実りの秋米
食膳が華やかに彩る秋、「米」も旬を迎えます。銀シャリに例えられる白ごはんで、米のふくよかな甘い香りを楽しむのも良いですが、今回は旬を迎えた海のもの、山のものをメインに引き立てつつ、美味しい米をさらに“おいしく”食べられる料理をご紹介します。
食膳が華やかに彩る秋、「米」も旬を迎えます。銀シャリに例えられる白ごはんで、米のふくよかな甘い香りを楽しむのも良いですが、今回は旬を迎えた海のもの、山のものをメインに引き立てつつ、美味しい米をさらに“おいしく”食べられる料理をご紹介します。
【右京】東京・麻布十番
醤油か塩か、はたまたポン酢か。調味料ひとつとっても各家庭で不文律があり、老若男女が意見を交わせる日本のソウルフード「たまごかけご飯」。炊き上がったご飯に卵をかけて、調味料、場合によって薬味をあえて、からめるだけ。
シンプルだからこそ、奥深い。そして各自のこだわりが強いこの料理で、女性を中心に圧倒的な支持を受け、一躍その名を知らしめた店が酒処【右京】です。
もともと“美味しい料理”のためなら食材も糸目をつけずの姿勢だった同店。「高級食材のトリュフを身近に感じてもらう料理を探していた」と開発秘話を教えてくれたのは店主の岡田右京さん。
試行錯誤のうえ、卵とトリュフの相性の良さに着目。結果、お酒を飲んだ後のシメとしてもぴったりの『トリュフたまごかけご飯』が生まれたそうです。
「産地は秘密」の厳選した鶏卵は粘度が強く、味も濃厚。二つ分の卵黄を「程よくからむ分量」であるこぶし大のご飯にかけて、最後にはイタリア産のトリュフを贅沢に散らします。
一見するとトリュフという高級食材の部分にのみ目がいきがちですが、この味が絶妙。トリュフのほのかな塩気と芳香が卵の味を見事に引き立てています。
出し尽されたと思われていた「たまごかけご飯」の相棒に、あらたな食材が見つかりました。
【炭焼き&ビストロ ガルニ】東京・上野
大小、個性豊かな飲み屋が立ち並ぶ上野広小路で、屋台風居酒屋フレンチを標榜する【炭焼き&ビストロ ガルニ】。
フレンチはハードルが高いと結論付けるのは早計。「居酒屋に立ち寄るように、気軽にフレンチに触れてほしい」というコンセプトよろしく、メニューには懐に優しく、どこかなじみ深さを感じさせる料理が並びます。
その中でも一際、異彩を放っているのが『日南どりとトリュフの土鍋ごはん』。平たくいえば、炊き込みピラフを“飲み屋”の人気メニューの土鍋ごはん風にアレンジしたものです。
食材はきめ細かい肉質の「日南どり」。これをポルチーニ茸でとったスープでお客様の目の前で炊き上げます。ガラス製の土鍋の蓋から覗く調理工程を目で楽しみ、ふつふつと香る匂いを楽しみながら20分ほど辛抱。仕上げにスタッフがトリュフを散らすとようやく完成です。
ポルチーニ茸に米、トリュフによる香りの三重奏を十分に堪能し、口に含めば、食材が主張し過ぎず、お互いの良さを引き出し合う“日本人好み”の味わい。コシヒカリにプチプチとした食感が特徴の雑穀「キヌア」をブレンドしたごはんを噛みしめつつ、和・仏が奥ゆかしく融合した逸品に思わず頬が緩みます。
【下北沢Baru】東京・下北沢
パエリアというメニュー名は耳にしたことがあっても、どんな料理か問われるとうまく答えられない方もいらっしゃるのでは?
スペイン東部にあるバレンシア地方が発祥とされるこの料理。野菜や魚介類、肉などと一緒に炊きこむ食材メインの“ご飯もの”ですが、使用される米は日本と同様に短粒種が基本。とくれば、日本でも絶品のパエリアにありつけるはず。
「とは言え、米の芯を残すアルデンテしかり、同じ短粒種でもスペイン産と国産ではやはり若干の違いがあるので、国産米で本場と同じ仕上がりにするのは難しい」
そう話すのは、下北沢のスペインバル【下北沢Baru】のシェフ田嶋真一朗さん。そこで田嶋さんはこの課題を、銘柄の厳選と調理法でカバー。結果、甘みや旨みの強い国産米の良さを生かしたパエリアを完成させました。
『スキャンピ』は、ニュージーランド産の手長海老をメインに据えたパエリア。海老もさることながら、この料理のキーを握るのはやはり米。海老の旨味をしっかり湛え、心地良い食感を残した米を噛みしめていると、次第に口中に米特有の優しい甘みが広がります。メイン食材に負けず、しっかりと米が個性を発揮しています。
食材の脇役に留まらず、メイン食材と“共存”するジャパニーズパエリアが、今夜も新たなスペイン料理フリークを生んでいるようです。
PICK UP
パプリカやししとうなどの唐辛子類が旬を迎え、ビールのお供、枝豆も欠かせません。トビウオやスズキ、シマアジも収穫期。
秋の味覚の王様、松茸が店頭に並びます。サンマの水揚げがはじまり、たっぷりと脂がのった戻り鰹の季節です。
収穫の秋、里芋類やカボチャなどがおいしくなる季節です。サンマに脂がのり、イワシやニシン、イカがなども旬を迎えます。
ズワイガニ漁、サクラエビの秋漁、さらに山の幸ジビエの狩猟が解禁。サツマイモやカボチャなどの甘味もピークです。
鍋に最適な冬野菜の白菜や大根、春菊がおいしい季節です。海の幸もカキやホタテが旬を迎え、魚は脂がのって旨味が増します。
年が明け、旬を迎える魚が一年で最も多いのがこの時期。アマダイやアカムツ、イカやアカガイが出まわります。
ホタテやタラ、あんこうなど鍋に入れたい魚が豊富。蕾菜やアスパラ菜などが花芽を伸ばし、春の訪れはすぐそこです。
富山のホタルイカ漁が解禁。あさりや蛤などもおいしく、潮干狩りのシーズンを迎えます。山菜が出始めるのもこの頃。
アスパラガスやたけのこが出まわり、新タマネギや新ジャガイモの収穫も始まります。真鯛や鰆も獲れ、春到来です。
初鰹が最盛期を迎えます。野菜は、絹さややスナップエンドウなどの豆類がおいしい季節となります。
キュウリやピーマン、空芯菜やつる紫などの夏野菜が出始めます。海の幸は鮎やキス、トビウオ、マアジが旬を迎えます。
スズキやトビウオ、真アジに加え、鮎やハモも旬真っ盛り。茄子やズッキーニ、ゴーヤーなどの夏野菜が食卓を彩ります。