立とむかごの飯蒸し/ワカサギの南蛮漬け/鴨のフキ味噌

【きた福】の料理メニューを見る

カニ料理に欠かせない一品  ~ワイン各種~

カニ料理に欠かせない一品  ~ワイン各種~

asatsuyu(ハーフボトル・白)6500円/
rindo(ハーフボトル・赤) 8000円


カニ料理とワインの組み合わせを提唱している【きた福】は、カニと相性の良い赤・白ワインやシャンパンが豊富にそろえてある。ケンゾーエステートの「asatsuyu」(白)と「rindo」(赤)のほか、甲州などの国産ワインも充実。新鮮なカニとの和のワインとのマリアージュを堪能したい。

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このページで紹介したお店

活かに 赤坂きた福【東京・赤坂】

活かに 赤坂きた福 【東京・赤坂】

【営業時間】
平日・土・祝前 17:00~24:00
       ※お昼の時間帯もご予約があれば営業
【定休日】
日・祝日
【TEL】
03-3505-1323

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編集後記

東京・赤坂の一角にあるビルの7階にある、隠れ家的なカニ料理の専門店。ここでは何と言っても種類豊富な活けガニ尽くしを味わえるのが魅力。知識の豊富な料理長のカニ談義を聞きながら、ダイナミックかつ鮮やかな手さばきを見、活カニならではの刺身をはじめとする多種多様な味わい方を知る。その一連の流れは、まるでカニのショーを堪能しているようだ。また、ここの料理人は京料理の出身というだけあって、実は一品料理も充実。四季の味覚を盛り込んだ『季節の八寸』は、彩りも華やか。季節ごとに訪れて、色々なカニを食べ比べてみたいと思った。

活かに 赤坂きた福

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