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GEORGES MARCEAU ジョルジュ マルソー
シェフ自らが放血神経締め!
素材力を追求する福岡フレンチの雄朝8時、【GEORGES MARCEAU】の店脇に一台のトラックが横付けされる。出勤途中のビジネスマンから不思議そうな視線を浴びつつ、荷台から次々と降ろされる活魚。そのまま厨房へと運ばれるかと思えば、次の瞬間、目を疑うような光景が繰り広げられた。裏口からシェフの小西晃治氏が現れ、手にした鎌を一閃。魚を気絶させ、エラに包丁を入れて、血を抜くのである。さらに魚は厨房へと運ばれ、専用のワイヤーを使い、次々と神経締めに…。
放血は腐敗の元となる血を抜き、神経締めは死後硬直を遅らせ、熟成させやすくするために行うが、本来であれば、漁師や鮮魚店が行う仕事。それをなぜシェフ自ら行うのか。
「漁師さんや魚屋さんは、何百、何千という魚に対して下処理を施し、かつ手早さも求められます。それゆえ、個体一つひとつに向き合える時間がどうしても短くなるんです。ならば、自分でやろう、と」
小西氏がそれほどまでに魚にこだわるには訳もある。それは、20年前に店をオープンした頃の話。修業時代に学んだ全ての力を出そうとクラシカル一直線で勝負してきた料理が、福岡という土地に受け入れられなかった過去があったから。
「福岡は食材が豊かでいいものばかり。そこら辺の居酒屋に行ったってリーズナブルに美味しい魚に出会えます。そんな土地でクラシカルなフレンチをやったって受けるはずがなかったんです。だったら、ここで食べる意味のあるフレンチをやろうとなりまして」
スペシャリテの『海の幸のサラダ』はそんな小西氏の食材へのこだわりが詰まったひと皿。放血神経締めにされた鮮魚が出れば、野菜は大分の佐藤自然農園のものを使用。それらの魚や野菜にフレンチならではの仕事が施され、ひと皿のなかでそれぞれが個を主張しながら、見事な調和を見せるのだ。ほかのフレンチでは真似できない、この素材力。そこにシェフのテクニックが加わるのだから、福岡でフレンチをいただく意義がある。
アジアの中心となる新食都
福岡の
新旧5名店を訪ねて
Hitosara special
鮨バブルに、注目の新店ラッシュ、
2020年にはアジアNo,1レストランのシェフもやってくる。
いま最も熱く、注目を集める食都であり、
地理的にもアジアの中心にある福岡。
そんな新食都で必ず訪れておきたい新旧5名店がこちら。
Photographs by Hiromasa Otsuka / Text by Shinji Yoshida
Design by form and craft Inc.
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