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シェフのヨコガオ

撮影/大鶴倫宣、玉川博之
文/ヒトサラ編集部

伝統に独創性を盛り込んだ
大人のイタリアン
BIODINAMICO 高見 博史 氏

『もっと、もっと』と
何か新しい料理を探し
ださずにはいられない

My News

  • 2014.7.31

    私のヒトサラは、イタリアの伝統的な組み合わせから新しい料理に再構築してつくっていきます。無茶な組み合わせは素材の良さを殺いでしまう。そんな過去の反省を、今も常に心に留めています。 8月のディナーのこのヒトサラは、カボチャのラビオリサルシッチャソースが原型。タルトにしたカボチャに豚フィレ、モスタルダはカボチャと好相性の赤肉メロン。そしてナツメグのオイルにフレッシュのセージ。薫り高いヒトサラを、ぜひお楽しみください。

Interview

東京・渋谷にある、隠れ家イタリアン【ビオディナミコ】。
自然派ワインと、伝統をベースに再構築した独創的な料理が話題のレストランだ。高見シェフがつくり出す濃厚な「ラビオローネ」とは?

伝統と創作が交差する現代のイタリアンを目指して
 食の嗜好がヘルシー志向へと向かい、イタリアンのブームが巻き起こりつつある時代に料理人への道を選んだ高見博史シェフ。専門学校へ通いながらアルバイトをしたフレンチレストランで、その美味しさに魅了されてはいたものの、最終的な進路にはイタリアンを選んだ。
「長い歴史を持ち、すでに確立されている印象のフランス料理よりも、これから出てくるであろう、イタリア料理に挑戦したいという思いが強かったからです」
 専門学校を卒業後、「このエリアで最もおいしい料理をつくる人のもとで修業を積みたい」と思った高見シェフは、地元周辺を食べ歩いて自分が一番おいしいと思った店に直談判して働き始め、3年の修業を経て上京。27歳になったとき、イタリアの四季と伝統、そして料理の背景にある、個性豊かな地域性を肌で感じたいと渡伊する。
ソムリエの知人が住む、エミリア・ロマーニャ地方の一ツ星ホテルを併設したレストランで働きながら、ホテルのレジョナーレ(伝統的な料理)と、レストランのクレアティーボ(創造的な料理)の両方を1年間学んで帰国。数軒のイタリアンを経て、ビオディナミコの料理長に就任した。
「イタリア料理をつくるうえで最低限知っておくべき伝統的な組み合わせや技術、ルールなどは踏まえたうえで、それを組み立てなおすことで、どれだけオリジナリティの高い料理がつくれるか。そうした“クレアティーボ”をコンセプトとして料理をつくるようにしています」
 長い歴史とともに培ってきた伝統を崩して、一つひとつの技術を磨き上げ、独自のエッセンスを加えて再構築することで、新しいものを生み出していく姿勢。「シェフって、『もっと、もっと』と何か新しい料理を探しださずにはいられない人種だと思うんです」と語る高見シェフのつくる料理には、現地のレストランで学んできた考え方が生かされている。

創造性をコンセプトとするスペシャリテ『ラビオローネ』をめぐって

 クレアティーボをコンセプトとした料理。それを象徴するのが、代表作である『ラビオローネ』だ。 「チーズは旨みの塊なので、料理には積極的に使いたい」と語る高見シェフが、パルミジャーノチーズ(36か月)の味わいを生かした料理をと考えていた時に浮かんだ、北イタリアを代表する料理を独自にアレンジしたものだ。
 特大のラビオリには、吟味した赤卵の卵黄のみを使用。自家製のパスタにリコッタチーズ、ほうれん草を詰め、チーズとトリュフでつくったソースをたっぷりかけていただく。白トリュフの香りがただようラビオリの中央にナイフをあて、中の卵黄とチーズのソースを絡ませて口に運ぶ。コクのあるチーズと濃厚な卵黄のまろやかさを、ほうれん草の苦みと弾力のあるラビオリが包み込み、すべてが融合して奥深い味わいが口中いっぱいに広がる。現地では詰め物が大きいほどリッチな料理とされるのだという。
 旨み食材(アンチョビやチーズ、生ハム)をベースに、ハーブを生かしてつくる料理の数々は、すべてコース仕立て。塩分の強い料理の後には、口直しとして野菜を食すなど、全体の塩分量も調整しながら料理を組み立てていく。
 同じメニューは2度とつくらず、引き出しを増やすために新たな料理や自分の知らない地域の料理を掘り下げていく一方で、世界の料理の進化にも注視して良いものはどんどん取り入れていく貪欲さ。イタリア料理の伝統や地域性は生かしながらも、独自性を追求する高見シェフの料理は、今後も進化を続けていく。
(2014.7.10取材)

家庭で再現したい名店の一皿

カバテッリ パスタ・コン・レ・サルデ

特にいわしとフィノキエット(野生のウイキョウ)が味の要。家庭で楽しむ場合は、フィノキエットが手に入らない場合は、ウイキョウ(フェンネル)で代用も可。通常は、乾麺のスパゲティを使うことが多いが、生パスタにこだわる高見シェフは、シチリアのパスタ「カバテッリ」で仕上げている。

材料(2人前)
  • カバテッリ 120g
  • オリーブオイル 20cc
  • 玉ねぎ 10g
  • にんにく 1片
  • ブイヨンまたは水 20cc
  • ローリエ  1枚
  • フィノキエット
    (フェンネル/ウイキョウ)  50g
  • 真いわし 4本
  • レーズン 10粒
  • 松の実 5g
  • パン粉 大さじ2
  • サフラン 3g
  • トマトペースト 小さじ1
  • 白ワイン 30cc
下ごしらえ
  1. 1. 玉ねぎをみじん切りし、にんにくは押しつぶしておく
  2. 2. フィノキエットを下茹でし、茹で汁に浸しておく
  3. 3. 真いわしを3枚おろしにし、骨を取り除く
つくり方
  1. 1. フライパンにオリーブオイル・にんにく・玉ねぎを入れて、弱火できつね色になるまで炒め、ブイヨン(または水)・ローリエを入れる
  2. 2. ウイキョウの葉(フェンネル)・その茹で汁・真いわし・干しぶどう・松の実・アンチョビ・サフラン・白ワイン・トマトペーストを入れ、弱火で約30分煮込む
  3. 3. パスタをたっぷりのお湯に塩を入れ、茹であげる
    (既成のパスタの場合、記載より若干短めに)
  4. 4. 茹であげたパスタを鍋に入れ、手早くあおって混ぜ合わせる
  5. 5. 皿に盛り、上からにんにくの香りを付けたパン粉をかけて完成

シェフの裏ワザ

【BIODINAMICO】流ローストビーフの火入れ

外側はしっかり火を通し、中はロゼ色でジューシーなローストビーフをつくるコツを、高見シェフに教えていただいた。

  1. 1.冷凍の肉を使う場合は、必ず常温に戻してから使う
  2. 2.鍋に多めの油を用意する
  3. 3.油の温度を40度でキープし、その中に牛ロースの塊肉を入れる
  4. 4.お風呂に入れるイメージで、約30分そのままゆっくり火を通す
  5. 5.鍋から取り出してフライパンで表面に焼き色をつけ、適当な厚さにスライスして盛り付けたら完成
※豚肉の場合、油の温度を60度にして、同じ要領で調理すると美味しく仕上がります
BIODINAMICO(東京・渋谷)
【営業時間】
ランチ 12:00〜15:30 (L.O.13:00)
ディナー 18:00〜23:00 (L.O.20:00)
定休日:日曜日・第1・3月曜日
【電話番号】
☎お問い合わせ専用番号:03-3462-6277
平均ディナー予算:15,000円
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