夏の活力源「どじょう」 夏の活力源「どじょう」 夏の活力源「どじょう」

夏の活力源どじょう

夏を表す季語であり、かつては身近にある“精が付く食材”として一般家庭の食卓でも並んでいた「どじょう」。いまではあまりなじみのなくなってきたどじょうですが、“日本食”に注目が集まる今だからこそ、この伝統料理の魅力に迫ります。

江戸の庶民に愛された、どじょうの奥ゆかしき魅力が滲み出す『どぜう鍋』

【どぜう飯田屋】東京・浅草

味にうるさい“江戸っ子”を魅了し続けてきたどじょう料理を堪能できる老舗

「元来、どじょうは安くて栄養価の高い食物として親しまれてきました。『どじょうでも食べに行くか』と気軽に接するのが、正しい付き合い方」。どじょうを身近に感じてほしい、と訴えるのは、浅草の老舗【どぜう飯田屋】の若旦那、飯田唯之さん。

全長は平均10cm程度。泥鰌の名が示す通り、泥低地を好むがため、調理する際は、鮮度を保つことと供に徹底した泥抜きが必要となります

 どじょうがどれだけ地元を中心とした“江戸っ子”に親しまれてきたかは【どぜう飯田屋】のメニューからも垣間見えます。鍋に蒲焼、から揚げに南蛮漬け、丼物や汁まで、様々な調理法が確立されているのは、それだけ身近で愛されていた食材であるという証拠にほかなりません。

食事の妨げになるようなものは極力避けつつ、品の良い調度品を随所に散りばめたこの空間が料理の味をさらに引き立てます

 おすすめは『どぜう汁』。江戸甘味噌ベースの汁にどじょうが丸ごと入っています。やや苦味のある身はほっくりした食感。汁にどじょうの滋味が溢れているが、そのわりに、後味はさっぱり。胃袋がすっきりする印象です。

お酒を飲んだ後の胃と肝臓に染み渡る『どぜう汁』。江戸甘味噌を使用。濃厚な味わいですが後味はすっきり

飲み屋をはしごした後に店に立ち寄り、【どぜう飯田屋】でシメのメニューとしてこれだけを頼む常連も多いという話も頷けます。『どぜう汁』で小腹が満たされたところで、メインディッシュの鍋の登場です。

『どぜう鍋』

ささがきの牛蒡などと一緒に生のどじょうが鍋に盛られるが、これをテーブルに備え付けられたガスコンロで客が自分好みの“頃合い”でいただきます

 今回はまるのままのどじょうを煮込む『どぜう鍋』ではなく、頭を落として身を開き骨を抜いた『ほねぬき鍋』をオーダー。そして、5月中旬から9月中旬までしか味わえないどじょうの卵を燻した「子(粉)」を追加します。

旬を迎えたどじょうのほのかな甘みを湛えた味、野趣を含んだ“子(粉)”の香ばしい香りが一瞬広がったかと思うと同時に、柔らかな身がほろりと溶けていきます。惜しむらくはこの儚さ、一方でこの微かな余韻が、どじょうを1匹、酒をもう1杯と往生際を悪くさせているようにも思えてくるのです。

次にささがきの牛蒡。どじょうと一緒に噛みしめることで牛蒡の旨味が格段に引き上げられていることに気づかされる。考えても見れば、お互い泥の中で育った組みわせ。相性が悪いわけがありません。

卵で「どぜう鍋」の旨味をまろやかに包み込んだ『柳川鍋』。特製の“甘辛い”割下と卵のまろみが渾然一体となり、えもいわれぬ味わいです

 この鍋を食べ終えて感じたのがどじょうの食材としての懐の深さ。『どぜう(ほねぬき)鍋』と命名されながら、どじょうが鍋全体のバランスを保つ役割も担っています。出汁に溶け込み、時に他の食材の食感のアクセントとなる。メインに据えられながらも、小さな身体で縁の下から鍋全体を支えているようにも思えるのです。

 単体であればしっかりと個性を残しつつ、ほかの材料と一緒になったとたん自身は控えめに、周りを引き立て、料理全体を盛り上げる。そんな奥ゆかしさもどじょうの魅力。

 今からでも遅くない、このいかにも日本らしい魅力を備えたどじょうを、“日本食”の大事な食材として再評価すべきではなかろうか。

しっかりと個性はありつつ、しかし繊細な味のどじょう料理には、味の輪郭を際立たせるそれ相応のお酒が求められます

撮影/岡本裕介 文/ヒトサラ編集部

全国のおいしいどじょう料理が
味わえるお店

玉子で旨味を閉じ込めた『どじょう柳川鍋』

鰻料理をはじめ、鯉、どじょうなどの川魚料理がおいしい田口屋。甘辛い割下で煮込んだゴボウとどじょうの旨味を玉子で閉じ込めています
埼玉・久喜

田口屋

0480-85-0496

格別な美味しさ、金沢名物『どじょう かば焼き』

島根を中心に全国から厳選したどじょうを入荷。くさみのない上質さで、甘めのタレにほんのりとほろ苦さも感じる絶妙な味わいです
石川・金沢

かばやき屋

076-268-9770

生け簀から引き上げた新鮮なものを使用『丸どじょう鍋』

太めのどじょうを、骨を感じないくらい柔らかに仕上げたどじょう鍋。カルシウム一杯!長ネギタップリとはいった一品です
埼玉・伊勢崎

川魚割烹 うなぎ福本

0480-21-0258

蕎麦屋のかえしで味付け『鰻の肝焼き/どぜう唐揚げ』

うなぎ屋とはまた違った風味の、蕎麦屋のかえしで味付けした肝焼きが好評。小さめのそのままのどぜうを使用した唐揚げもさっぱり
福岡・福岡

蕎喰いまとみ

092-526-4504

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