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シェフがオススメするお店 特別企画vol.1

【セララバアド】 橋本宏一シェフが行く東京最先端レストラン5 橋本宏一 氏の料理人情報を見る

'00年代の世界のガストロノミーを牽引したスペインの【エルブジ】、
そして、’10年代にそのポジションを継いだデンマークの【noma】
この世界の最先端をいくレストランで研鑽を積み、その本質を身をもって知る【セララバアド】の橋本宏一シェフ。
「新しいテクニックにトライしているお店をリスペクトしたい」という彼が、東京でオススメするお店はどこ?
実際に訪れた、気になる5店舗をセレクトしてもらいました。

「クリエイティブな調理技術によって新たな風景を見せてくれるお店にリスペクトを払いたい」

「新しいテクニックを使い、料理の風景を変えていくチャレンジをしているお店として、まず挙げたいのが小石川にある【チッタアルタ】です」。世界の最先端の料理を消化したイノベーティヴなスタイルで、各メディアで2015年のベストレストランにもノミネートされる【セララバアド】の橋本シェフ。
彼が真っ先に同志として挙げる【チッタアルタ】のオーナーシェフである茂呂岳夫さんは、かの【エルブジ】で2年を過ごした方です。
「サービスを含めて、一人で切り盛りしながら、料理のクリエイティヴな部分は絶対におろそかにしない。このスタイルで7年間店を続けているっていうのは、なかなかできることじゃないと思います」と橋本さんも太鼓判を押します。
訪れたこの日、まず給された料理は『キノコの山』。ポルチーニ茸からとったコンソメをゼリーにし、注射器の中に。奥には、ポルチーニ茸のムースと、中が空洞になったエアパンで、ポルチーニ茸のかたちを表現した一皿。さまざまなテクニックが使われていながら、どこかかわいらしさも感じる逸品に、お店としてのスタンスが感じられます。
次に挙げていただいたのは、下北沢にある【サーモンアンドトラウト】。
「例えば料理研究家とは、家庭料理を突き詰めていった存在だと思っているのですが、普通レストランを持ってないそういう人たちがレストランをやっちゃったような面白さがありますよね。若い子たちが、なかなか高級レストランには行かなくなってきているなかで、カジュアルだけどクリエイティブ、そしてちょっと上質という絶妙なバランス感を上手く出しています。それは時代が求めているものの一つではあると思いますね」

橋本氏がオススメする東京最先端レストラン ベスト5

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東京・小石川
チッタアルタ

全10席カウンターのみのお店。ミラノ【アンティコアルベルゴ】、ベルガモ【ダヴィットーリオ】、スペイン【エルブジ】などヨーロッパの最先端で得た経験を日本で活かす。「柔らかな人柄も魅力」と橋本シェフ。
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東京・下北沢
サーモン アンド トラウト

オーストラリアの【TETSUYA】を皮切りに、【タパス モラキュラーバー】などで研鑽を積む。橋本シェフの後輩にあたるが、「知識と感度はすごいので、時代が求めているものへの嗅覚は見習うべきところがある」とのこと。
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東京・白金
ティルプス

カンテサンスの跡地にオープンし、時代の最先端の空気を表現する若々しいレストラン。とはいえ、橋本シェフから言わせれば、「『ポンム・スフレ』など、しっかりした技術がないと美味しくできない料理をこなしているところがすごい」。
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東京・銀座
タパス モラキュラーバー

日本のイノベーティヴを支えたお店。橋本シェフの出身店でもあるが、現在のスタイルに関しては、「日本人は”いかにも”というのが苦手で、”さりげなさ”を重視しバランスをとってしまうところ、突き抜けているところはすごい」との弁。
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東京・外苑前
フロリレージュ

「料理もペアリングのドリンクなども、レストランのスタイルとしても挑戦していつつ、既にまったく隙がないところが素晴らしい」。橋本シェフも非の打ちどころがないという、東京を代表するレストラン。
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「トップを走る名店の中にも、チャレンジ精神を感じることも多くあります」

 橋本さんから見ると、既に確立したレストランの中にも先進性をみることができるといいます。その代表格が白金台の【ティルプス】。「今年うかがったレストランの中では、一番の驚きでした」と橋本シェフ。
【カンテサンス】の後に北欧で研鑽を積んだ春田シェフによる、新たなスタイルの料理が評判を呼んでいます。「新たなバックボーンを持つ料理人がようやく日本でパフォーマンスする時代がきたことを感じます。ノルディック・フレンチと言えばいいのか、北欧系の新しさですね。【エルブジ】などに代表される化学系のものの後にきた、ナチュラルかつモダンを感じるには、もっとも良いレストランだと思います。とはいえ、同業者としてみたときに、もっとも感銘を受けたのは、そういったセンスよりも、それらを表現しきる技術の高さでした」
一方で、革新的な料理を日本へ導入した【タパス モラキュラーバー】へのリスペクトを忘れません。
「やはりこのお店ができたからこそ、遠いヨーロッパの出来事ではなく、日本でもイノベーティヴな料理というのが、体験できるようになったことには多大なる貢献をしたと思います。マンダリンオリエンタルというホテル自体が、驚きを優先する海外の雰囲気を持っていて、このお店も然り。てらいなくプレゼンテーションするスタンスを貫いているところは立派だと思います」 最後に挙げるのは、ご存じの外苑前の【フロリレージュ】。
「ぼくが挙げる必要もないくらいの名店ですが、レストランとしてのスタイルも、挑戦しているというのがすごく伝わってくるところに感銘を受けました。もともと味がしっかりしている上に、料理だけでなく、ペアリングのコースなどもチャレンジしている。で、それがチャレンジに終わらず、サービスなども含めて、既に隙がまったくない領域にまで完成しているところがすごいですね」

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