香り高き天然鮎
夏の訪れを告げる「鮎」。川底の苔を食べて育つため独特の風味が漂い、香気を帯びることから、“香魚”(コウギョ)とも呼ばれています。今回はそんな鮎の魅力がもっとも感じられる、囲炉裏で焼いた「天然鮎の塩焼き」をご紹介します。
夏の訪れを告げる「鮎」。川底の苔を食べて育つため独特の風味が漂い、香気を帯びることから、“香魚”(コウギョ)とも呼ばれています。今回はそんな鮎の魅力がもっとも感じられる、囲炉裏で焼いた「天然鮎の塩焼き」をご紹介します。
【たでの葉】東京・外苑前
おしゃれな店が建ち並ぶ外苑西通りに位置する、炉端焼きの店【たでの葉】。店主の小鶴清史さんは、父・隆一郎さんが獲った熊本・川辺川の「天然鮎」をコース料理で提供しています。
育つ川によって、味も香りも異なる鮎。川辺川は、熊本県南部を貫流する日本三大急流・球磨川の最大の支流であり、“日本一の清流”とも称される一級河川です。
そんな清らかな川の良質な苔を食べて育つ鮎は、姿、味、香りの三拍子が揃っています。恵まれた環境から、20センチから、時に30センチを超える「尺鮎」が獲れることも珍しくありません。
鮎は塩焼きにして頭からかぶりつき、ほくほくとした身と、ほんのり漂う心地よい内臓の苦みを一緒に味わうのが醍醐味。
鮎特有の躍動感が出るようのぼり串にし、丸みのあるフランス産・ゲランド塩を腹部分にまんべんなく振ります。頭から中骨まで丸ごと食べられるよう、囲炉裏に刺して強火の遠火で40~50分間じっくりと焼き上げていきます。
かぶりつくと、カリッと軽やかに焼きあがった頭は舌触りがよく、苦味も少ない。食べ進めるとふっくら瑞々しい身の旨味と、少し苦味はあるがどこかスッキリとした内臓の味わいとが混ざりあい、バランスも絶妙です。
コース序盤の『鮎の刺身』には、15〜16センチくらいの大きさがもっとも適しており、1人前に2匹使用します。頭・ヒレ・腹わたを取り、中骨ごとぶつ切りにした「背越し」は、皮の香りや骨のコリコリとした食感が広がります。その横には皮をはいだ三枚おろしも添えられ、2種の食べ方で楽しめるのもうれしいところ。
〆は焼いた落ち鮎を使った『鮎の雑炊』。若鮎や夏鮎にはない独特な香りや甘みに、成熟した旨味が加わった味わい深い雑炊でコース料理を締めくくります。
この日の塩焼きには若鮎が供されましたが、夏が終わる頃には30センチにも及ぶ大きな「尺鮎」がお店に並びます。若鮎なら7月から8月にかけて、店主自慢の川辺川の尺鮎を味わうなら8月から9月にかけてが狙い目です。
PICK UP
パプリカやししとうなどの唐辛子類が旬を迎え、ビールのお供、枝豆も欠かせません。トビウオやスズキ、シマアジも収穫期。
秋の味覚の王様、松茸が店頭に並びます。サンマの水揚げがはじまり、たっぷりと脂がのった戻り鰹の季節です。
収穫の秋、里芋類やカボチャなどがおいしくなる季節です。サンマに脂がのり、イワシやニシン、イカがなども旬を迎えます。
ズワイガニ漁、サクラエビの秋漁、さらに山の幸ジビエの狩猟が解禁。サツマイモやカボチャなどの甘味もピークです。
鍋に最適な冬野菜の白菜や大根、春菊がおいしい季節です。海の幸もカキやホタテが旬を迎え、魚は脂がのって旨味が増します。
年が明け、旬を迎える魚が一年で最も多いのがこの時期。アマダイやアカムツ、イカやアカガイが出まわります。
ホタテやタラ、あんこうなど鍋に入れたい魚が豊富。蕾菜やアスパラ菜などが花芽を伸ばし、春の訪れはすぐそこです。
富山のホタルイカ漁が解禁。あさりや蛤などもおいしく、潮干狩りのシーズンを迎えます。山菜が出始めるのもこの頃。
アスパラガスやたけのこが出まわり、新タマネギや新ジャガイモの収穫も始まります。真鯛や鰆も獲れ、春到来です。
初鰹が最盛期を迎えます。野菜は、絹さややスナップエンドウなどの豆類がおいしい季節となります。
キュウリやピーマン、空芯菜やつる紫などの夏野菜が出始めます。海の幸は鮎やキス、トビウオ、マアジが旬を迎えます。
スズキやトビウオ、真アジに加え、鮎やハモも旬真っ盛り。茄子やズッキーニ、ゴーヤーなどの夏野菜が食卓を彩ります。