甘く、とろけるネギ
寒さが増す冬に旬を迎える「ネギ」。薬味などで使われることが多く、どんな料理にも寄り添い、旨さを引き立てるその姿は、まさに名脇役といったところ。そんなネギを主役の一つに据え、脂がのったマグロのトロとともに味わえる江戸料理『ねぎま鍋』を供する、北池袋の【ねぎま】をご紹介します。
寒さが増す冬に旬を迎える「ネギ」。薬味などで使われることが多く、どんな料理にも寄り添い、旨さを引き立てるその姿は、まさに名脇役といったところ。そんなネギを主役の一つに据え、脂がのったマグロのトロとともに味わえる江戸料理『ねぎま鍋』を供する、北池袋の【ねぎま】をご紹介します。
【ねぎま】東京・北池袋
千寿葱とマグロのトロを鰹だしで煮込んだ『ねぎま鍋』。江戸時代、冷蔵庫がなく脂の多いトロは保存がきかなかったため、“捨てずになんとか食べるには”と編み出された、江戸の庶民の味なのです。
鍋にくぐらせたトロは脂がすっと抜け落ち、さっぱりと食べやすく、だしに溶けた脂や旨味はネギに染み込み、これまた絶品。そんな『ねぎま鍋』を中心に、今では希少な江戸料理を供するのが北池袋にある【ねぎま】です。
女将は、2016年6月に惜しまれつつも閉店した、江戸料理の名店【なべ家】で仲居として働いていた長橋さん。この味を無くしたくない、受け継ぎたいとの一心で開業したのがこちらのお店なのです。
「直接教わったことはないのですが、いつか自分自身でねぎま鍋のお店を出したいと、客として何度もお店に通い続け、その味や旦那さんがお客さまにする説明を覚えました。そして、自宅で何度も試作して、味を近づけていったんです」と長橋さん。
開業前には、【なべ家】のご主人や女将さんに試食してもらい、どのマグロにするか悩んでいた時には一緒に試し、「臭みがなく、火入れしても柔らかいバチマグロにしよう」と【なべ家】のご主人と決めた――そんなお墨付きのねぎま鍋なのです。
かつお節とたっぷりの日本酒を入れ、塩と濃口醤油で味付けした「酒だし(さかだし)」で煮込みます。熱を加えたネギはとろっとねばり気を帯び、甘味も増していきます。もう一つの主役、マグロの大トロもしっかりと火を入れます。脂が多いトロは煮込んでも固くならないのが特徴で、筋がとろけてコラーゲンのようになり、より柔らかく仕上がるのです。そんな、トロの旨味が染み出ただしで煮込む熱々のネギもまた、格別です。
ネギの甘み・旨味もさることながら、ともに煮込んだワカメもだしをたっぷりと吸い込んでおり、その旨さも魅力のひとつ。食べる際にパラリとかける黒胡椒は一粒一粒ペンチで潰しているため、香りが立ち、鍋の味をぐっと締めてくれます。
そんな『ねぎま鍋』を堪能できるコースは、江戸前の玉子焼などの小料理3品に加え、ねぎま鍋、土鍋ごはん、香のものがついて3,700円からとお値打ち価格。(ねぎま鍋を単品で楽しむことも可能です)
【なべ家】の味を安く、たくさんの方に楽しんで欲しい。そんな願いが込められた『ねぎま鍋』を食しながら、江戸に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
PICK UP
パプリカやししとうなどの唐辛子類が旬を迎え、ビールのお供、枝豆も欠かせません。トビウオやスズキ、シマアジも収穫期。
秋の味覚の王様、松茸が店頭に並びます。サンマの水揚げがはじまり、たっぷりと脂がのった戻り鰹の季節です。
収穫の秋、里芋類やカボチャなどがおいしくなる季節です。サンマに脂がのり、イワシやニシン、イカがなども旬を迎えます。
ズワイガニ漁、サクラエビの秋漁、さらに山の幸ジビエの狩猟が解禁。サツマイモやカボチャなどの甘味もピークです。
鍋に最適な冬野菜の白菜や大根、春菊がおいしい季節です。海の幸もカキやホタテが旬を迎え、魚は脂がのって旨味が増します。
年が明け、旬を迎える魚が一年で最も多いのがこの時期。アマダイやアカムツ、イカやアカガイが出まわります。
ホタテやタラ、あんこうなど鍋に入れたい魚が豊富。蕾菜やアスパラ菜などが花芽を伸ばし、春の訪れはすぐそこです。
富山のホタルイカ漁が解禁。あさりや蛤などもおいしく、潮干狩りのシーズンを迎えます。山菜が出始めるのもこの頃。
アスパラガスやたけのこが出まわり、新タマネギや新ジャガイモの収穫も始まります。真鯛や鰆も獲れ、春到来です。
初鰹が最盛期を迎えます。野菜は、絹さややスナップエンドウなどの豆類がおいしい季節となります。
キュウリやピーマン、空芯菜やつる紫などの夏野菜が出始めます。海の幸は鮎やキス、トビウオ、マアジが旬を迎えます。
スズキやトビウオ、真アジに加え、鮎やハモも旬真っ盛り。茄子やズッキーニ、ゴーヤーなどの夏野菜が食卓を彩ります。