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第64～67回のゲストは、
Nabeno-Ism　渡辺雄一郎氏

ON AIR No.064～No.067

1967年生まれ。辻調理師専門学校・同校フランス校卒業後、1989年、東京「ル・マエストロ・ポール・ボキューズ・トーキョー」に勤務。1991年に渡仏し、フランスの1ツ星レストラン【ラ・テラス（シェ・アントナン）】にて魚料理部門シェフを勤める。1993年、ポールボキューズトーキョーの部門シェフを経験。 1994年【タイユバン・ロブション】開業時に部門シェフとして厨房に入り、1996年にスー・シェフに就任。1998年より【タイユバン・ロブションカフェフランセ】のシェフに就任し、2000年、南フランスヴァンスミシュラン２ツ星【ジャックマクシマン】や2004年、モナコ【ジョエルロブションモンテカルロ】にて研修を積み腕を磨く。同年12月より、シャトーレストラン【ジョエル・ロブション】のエグゼクティブシェフに就任。2007年ミシュラン東京（2008）で3ツ星を獲得以降、2015年版まで9年間継続して3ツ星を獲得。
2015年10月、21年間にわたり勤務したロブショングループシャトーレストランを勇退。2016年7月7日東京浅草駒形隅田川ほとりにて、【レストラン Nabeno-Ismナベノ-イズム】を開業し現在に至る。

ON AIR No.064　第1回
ON AIR No.065　第2回
ON AIR No.066　第3回
ON AIR No.067　第4回

ON AIR No.064　第1回
- 第64回：ナベノイズムとは
  
  あの【ジョエル・ロブション】の星を守り続け、21年間にわたり勤務したロブジョングループシャトーレストランを勇退し、2016年7月、東京浅草駒形の隅田川ほとりにて自身のメゾン【Nabeno-Ism ナベノ-イズム】を開業し、新たなる道を開いた。21年間のロブション時代から開業に至ったわけとは。そして、渡辺シェフの新たなステージ【Nabeno-Ismナベノ-イズム】に込めた思いとは。
  
  東京浅草駒形の下町で開業
  
  ――ナベノイズムのコンセプトをお聞かせください。
  渡辺：地域密着型といいますか、これから東京オリンピックに向けてこの地域が盛り上がってくるだろうし、この地域を盛り上げていきたいと思いこの東地区で開店しました。
  ――時代の流れを考えても、東のエリアの方が面白いと感じられた？
  渡辺：先日のリオオリンピックの閉会式を見ていて、最後にスカイツリーが中央に出てきたシーンを見て鳥肌がたちましたね。なんか追い風きだぜーって嬉しくなりました。水の都、東京ですからこれからどんどん盛り上げていきたいですね。
  
  ナベノイズム、ロゴに込めた思い
  
  ――ナベノイズムの「ナベ」は渡辺さんだからで、それの「イズム」って？
  渡辺：一言でいえば、渡辺の流儀、方向性、表現だとか、今まで自分が学んできたことをすべてここで示したいという思いでつけました。
  ――Ｎをとるとabeno（あべの）になるんですよね？
  渡辺：そうです。これは辻調理師専門学校の本拠地が大阪の阿倍野になるんですが、僕はその卒業生で、僕にとっての料理人の原点である土地なので、感謝やリスペクトを込めて店名に付けさせていただきました。
  ――ロゴもすごくカッコいいですよね。
  渡辺：このロゴは、渡辺家の家紋になるんですが、僕の考え方は、お皿の上に三ツ星が乗っているという解釈で運命を感じたロゴなんです。
  
  フレンチと浅草の伝統が融合された【アミューズ・ブーシュ】
  
  まず、ファーストアタックになるアミューズ。
  雷おこしの老舗【大心堂】の「古代」、浅草の老舗【種亀】の最中の皮を使ったスナックとフランス時代の師匠ジェラール・アントナン氏との思い出の【グリーンオリーブ】の3種の小皿と季節のガスパチョ。インスピレーションを最大限に刺激される始まりだ。
ON AIR No.065　第2回
- 第65回：ジョエル・ロブション氏とは
  
  日本のメディアでは「フレンチの神様」｢フレンチの皇帝｣と称されることも多い、世界でもっとも有名なシェフの一人であるジョエル・ロブション氏。長年一番身近でみてきた渡辺氏が感じた彼の偉大さとは。そして、渡辺氏が30歳でシェフになったときの想い、抱負とは。渡辺氏がシェフとして基盤となったロブション時代を語る。
  
  頂点を超えた、神の領域のような存在
  
  ――ジョエル・ロブションさんってたぶん世界で一番有名な方ですよね。
  渡辺：間違いないですね。伝説をたくさんつくられてきた方です。まず、ミシュラン史上始まって以来の三年間で三ツ星に駆け上がった方です。そして50歳で料理人を辞めたいという宣言をされたり…あとはスペシャリテといわれる彼ならではのお皿を多く生み出してきたというのは業界にすごく影響を与えてきたと思います。
  ――非常に革命的な方だったんですか？
  渡辺：そうですね。常にトップを走ってこられた大師匠です。
  ――渡辺さんがそばでずっと見てこられた印象は？
  渡辺：まず厳格です。妥協が一切ない厳しい方でした。特に食材選びは本当に厳しかったですね。どれだけ走り回っていたかわかりません（笑）。
  
  ３つのマニフェスト
  
  ――30歳でシェフになられたんですよね？
  渡辺：はい、辻調を卒業するときに自分で3つの公約を掲げたんです。「30歳までにシェフになる」「大きな組織で役職に就く」「辻調の教壇に戻ってくる」という目標を自分のお尻を叩く意味でも掲げたんです。
  ――ということは、三冠王になったんですね。
  渡辺：はい、僕は常に何か目標を立てていました。今もそうなんですが、なにか目標がないと自分もチームも進んでいけないので、目標に向かって少しずつクリアしていくっていうのが自分のやり方ですね。
  
  向かい風を自らの力に変える「風車の理論」
  
  「ロブション時代は、氏から褒められようなんて甘えは一切なかった。どんな強風も受け止め、自分のパワーに変えて一緒に立ち向かっていけるチームづくりを心がけていた」と語る渡辺氏。苦境すらチャンスに転換させ、メンバーを守ろうとするシェフの姿勢からは、ひとりの人間としての芯の強さ、そしてリーダーとしての確固たる意志が窺えた。
ON AIR No.066　第3回
- 第66回：シェフとして
  
  シェフとして走り出した渡辺氏。シェフになってからの世界各地での研修の日々。中でも【ジャック・マキシマン】への研修で学んだこととは。そして【ジョエル・ロブション】のエグゼクティブ・シェフに任命されたときの迷いと決断からロブション氏のもとで、星を守り続けた21年間。渡辺氏はなぜ辞めるという結論に至ったのか。辞める決意を伝えたロブション氏との感動の秘話を語り明かす。
  
  南フランスの【ジャック・マキシマン】での研修
  
  ――シェフになられてから、南フランスの【ジャック・マキシマン】やモナコにも行かれたり、これはマネージャー研修みたいなものですか？
  渡辺：ジャック・マキシマンさんは僕たちの世代からみてもレジェンドなんですよ。ロブションさんとだいたい同年齢で、ロブションさんがパリのホテルで二つ星を取って、マキシマンさんは南フランスのホテルで二つ星と、当時ホテルが星を取るのはすごく難しい時代だったので、「二人の天才」と言われていた時代があって、僕はロブションさんの元で学んでいた中で、「もう一人レジェンド」の彼のものでチャンスがあれば調理場に入ってみたいという考えで行かせていただきました。
  
  21年間という長いロブション時代に終止符。
  
  ――21年やってこられて、なぜお辞めになったんですか？
  渡辺さん：なぜでしょうかね。二十歳になったからですかね（笑）。という考えもありましたし、あとは次の世代にバトンを渡したいという思いもありました。あとは自分自身ももっともっと違うことをやっていきたいと思ったので、ロブションさんにお伝えしました。
  ――ロブションさんは辞める時になんて仰ったんですか？
  渡辺さん：お伝えするのに一週間もかかったんですよ（笑）。
  そしてやっと話せる機会が出来たときに、すべてを話しました。そしたらまず、頬にビンタ一発気合いを張られて「ブラボー」と言われたんですね。そして「今までありがとう、お前に支えてられて助かったわ」という言葉をかけられてほんとに涙出ましたね。ほんとに愛情のある言葉をいただいて有難かったです。で、その後「何人抜いていくんだ？」と聞かれたんで、正直に「3人です」って答えたんです（笑）。そしたらもう一発ビンタを張られて、「ブラボー、ここは大丈夫だから次のお店で頑張りなさい。必ず食べに行く」と仰っていただいたんです。本当に食べに来たら大騒ぎですけどね（笑）。
ON AIR No.067　第4回
- 第67回：辻調、食育、これからの料理人へ、そして自分の未来は
  
  全国大会に出るほどの野球少年だった中・高校時代。だが大学へは進学せず、自ら選んだのは辻調理師専門学校であった。料理人の道へと歩みだした渡辺氏。「料理人になる」と決意したのは小学校当時の担任の先生のある言葉がきっかけだった。そして辻調の教壇に立ち、若き後輩たちへ教える立場になったいま伝えたい渡辺氏の想い、そして若き料理人へのメッセージとは。
  
  野球から学んだこと。
  
  ――野球にはずっと打ち込んでいらっしゃったんですね？
  渡辺：野球は本当に色々なことを教えてもらいました。礼儀、先輩後輩の接し方、チームワーク、そういったものをすべて学ばせて頂きました。
  ――スポーツを通じて自分の人間形成をされてきた？
  渡辺：今でもバックボーンは中・高校の野球にあると思います。
  ――今でも厨房でも生かされている？
  渡辺：考え方は似ていると思います。グラウンドに入るとき頭を下げるのと一緒で、僕は厨房入るときは必ず神棚に手を合わせて「今日も一日お願いします」とやってます。日本人ならではのスピリッツというか…感謝を示していきたいです。
  
  辻調の教壇に立ち、今何を教える。
  
  ――今辻調で教えていらっしゃるんですよね。
  渡辺：そうですね。2000年から始めて16年目になるんですが、最初に掲げた目標の一つでもありますし、後輩たちになにか刺激を与えられたらなという考えです。僕も今の生徒さんと同じ立場でいたわけですから、なんとか頑張ればこうなれるぞというエールを送りにいっているという感じですかね。スタートはみんな白紙なんですよね。そこから努力したり勉強したり、そこから道が開けていくという考えですし…あと「来たチャンスは逃すなよ！」といつも言っています。
  ――具体的になにかテクニックやスキルも教えるんですか？
  渡辺：もちろんです。味の構築から、技術もレシピもフルオープンで教えています。
  
  若き料理人へのメッセージ
  
  渡辺：初志貫徹。自分が最初に掲げた道というか、志を貫いてほしいですね。そうすれば自然と道は開けてくると思います。あとはやっぱりお客様あっての商売ですから、常にお客様を思いながら、身内に料理を出すときのように、愛を込めて料理をつくっていただきたいですね。

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渡辺雄一郎氏のレシピChef's Recipe

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フランスの食文化に精通し、食育にも尽力。2019年ラグビーワールドカップや2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の顧問等を務め、幅広く活躍中の三國シェフに徹底インタビューを敢行。

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