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  3. 「茸」がおいしい東京のお店 目黒【オステリアバル リ・カーリカ】、上野広小路【鳥恵】、杉並【しんぽ】
心地よい食感と芳香「茸」 心地よい食感と芳香「茸」 心地よい食感と芳香「茸」

心地よい食感と芳香

秋も深まると、食道楽の視線は山に向けられます。里芋に銀杏、栗なども魅力的ですが、何と言っても秋の山の幸の代表格といえば「茸」。この時期、多くの料理で目にすることが多いと思いますが、今回は「茸」が主役、オンリー茸の料理をお届けします。

シンプルなソテーこそ、そのポテンシャルが花開く『ポルチーニ茸のソテー』

【オステリアバル リ・カーリカ】東京・学芸大学

気軽に、そして賑やかに、ワンランク上の厳選素材を極上の料理で食せる店

 世界的にみればトリュフと双璧の“名声”を博しながら、日本ではまだ、イタリアン好きのみが独占している感がある「ポルチーニ茸」。主にイタリア料理で重宝されるこの茸、なかには肉料理にパスタ、さらにはスープやリゾットで使われているのに気付かずに食していた、なんて方もひょっとしているのかもしれません。

学芸大学駅にほど近いこのお店は、まさに知る人ぞ知る「大人のための隠れ家」

 それならばこの機会にシンプルな調理法で食材としてのポテンシャルを問い、その魅力を広く伝えるべき。そこで今回は「余計な手は加えない」をコンセプトに、イタリアンフリークで連日、盛況の【オステリアバル リ・カーリカ】の『ポルチーニ茸のソテー』を賞味します。

『ポルチーニ茸のソテー』

軸の部分とかさの部分で異なる食感を楽しめるのがこのメニューの魅力。焼くことで香りがぐっと立ち、甘みも全開となります

「今回のものは特に大きい」と店主の堤さんも驚くポルチーニ茸はバター、塩コショウ、にんにくオイルで味付け。

先にオチから話せば、この料理はシャキシャキとした軸と、口で蕩けるかさの食感が醍醐味。そのため、「味付けは“ポルチーニ茸の背中をそっと押す程度”にシンプルに。重要なのは火入れ」なのだとか。程よく熱が入ったポルチーニ茸は仕上げにラルド(豚の脂)、オリーブオイルをかけて完成を迎えます。

店自慢のイタリア産オーガニックワインが、この料理の味の輪郭を際立たせてくれます

 テーブルに運ばれるまでの間に店内に満たされる芳香。「ほかのテーブルに運ばれるこの料理をみて、つられてオーダーする方も多い」という話も納得です。そしてその味は…。ぜひ、お店でご確認あれ。

撮影/Matto Manmoto 文/ヒトサラ編集部

火入れの加減を見極める繊細さが調理の肝『椎茸串』で、その旨味を再評価してみる

【炭火焼鳥 上野広小路 鳥恵】東京・上野広小路

フメニューの軸となる鳥肉は5種類の銘柄を用意。路地裏の予約が絶えない焼鳥店

 英語で「shiitake」、フランス語で「le shiitake」と呼ばれ世界から受け入れられている「椎茸」。日本人に馴染み深いこの食材、実は鮮度が落ちやすいため、悪くなったものを食べていたずらに評価が下がっているという向きもあり。もともと出汁に使われるほど旨味の強い食材、それならば、質と鮮度の高い「椎茸」を使った料理なら、名誉を挽回できるはず。

すでに口コミなどで“予約の取りづらい店”として有名ですが、来店前に構える必要はナシ。自然体で楽しめるのがこの店の魅力

 そこで白羽の矢を立てたのが、食材にとことんこだわり、絶妙な火入れで供する串ものに高い評価が集まる炭火焼鳥の店【上野広小路 鳥恵】。この店の『椎茸串』、やはり従来のそれとは一線を画すようで、常連客から酒のアテに単品でオーダーされるケースも多いのだとか。

『椎茸串』

まずは炭火の香ばしい薫りが鼻孔を抜け、噛みしめるとジューシーな椎茸の旨味、「鶏油」の微かなコクが口に広がります

 一度、食べた者を魅了してやまないその逸品、調理は至ってシンプル。軸を切った椎茸のかさの上の部分を最初に、「勘と経験」を頼りにリズムよくひっくり返し、そこに、鴨肉を弱火でじっくり2時間ほど煮込み水分を飛ばした「鶏油(チーユ)」を刷毛で軽く塗り、気持ち“艶”がでてきた椎茸に鶏塩を軽くまぶして完成です。

『椎茸串』をひと口、日本酒をひと口がこの店の常連流の楽しみ方

 炭火と「鶏油」で香ばしさを纏ったことで、椎茸独特の風味は鳴りを潜め、その逆、椎茸の旨味に奥行きを生み出しています。従来の焼鳥店ではどこか“箸休め”的なポジションに追いやれている椎茸ですが、この店でその味の良さを再評価してみてはいかがでしょうか。

撮影/大鶴 倫宣 文/ヒトサラ編集部

喜び舞い踊る旨みの茸、肉厚な舞茸を天ぷらで食す『舞茸の天ぷら』

【しんぽ】東京・杉並

毎朝の市場で出会う、旬の魚をシンプルに味わう。旨さに“前のめり”な名店

 西荻窪駅南口、居並ぶ飲み屋街に立ち込める煙と誘惑を越えて、その先に待つのはトロ函の積みあがる居酒屋【しんぽ】。カウンターを埋めるお客はここを一軒目に選ぶ「食に前のめりな方々」と店主の新保さんは呼びます。その期待に応え、新保さんは毎朝市場に足を運び、納得のいく食材を目に、手にしてはその日のメニューを練るのだそう。

一人でもカウンターに次々と出てくる料理と酒が饒舌な話し相手になる、そんな賑やかな食酒場

「旨みの出汁を全部使う炊き込みご飯や、バター炒めもいいけれど、熱に弱い舞茸の旨みや栄養を逃さずに、さっと揚げて仕上げられる天ぷらが一番美味しいでしょうね」と話す新保さん。

香りも旨みも増す秋には、舞い踊りたくなる旨味の舞茸を、ザクッとかみしめる天ぷらでいただきたい

 子どもの頭ほどの大きさの株から房を剥ぎ、薄くタネをくぐらせて、油の中へ放ります。パチパチと心地よい音の中から衣の香ばしさと舞茸の匂いが渾然と立ち上り、もう喉が鳴ります。

『舞茸の天ぷら』

選び抜かれた肉厚「舞茸」は香りで語ります。揚げることでその香りを凝縮しています

 香りを振りまきながら、踊るような姿で皿に盛り付けられた大ぶりの舞茸にかぶりつくと、歯触りはザクッと衣と身を捉えて軽い、噛みしめると、じゅわっと旨みのしみだすジューシーな茸の厚み。

いつの間にか空になった酒杯に、急ぎもう一杯を注いでもらうと「ほら、もう前のめりになっています」と笑う、店主と常連につられて笑う。まだ鼻孔に残る茸の香と共に、晩秋の夜をもう少し長く過ごしましょうか。

撮影/岡本裕介 文/ヒトサラ編集部

全国のおいしい料理が
味わえるお店

ヨーロッパの茸を味わう『フィンフェルリ茸のクリームペンヌッチエ』

「フィンフェルリ茸」というきのこを使った『クリームペンヌッチェ』は、きのこの甘い香りがクリームソースとマッチする逸品です
東京・新宿

ヴィンチェロ

03-5367-1967

美味が口の中に広がる『絹傘茸の燕の巣詰め 極上スープ仕立て』

「森の女王」とも呼ばれる絹傘茸と高級食材の燕の巣を、秘伝のスープで極上の味わいに。素材の美味しさに繊細で深みのあるスープが見事に調和
東京・溜池山王

中国料理 花梨

03-3505-1185

8種類の茸の濃厚な風味がひろがる『茸のテリーヌ』

フォンドボーベースの味付けされた、シェフのスペシャリテ「テリーヌ」。香りも歯触りも違うフランス産と国産の茸の、濃厚な旨みを味わえます
愛知・名古屋

四間道レストランMATSUURA

052-720-5631

衣の付け具合も一工夫、素揚げと衣の食感の違いを楽しめる『舞茸』

舞茸は、半分だけに衣をつけ、片側は素揚げで。白絞油で揚げることで仕上がりが軽く、瑞々しい味わいが口の中に広がります
京都・烏丸

串たなか

075-222-0054

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