至福の逸品〜dish stories〜 vol.21

希少な極上ラムを豪快に味わう夏「彩り野菜のジンギスカン」〜えびすジンギスカン 海月〜

夏の行楽のひとつ、バーベキュー。内容やスタイルは全国各地で異なるが、北海道や山形、長野では、「ジンギスカン」が定番とされている。ラム、ホゲット、マトンと、成長の過程によって味わいの異なる羊肉。成羊になるに従い、クセや匂いも強くなるが、食べなれている人なら、その独特のクセと匂いこそが旨みだといわれるほど、その味わいには深みがある。今回は、味わい深く、コクのあるジンギスカンについてご紹介しよう。

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撮影/Matto Manmoto

夏の行楽に欠かせない羊肉のバーベキュー

木陰や海辺、川辺といった開放的な環境のなか、ジューッと肉や野菜の焼ける音や香ばしい匂い、ビールなどとともに仲間と楽しむバーベキュー。肉や魚、野菜と、その具はさまざまだが、北海道や東北、長野などではバーベキューといえば羊肉を使った「ジンギスカン」とされ、特に北海道では、花見や運動会、海水浴に欠かせない楽しみのひとつとして知られている。
   「ジンギスカン」とは、羊肉の焼肉料理。その起源については、戦争中の日本軍が満州料理の「烤羊肉」(カオヤンロウ)に影響を受けたなど、諸説がある。使用する羊肉は成長過程によって3種に大別され、生後〜12か月未満の仔羊を「ラム」、12〜24か月の成長途中にある羊を「ホゲット」、24か月以降の成羊を「マトン」と呼んでいる。

食べやすい大きさにカットした、豪快な厚切りのラム肉は、ミディアム・レアが基本。季節の彩り野菜とともに焼き上げ、タレをつけていただく。焼いた肉の脂が野菜にしみ込んでいて美味。

専用の鉄鍋でつくる羊肉料理

ラムは柔らかくてクセが少ないため「初心者向け」、マトンは羊肉特有のクセと食べ応えのある肉質で味わい深いため「通好み」、そしてホゲットは両方のいいところを併せ持つ、ほどよい味わいと食をそそる香りが特徴とされている。羊肉には脂肪燃焼を促進するL−カルチニンという成分が含まれており、健康や美容によいことから、女性を中心に見直されている食材でもある。
   この羊肉を使った代表料理の「ジンギスカン」は、羊の薄切り肉を野菜とともに焼いた料理。中央が盛り上がった鉄製の専用鍋を炭火やガスで下から熱し、鍋の下の方には野菜を、中央には肉をのせて焼きあげていただく。羊肉には独特のクセがあるため、明治時代からおいしく味わうための工夫が行われており、現在では醤油や味噌をベースに、砂糖やリンゴ、生姜、ニンニク、ゴマ油等を加えてつくったタレを使うのが主流。その食べ方は地域によっても異なり、事前にタレを漬け込む「味付け」と、生のまま焼いて食べるときにタレをつける「生(なま)」とに大別されている。

自由な発想で料理を生み出してきた大塚さん。常に柔軟な姿勢で、食材や味付けの組み合わせなどを考え、『ラムギョプサル』など、お店のメニューに取り入れている。

希少なアイスランド産ラム肉を使用、厚切り肉の『ジンギスカン鍋』

地域によって食べ方に特色の出るジンギスカンを、北海道のスタイルで楽しめる店が、ここ【えびすジンギスカン 海月(くらげ)】。使用する羊肉は、通常のラム肉に比べてクセが少なく、食べやすいアイスランド産のラム肉を使っている。
   七輪の上に鉄鍋を置き、中央に牛脂を熱して、厚切りにした肩部分のラム肉をのせていく。そして、下の方にはゴーヤやズッキーニ、キャベツ、ニンジンといった季節の野菜を敷き詰める。中央で焼きあげた肉の脂が鍋肌をつたって下まで流れ、その旨みが野菜にしみ込んで、野菜はラム風味に焼きあがる。
   肉の焼き加減はミディアム・レアが基本。肉と野菜が同時に焼き上がるよう、のせるタイミングは計算しているという。外側はほんのりきつね色に香ばしく、なかは柔らかくジューシーに焼き上げたラム肉は、驚くほどクセがなく、ヒレステーキのように柔らか。厚切りであるところもポイントだ。希少なアイスランド産のラム肉を豪快に味わうリッチなジンギスカン鍋を、相性のよい日本酒とともに味わいたい。

ラム肉の脂と旨みを野菜に染み込ませ、ラム肉と、野菜がちょうど同タイミングで焼きあがるように仕上げるジンギスカン鍋。ミディアムレアに焼き上げたラム肉は、特有のクセもほとんどなく、柔らかくて食べやすい。

常連客が勧める逸品 〜ラムギョプサル〜

常連客が勧める逸品 〜ラムギョプサル〜

ラムギョプサル 1890円(1人前)
サムギョプサルの肉を豚肉でなく、ラム肉でやったらどうだろうという発想から生まれた料理。ジンギスカン鍋で厚切りにしたラム肉とキムチを焼き、サンチュや香菜、ニラなどの青野菜と肉を巻き、ゴマ油、味噌、アボカドとトマトのディップという3種から好きなソースをつけていただく。ラム肉はキムチとの相性も良いほか、ミョウガや大葉といった和のハーブとも好相性。まずはアボカドとトマトのディップで味わい、あとは好みの組み合わせで味わう。

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ラム肉に合うお酒 〜京都 玉川〜

ラム肉に合うお酒 〜京都 玉川〜

京都 玉川(山廃純米酒)
一合 680円

どのお酒も、基本的にはラム肉との相性を考えて選んであるが、特におすすめなのは、試飲会で「これならラムに合うかもしれない」と選んだ、京都の日本酒、玉川。ラム肉に使う、甘みの強いタレが辛めの日本酒で調和され、料理をまろやかな味わいにしてくれる。タレをほんの少し日本酒に入れて飲むのも通ならではの楽しみ方だ。

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このページで紹介したお店

えびすジンギスカン 海月

えびすジンギスカン 海月 【東京・恵比寿】

【営業時間】
月〜木・土・日・祝前日  17:00〜24:00(L.O.23:30)
 
金  17:00〜翌3:00(L.O.2:00)
【定休日】
なし
【TEL】
03-3770-2205

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編集後記

恵比寿の裏路地にある店の暖簾に書いてある「希少ラム」の文字。ここは日本への輸入は5%に過ぎないといわれる、アイスランド産のラム肉を使った、ジンギスカン料理が楽しめるお店だ。アイスランド産のラムは、一般的なものと比べて驚くほどにクセがなく、肉も柔らか。ラムが初めてという人でも安心して味わえるが、店の人に言わせると、食べなれた人にとっては、あの独特の匂いやクセがないので物足りないといわれることもあるそうだ。そんなラムを贅沢に使ったジンギスカン鍋。薄切り肉ではなく、分厚いヒレステーキをカットしたサイコロステーキのようなジンギスカンを味わうと、これまでのラムに対する概念が大きく変わったような気がした。ここではサムギョプサルのような感覚で味わう「ラムギョプサル」などもある。既成概念を外し、自由な発想で色々な料理をそろえてあるのも魅力。いつもとは違うラム肉料理を堪能したい人におすすめだ。

えびすジンギスカン 海月

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