季節を愛でる春野菜の天ぷら
本来、旬の時期に食べるからこそ香り高く、深い味わいが楽しめる野菜。今や、スーパーに行けば季節を問わず簡単に手に入る便利な世の中になりました。その反面、季節を感じる機会が少なくなった気がします。そんな時代だからこそ、天ぷらの名店で、野菜から春を感じてみませんか?
本来、旬の時期に食べるからこそ香り高く、深い味わいが楽しめる野菜。今や、スーパーに行けば季節を問わず簡単に手に入る便利な世の中になりました。その反面、季節を感じる機会が少なくなった気がします。そんな時代だからこそ、天ぷらの名店で、野菜から春を感じてみませんか?
【元吉】東京・外苑前
【天ぷら 元吉】の天ぷらは、衣がとても軽やかです。胡麻油の香りが強い江戸前天ぷらの味をイメージすると、少し胡麻油が控えめに感じるかもしれません。しかし、それこそが旬菜を美味しくいただく秘訣。素材の味を壊さないよう、菜種油とコーン油に、甘さが引き立つ程度の割合で玉絞りの胡麻油をブレンドしています。
「例えば筍なら、アクを抜き切ることが正解なのかなど、常に疑問を投げかけ最良の方法を吟味しています」と店主の元吉和仁氏。生から揚げる、茹でて揚げる、煮て揚げるなどの方法がある中、えぐみを抜きつつ筍の香りを最大限に生かすため、辿りついたのは「蒸す」という選択。
その筍を蒸したのち、水分を飛ばしながら香ばしく揚げることで、ほっくりとした食感と、優しい甘さを引き出しています。一方で独活(うど)はサッと揚げ、中心部は生のまま。シャキッとした歯ごたえと瑞々しさが魅力です。
素材と真摯に向き合い、常に最良の状態でゲストへ提供してくれる。春の訪れを感じさせる味わいに、自然と顔がほころびます。
【てんぷら 近藤】東京・銀座
かつて天ぷらは江戸前の魚介が中心であり、野菜は添えものでしかなかった。そんな時代に、邪道とされていた野菜を天種として取り入れ、主役に据えたのが【てんぷら 近藤】の店主、近藤文夫氏だったのです。
今回供された『春野菜の天ぷら 盛合せ』は、春を迎えた喜びをその目で、その舌で愉しめます。新緑の色合いと独特な風味は、薄い衣で軽く揚げる手法だからこそ感じることができるのです。この“衣の薄い天ぷら”、分厚い衣が主流であった時代に、近藤氏が薄い衣で揚げたのがはじまりだったとか。
そんな野菜の天ぷらの先駆者は、素材選びにも強いこだわりをみせます。例えば春野菜として人気のそら豆は、香り高い若い豆だけを使うために、収穫時期に合わせて九州から北海道まで追いかけて仕入れているそう。それもすべて「お客様に美味しい天ぷらを食べてほしい」その一心から来ているのです。
池波正太郎をはじめ、各界の著名人に愛されてきた近藤氏の天ぷら。彼らを魅了していたのは、天ぷらの味わいだけでなく、常識を打ち破り自らの信念を貫き続ける、そんな近藤氏の姿だったのかもしれません。
PICK UP
パプリカやししとうなどの唐辛子類が旬を迎え、ビールのお供、枝豆も欠かせません。トビウオやスズキ、シマアジも収穫期。
秋の味覚の王様、松茸が店頭に並びます。サンマの水揚げがはじまり、たっぷりと脂がのった戻り鰹の季節です。
収穫の秋、里芋類やカボチャなどがおいしくなる季節です。サンマに脂がのり、イワシやニシン、イカがなども旬を迎えます。
ズワイガニ漁、サクラエビの秋漁、さらに山の幸ジビエの狩猟が解禁。サツマイモやカボチャなどの甘味もピークです。
鍋に最適な冬野菜の白菜や大根、春菊がおいしい季節です。海の幸もカキやホタテが旬を迎え、魚は脂がのって旨味が増します。
年が明け、旬を迎える魚が一年で最も多いのがこの時期。アマダイやアカムツ、イカやアカガイが出まわります。
ホタテやタラ、あんこうなど鍋に入れたい魚が豊富。蕾菜やアスパラ菜などが花芽を伸ばし、春の訪れはすぐそこです。
富山のホタルイカ漁が解禁。あさりや蛤などもおいしく、潮干狩りのシーズンを迎えます。山菜が出始めるのもこの頃。
アスパラガスやたけのこが出まわり、新タマネギや新ジャガイモの収穫も始まります。真鯛や鰆も獲れ、春到来です。
初鰹が最盛期を迎えます。野菜は、絹さややスナップエンドウなどの豆類がおいしい季節となります。
キュウリやピーマン、空芯菜やつる紫などの夏野菜が出始めます。海の幸は鮎やキス、トビウオ、マアジが旬を迎えます。
スズキやトビウオ、真アジに加え、鮎やハモも旬真っ盛り。茄子やズッキーニ、ゴーヤーなどの夏野菜が食卓を彩ります。