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至福の逸品〜dish stories〜 vol.25

秋鮭の旨みを存分に堪能『はらこ飯』   魚沼釜飯と新潟郷土料理 つみき 神楽坂   (東京・神楽坂)

天高く、馬肥ゆる秋。暑い夏が過ぎ、食物が一斉に実りの季節を迎えるなかに、卵をたっぷりと蓄えた「秋鮭」がある。川で生まれ、荒波にもまれて育ち、再び生まれ故郷の川に戻っていく秋鮭は、脂ののった身だけでなく、産卵前のいくらも味わうことができる。そのすべてを贅沢に堪能することができるのが『はらこ飯』。地域によってつくり方の異なる郷土料理を通じて、今回は秋鮭の深い味わいに迫る。

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撮影/玉川 博之

秋を代表する味覚。秋鮭といくらの親子関係

秋の行楽に欠かせないお弁当やおにぎりの具として人気の「鮭」。朝食で登場する焼き鮭からムニエルにフライまで、料理の幅の広さもある鮭は、川で生まれ、海に下って成長し、数年を経て産卵のために再び生まれた川へと戻って最期を迎えるといわれている。川を上ってくるのは9〜11月。特に東北や北海道が多いが、中には本州の中部から西部、九州にの日本海側や一部の太平洋側の川でも産卵することがあるという。この時期に獲れる鮭を「秋鮭」と呼び、5〜7月に獲れる鮭よりも旨みが強いとされている。産卵のためにたっぷりの卵を宿している「秋鮭」は、ビタミンAやDなどの良質タンパクが含まれており、DHAも豊富に含まれているうえ、肉に比べて低カロリーであるなど、美容や健康にもよい食材なのである。
それだけではない。旬といわれる秋鮭は脂がたっぷりのっているため、焼き鮭にするだけでも十分な旨みを味わうことができ、タンパク質の消化や吸収もよいため、小さな子供から高齢者まで、安心して食べられるのだ。

秋を代表する味覚。秋鮭といくらの親子関係

秋鮭の旨みを堪能する郷土料理『はらこ飯』

この秋鮭の旨みを堪能する料理が、宮城・岩手・新潟に伝わる郷土料理の『はらこ飯』だ。呼び名や使用する食材は同じだが、そのつくり方は地域によって違いがある。宮城では鮭の切り身を醤油・砂糖・酒で煮込み、その煮汁で飯を炊いて上にのせたり、身を解して混ぜ合わせたりする。岩手では飯は白飯のまま、その上に煮た鮭といくらをのせる。さらに新潟では、出汁と調味料、ほぐした鮭の切り身を少し加えて飯を炊き、盛り付ける際に焼き鮭といくらをのせて仕上げる。今回紹介するのは、新潟産の魚沼産コシヒカリと秋鮭を贅沢に使った、【つみき】の『はらこ飯』だ。これは店のオーナーが美味しいものを求めて全国を食べ歩き、見つけた逸品。新潟で味わった『はらこ飯』の味が印象に残っていたことから、店でも出されるようになったという。

創業者が全国を食べ歩いて出会った米の美味しさを、より多くの人に届けたいと、魚沼産のコシヒカリと旬の食材を組み合わせた釜飯をつくることにしたのだという。

濃厚な甘みと塩加減が絶妙な『はらこ飯』

【つみき】は米をはじめ、新潟県産の食材へのこだわりが特に強く、『はらこ飯』に使われる米は新潟県魚沼市塩沢町の専門農家から仕入れた魚沼産のコシヒカリ、鮭は村上の塩引き鮭、いくらは濃厚な甘みのあるいくらを醤油漬けにして使用している。
魚沼産のコシヒカリは、栽培に必要な水に雪解け水を使用することで、米に旨みが加わっているのだそうだ。こうしてつくられたコシヒカリのなかでも、特に粒の小さな特Aランクを取り続けている米を【つみき】では使用している。銀シャリを炊くときには天然水を使用するが、今回は鰹と昆布で丁寧にとった出汁に醤油や酒といった合わせ調味料、さらに焼いた塩引き鮭の身をほぐして釜に加えたものを一緒に炊き上げる。炊きあがった飯の上に、香ばしく焼き上げた鮭と醤油漬けのいくらをのせる。出汁と食材の味がお互いを邪魔しないよう、食材の旨みを引き出し、出汁の香りを生かした薄味仕立てに仕上げてある。米の甘みと塩引き鮭の塩加減、米に絡みつくようないくらの濃厚な旨みが絶妙なバランスの『はらこ飯』。脂ののった秋鮭の味わいを、極上のコシヒカリとともに味わい、深まる秋の味覚を堪能したい。

塩引き鮭といくらの濃厚な甘みが絶妙に絡み合うはらこ飯。1つの釜で1.5合。茶碗3膳分で2人前から注文可。

常連客が勧める逸品 〜卵焼き〜

常連客が勧める逸品 〜卵焼き〜

とっとこ村の魚沼ヒカリ玉子の
だしまき玉子  750円

魚沼産のコシヒカリと、ホウレン草のみを食べて育った贅沢な新潟地鶏の玉子を3つ使い、桜えびと鰹節でとった出汁を加えて、ふっくらと焼き上げただし巻き玉子だ。全体の色が白っぽいため味も薄めと思われがちだが、これは黄身の白さからきているもの。旨みが凝縮された、濃厚な味わいを楽しむことができる

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料理に合うお酒 〜八海山〜

料理に合うお酒 〜八海山〜

八海山各種(6種)
1合 580円〜

新潟を代表する日本酒のひとつ、八海山。【つみき】には、蔵元から直接仕入れた八海山が8種ほど揃っている。個性的なものとしては発砲にごり酒(スパークリング)なども。新潟産の食材を使った料理には、やはり新潟で醸造された酒を合わせるのが通。塩ひき鮭の塩加減といくらの濃厚さを端麗辛口の酒がキリッと引き締めてくれる。

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このページで紹介したお店

つみき 神楽坂

新潟地酒 魚沼釜飯と新潟郷土料理 つみき 神楽坂 【東京・神楽坂】

【営業時間】
【平日】 ランチ 11:30〜14:30 (L.O.14:00)
 
【平日】 ディナー 17:00〜23:30(L.O.22:30)
 
【土】 ディナー 17:00〜23:00(L.O.22:00)
【定休日】
日・祝
【TEL】
03-5206-8647

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編集後記

神楽坂上の弁財天の近くにある【つみき】。店内から一歩中に入ると、正面にはカウンター、奥は自然光が差し込むテーブル席が並んでいる。ここは新潟の食材を使った料理やお酒が楽しめる店。魚沼産のコシヒカリの米袋と、八海山をはじめとする新潟のお酒が所狭しと並んでいる。 新潟は新鮮な魚介も豊富な地。日本有数の米生産地でもあることから、今回取材したはらこ飯も、それぞれの特産品を融合させた、代表的な郷土料理だといえる。 甘くモチモチとしたコシヒカリの旨みと塩引き鮭の天然の塩み、いくらのまろやかな味わいが土鍋の中でひとつにまとまり、至福のひとときを生み出している。八海山や新潟地鶏の卵焼きとともに、新潟の美味を堪能したい時にはおすすめだ。

つみき?神楽坂

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