第149回:人生の岐路がコーヒーとの出会いに
とにかく勉強が大好きで、将来の夢は“お医者さん”だった粕谷氏。そんな粕谷氏がコーヒーに出会ったのは世界一になるわずか3年前。大学院を経てITコンサルタントとなった彼を襲った、突然の病気がきっかけでコーヒー業界に足を踏み入れることに。数字につよく、趣味は、靴磨きと写経という粕谷氏がコーヒーに惹かれたその理由、そして世界のコーヒー市場に迫る。
突然の「1型糖尿病」で入院生活
――コンサルの会社に就職されて順調な時に、突然ご病気になられたとか。
粕谷:そうですね。2週間で7~8キロ痩せて、のどの渇きが止まらない、みたいな。でなんかおかしいけど、検索サイトで調べると糖尿病って出てくるし、ちょうど会社の検診でわかりましたね。
――じゃあ、入院時にガラッと生活が激変。そこでまたなんでコーヒーだったんですか?
粕谷:検索サイトが教えてくれましたね(笑)。「糖尿病 何飲めばいい?」と検索したら、出てきましたね。暇なんで道具一式買ってきて病室で淹れたのがはじまりでした。そしたら、すんごいまずいコーヒーが出来上がって(笑)。それがもう衝撃的。どうやったらおいしくなるのかなーっていうのが、今もずっと続いてるっていう感じですね。
――すごい、“コーヒーが変えた人生”ってやつですね。
世界中に広がる、「奇跡のレシピ」
――2015年の「ジャパンエアロプレスチャンピオンシップ」で優勝されたんですね。
粕谷:これはもうシンプルで、エアロプレスっていう、ところてんみたいな器具でおいしいコーヒーを淹れる、最近盛り上がっているラフな大会ですね。これが面白い話で、大会の前日に、師匠に味をみてもらう時、偶然グラインダーの挽き目を間違えたんですよ。でも、もったいないから、ちょっと淹れてみようって淹れてみたら、間違えた方がダントツおいしかったんです。そこから少し修正して、翌日優勝するという(笑)。
――それはすごい。そういうチャンスを掴むっていうのも大事ですよね。
粕谷:はい、その時のミスを見逃さなかったから、その時のレシピがいま世界中で使われているんですよ。あの時は、ほんとに鳥肌が立ちましたね。