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シェフのヨコガオ vol.24 深町正男 氏

フレンチをベースに独創的な和食をつくる英国料理人

 下町の風情あふれる、東京・王子の駅からすぐのところに店を構える【The White Fox】(ホワイトフォックス)。イギリス出身のフレンチシェフの経歴を持ちながら、饗する料理は和の食材を使った和欧創作料理。「日本とフランスの融合」をコンセプトに、双方のよいところを組み合わせてつくる料理は、斬新というよりも親しみやすさとおいしさを追求。和の食材を使い、洋の技法を駆使してつくる料理の数々。発想の面白さと遊び心を散りばめた、深町正男シェフのヨコガオに迫った。

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撮影/大鶴 倫宣

海外へ行ける華やかな職業に憧れて

太白胡麻油を使い、うす衣でサクッと仕上げた「てんぷら」。鰹と昆布で丁寧にとった出汁にみりんと醤油を加えた天つゆか、塩でいただく軽く上質な味わいは、【山の上ホテル】のスタイルそのもの。そんな名ホテルの味を継承しているのが、【てんぷら深町】で腕を振るっている、ご主人の深町正男さんだ。

深町さんは栃木県の足利市出身。近所に住んでいた、都内の有名ホテルで働く料理人にあこがれて1967年に18歳で料理人を目指すべく上京。ホテルに入ろうと面接を重ねていたところ、縁あって東京・御茶ノ水にある【山の上ホテル】のてんぷらセクションに入店。和食の基礎を身に着け、その後専門料理であるてんぷらのセクションで修業を重ね、27歳にして和食の料理長に抜擢となる。その後34年間をかけて同ホテルで研鑽を重ね、52歳を迎えたとき、「職人に定年はない」と生涯を現役で貫くことを決意し独立し、【てんぷら深町】を開店した。

深町正男 氏

一流の素材でつくる、シンプルかつ極上のてんぷら

山の上で使う油は太白胡麻油と純正胡麻油とをブレンドし、天つゆは鰹と昆布でとった出汁に、特定銘柄のみりんと醤油を使用してつくる。「美味しいものをつくるということは、食材を捨てることをいとわず、その最もおいしい部分のみを使うこと。そしてつくられる料理は、素材や内容が誰にでもわかるものでなければならない」というのが山の上ホテル社長の持論だった。一流の食材は2日目になれば二流に、3日目になれば三流になる。一流の店であるからには、一流の食材を使い続けることが必須。また手を加えすぎて、素材本来の持ち味を損なわないよう、料理はシンプルに。その姿勢を深町さんはしっかりと受け継ぎ、築地の長年付き合ってきた業者から仕入れる最高級の食材を値切らずに買い付ける。また、その日に仕入れた食材はその日のうちに使いきり、必要以上に手を加えずに仕上げる。34年間守り続けてきた、この伝統を、日々、忠実に再現しているのである。

料理写真

山の上ホテル時代からの特選メニュー『雲丹』

衣を薄くし、ネタによって揚げる油の温度を変えて、油を捨てながら揚げるなど、これまで培ってきた技術を駆使してつくる、山の上スタイルの江戸前てんぷら。なかでもホテル時代からの人気メニューであり、深町さんの代表作ともいえるのが、『雲丹のてんぷら』だ。北海道産で粒ぞろい、身の引き締まった雲丹をたっぷりと大葉にのせて包み、表面に薄い衣をつけてカラリと揚げる。なかの雲丹はレアな状態となっており、そのまま何もつけずにいただくと、素材本来の甘みや雲丹の塩気がまろやかな舌触りとともにフワリと広がる。少し塩をつけると、甘みがより引きたち、日本酒が欲しくなる味わいに。素材の仕入れから使い方、種の配合から油の種類、揚げる温度に至るまで、すべてをそのまま、江戸前の山の上スタイルを継承してつくられる、深町のてんぷら。山の上ホテルのてんぷらの味を愛する多くのファンを魅了し続けるとともに、その技術は、次代を継ぐ息子たちへと伝承されていくに違いない。

料理写真

料理人のウラワザ〜かき揚げをつくる時、油の温度は低めに、種は重ねて〜

家庭でかき揚げをつくる時には、水と粉の配合や油の温度がポイントになります。プロの技を参考に、サクサクの美味しいかき揚げをつくりましょう。
1.卵水と粉の割合を1:1にし、ダマのないよう手早く混ぜて衣をつくる。粉の粘りがでないよう、手早く混ぜるのがポイント。
2.鍋にゴマ油を注いで熱し、油の温度が160〜170度ほどになったら、種を重ねるようにして手早く入れる。※温度は鍋にたらした衣が鍋底について上がってくるのが目安。
3.種を熱した鍋に入れ、4、5秒したら
ひっくり返して油の温度を上げたまま
2,3分揚げる。
4.花が咲くように揚がったら
出来上がり。油を切り、いただく。
※かき揚げを鍋に入れる時は、
何個も入れると油の温度が下がる
ため、1回につき1個までに。

記憶に残る料理人〜まかない料理を通じて〜

山の上ホテルで34年間、てんぷらを始めとする日本料理を学び、腕を磨いて独立した深町さんが最も影響を受けた人物。それは山の上ホテルの初代社長をつとめた、吉田俊男氏だ。深町さんは、社長から「子供からお年寄りまで、これが何でつくられているものなのかがわかる料理をつくるように」といわれていたという。手を加えすぎて素材の原型がわからなくなってしまう料理はもってのほか。深町さんは素材を極力いじらず、その旨みを引き出す料理をつくるよう、懸命に努力した。特に社長はまかない料理で「味のチェック」をする人で、電話が来るたびにまかない料理をつくり、運んだ。そのことを通じて教えられたことは多かったという。また、築地で仕入れた食材が使用できるのは仕入れた当日のみ。1日でも古くなれば捨てるよう指示されていた。「一流の食材でつくる一流の料理」という山の上ホテルの美味に対する信念は、深町さんの店で今なお受け継がれている。

てんぷら深町 【東京・日本橋】

【営業時間】
ランチ   11:30〜14:00(L.O.13:30) / ディナー 17:00〜22:00(L.O.20:30)
土・日・祝  11:30〜15:00(L.O.14:00)
【定休日】
月、第1・3日、GW期間中、盆時期、年末年始
【TEL】
03-5250-8777

詳しく見る

てんぷら深町

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