若旦那がおすすめする 京都の本当に 美味しい店 | ヒトサラ
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京都 𠮷兆 嵐山本店 [嵐山]
- 一つの器に五つの味と技、色彩、香りのすべてを盛り込んだ『八寸』。秋草をさした竹筒や菊の葉をモチーフにした永楽の器などを使い、秋の風景を切り取ったような美しい盛り付けに、自然と会話も弾むに違いない(写真は3人前)
- 緑豊かな庭園を眺める7つの客間は、すべて完全個室。流水文様を描いた天井やしつらえなど見所も多い
- 神楽太鼓に紅葉を描いた器で秋を演出する『鱧のお椀』。鱧を箸で割る前と後で異なる、出汁の味わいも楽しんで
- 有機認証を受けた農家の野菜をメインに、京都だけにこだわることなく、全国から最上級のものを吟味
- オリジナルの純米大吟醸『𠮷兆貞翁』を冷酒で。銀製のクーラーに、“春海バカラ”の徳利と盃で提供される
日本の文化を五感で感じ
口福と心豊かな感動に浸る日本が世界に誇る料亭【京都 𠮷兆 嵐山本店】。ここへは大切な客人や家族を連れて訪れたいと、その理由を語ってくれたのは、華道「未生流笹岡」の家元として多方面で活躍する笹岡隆甫氏。「風光明媚な嵐山の景観と、隅々まで手入れの行き届いた美しい空間。日本文化を五感で味わうことができる格式ある料亭ですが、初めてのお客様でも寛がせてくれるもてなしは流石です」。
その言葉通り、渡月橋の近く、大堰川のほとりに佇む数寄屋造の建屋には大小7室の客間があり、それぞれに施された季節感のあるしつらいはもちろん、美しい庭園にも目を奪われる。「若い世代では、畳敷きに座ることすら珍しい方々も多い。室町時代の掛け軸や灯籠、江戸期や名工の手による器に触れることで、日本人の特異性や素晴らしさを実感いただけたら」と、総料理長の徳岡邦夫氏。名声に甘んじることなく、常に試行錯誤を繰り返す姿勢は、例えば最上の味を求めて米も毎年銘柄を変えるほど。そのうえで「美味しいのは当たり前。お客様の目的は、共に来る人と親交や絆を深めたいから。そして料理だけでなく、感動を味わうために料亭へいらっしゃる」と、見極めた本質を叶えるべく、すべてに心を尽くす。「車と歩く速度では視界が異なるように、親しい仲間とゆったり時間を過ごすことで視野が広がる。すべてが速い現代において、穏やかな話しぶりは、時の流れさえゆるやかに演出してくれます。接客も丁寧かつ笑顔で、自分の言葉でゆっくり話すよう伝えています」。
伝統を守りつつも、今を知り、未来に適応させる。進化を続ける老舗での体験は、感動の学びとなるに違いない。華道「未生流笹岡」 家元
笹岡隆甫さん
全国に約700人の師範代を抱える未生流笹岡の三代家元。国内外で華道の普及に努める一方、時代にあった生け花の在り方を追求。異分野との交流など新境地を開拓し、多方面で活躍する。2016年にはG7伊勢志摩サミットの会場装花も担当。
若旦那の他のおすすめ店- 蓮香… チャーシューが名物の本格中華。
- 京天神 野口… 隠れ家的で、食材の取り合わせが絶妙。
【点邑】の「天巻」
老舗旅館【俵屋】プロデュースする、天ぷら割烹の持ち帰り用弁当で、えびの天ぷら、穴子天、自家製じゃこ、3種類の海苔巻きに半熟卵などのおかず付き。ホームパーティなどでも「気軽につまむことができるサイズも好評です」と、笹岡氏。2,310円(要予約)
点邑(てんゆう)
住所:京都市中京区麩屋町通三条上ル
075-212-7778CLOSE -
祇園 炭火割烹 いふき [祇園四条]
- おつくりの一品として供される「あわびの柔らか煮の軽い炙り」。低温の昆布だしで4時間煮たあわびは、仕上げに炙ることで、表面は香ばしく中は柔らかなレア状態に。苦みのある濃厚な肝醤油が磯の香りを運んできます
- ソムリエの資格も持つというワイン好きの店主。ラ・ターシュやジャック・セロスなどの銘ワインもそろう
- 陶芸家、内田鋼一氏作の焼き場。「焼きのお店と聞くスペインまで食べに行くなど今も勉強中です」と店主
- 「甘鯛と松茸の合わせ焼き」。身はしっとり、皮は揚げてパリパリに。骨から取っただしをあんにしてかけた一品
- 「炭火で炙ると香ばしさだけでなく温かさが加わる。やっぱり温かいものっておいしいでしょ」と山本さん
炭火で食材に命を吹き込む
独創的な割烹料理「ワインが好きで定期的にワイン会に参加しているのですが、その時によくお伺いするんです」。そう言って、京都・西陣にて200年以上帯を織り続ける【服部織物】の若旦那、服部一正さんが紹介してくれたのが、ここ【祇園 炭火割烹 いふき】だ。
昔のお茶屋さんを改装した京の風情が漂う佇まい。カウンターの向こうには奥庭が垣間見え、板場の中央の焼き場が目を引く。伝統の京料理に、炭火焼きの手法を取り入れた独創的なコース料理をいただけるお店だ。「炭火焼き割烹というのも珍しいですし、なによりも旬の素材のおいしさを楽しめます」と服部さん。
10皿ほどの料理が少しずつ供されるコース料理は京野菜をはじめ、浜松のすっぽんや若狭のグジ、淡路のマナガツオ、フランスの仔羊など上質な食材が登場。絶妙な炭火焼の技術を加え、さらに味わいを引き出す。
「火入れの加減で食材の表情が変わるんです。でも炭火を入れるのはあくまでも仕上げ。それまでの丹念な下ごしらえが何よりも肝心なんです」と店主の山本典央さん。例えば、甘鯛は水分が多いので24時間昆布締めをしてから、45度のオイルでじっくりと低温調理した後にさっと炙るという。こうすることで香ばしさもありながらしっとりとした食感とふくよかな旨みが立ち上る。
「まさにお寿司屋さんと同じですね。カウンターにしたのも焼き場からすぐに出したいからです」と山本さん。
炭火焼きというシンプルな調理法の奥には、見えない手仕事が隠されている。だからこそ生まれる独創性。この店でしか決して味わえない料理がここにはある。服部織物株式会社 専務取締役
服部一正さん
天明年間より京都・西陣に店を構える老舗織物商の長男として生まれる。著名人などとの交流で着物文化の再興に勤める一方、アート感覚の織物作品を海外へ発信。男性用着物ブランド「龍言ーLONGONー」のデザイン・プロデュースも手がける。
若旦那の他のおすすめ店- 祇園きだ… 洗練を感じる組み合わせの妙が楽しみ。
- なる屋… 安心して客人を紹介できる名店。
【加加阿 365】の抹茶テリーヌ 「京 ippon」
お濃茶ラングドシャ「茶の菓」で有名な【マールブランシュ】が展開するショコラトリー【加加阿 365】。厳選した抹茶の濃厚な風味と、とろけるようなレアな食感に至福を感じる一品。祇園店と北山本店のショップインショップでしか手に入らない特別感も。1,080円
マールブランシュ 加加阿 365 祇園店(かかお365 ぎおんてん)
住所:京都市東山区祇園町南側570-150
075-551-6060CLOSE -
ぎをん天婦羅 天宗 [祇園四条]
- 独特の香りと食感を十分に堪能できる贅沢なサイズの松茸に、秋ならではの出会いの鱧。毎年7月初旬~10月中旬の間、夜のコースのみで登場する贅沢な一品です
- 揚油は綿実油100%。溶き卵を冷水で割り、衣もごく薄くまとわせて、食材の味を引き立てた軽やかな食感に
- 祇園の天ぷら専門店らしい高級感はそのままに、冨山晴雄料理長の気さくな人柄に惹かれて通う常連も多い
- 京のふるさと産品協会認定、旬の京野菜提供店だけに、コースで必ず3品は京野菜の料理がいただける
- 白身と骨を異なる食感で同時に揚げ分けた『きすの天ぷら』は、冨山料理長の真骨頂とも言える定番の一品
大将の気さくな人柄にも和む
こだわり食材の絶品天ぷら関西で天ぷらというと、会席料理の一品で登場することは多いが、専門店は決して多くない。ましてやコースでいただくとなると高級店が多く、気軽な会食で訪れるには、どうも敷居が高すぎる。「どこか良い店がないかと探していたところ、知人が教えてくれました。お客様をお連れすることもありますが、一人で行くことも多く、2~3カ月に一度は通ってます」と清水氏が紹介してくれたのが【ぎをん天婦羅 天宗】だ。
にぎやかな花見小路から石畳の細道を入った先、風情ある町家の引き戸を開けると、もう一つの扉があり、一気に吹き抜けの空間へ。予想外のアプローチに期待感が高まる一階を横目に、清水氏はいつも二階の個室を予約するという。「立派な銅釜を備えたカウンターがあり、一名につき2,000円の室料で貸切にできる。他のゲストに気兼ねなく、料理長との会話を楽しみながら、揚げたてのを天ぷらを堪能できるんです」と相好を崩す。
さらに「食後も軽やかで、何度でも行きたくなる」と、清水氏を惹きつけてやまないコース仕立ての天ぷらは、旬の味覚に薄く衣をまとわせ、綿実油でサックリと軽やかに揚げた絶品揃い。白身はふわっと、骨をせんべい状に揚げ分けた瀬戸内の“きす”をはじめ、穴子に松茸、京野菜など約10品。中でも清水氏が何より楽しみにしている定番の一品が、徳島産の“しいたけ”だ。肉厚で香り高く、ジューシーかつむっちりとした食感は、蒸しアワビを思わせるほど。素材の旨味を存分に味わえる一方、マスカットにクリームチーズを合わせたデザート感覚の一品など、変わり種でも楽しませてくれる。緑寿庵清水 店主
創業より170年、伝統と一子相伝の技を受け継ぐ金平糖専門店の五代目。PL学園、明治大学卒業後、社会人を経て、職人になり23年。平成29年全国菓子大博覧会・三重にて考案した「究極のヴォーヌ・ロマネ 赤ワインの金平糖」が外務大臣賞を受賞。日々、金平糖作りに励む。常識を覆す約60種ものフレーバーを生み出す。
若旦那の他のおすすめ店- 祇をん ちんねん… 裏メニューのハンバーグが絶品。
- 盛華亭… 家庭的な味わいのあっさり中華。
【さんび堂】の「がま口」
京都らしい和の吉祥文様ながら、モダンなデザイン。小銭入れとしてはもちろん、アクセサリーや常備薬、判子入れなど、小物の整理に便利で、清水さん自身も愛用中。形や色柄のバリエーションも豊富で、男女問わず喜ばれる。がま口(2.5寸角型)各1,188円
さんび堂 烏丸本店(さんびどう からすまほんてん)
住所:京都市下京区室町通綾小路下ル白楽天町504
075-341-2121CLOSE -
堺萬 [丸太町]
- 皿が透けるほどの『薄造り』は、割り酢と煮切り酒で風味を増した醤油に薬味を添えて。箸で2~3枚すくって食べると、ほのかな弾力に濃厚な旨味がしっかりと感じられる。中央の『落とし』にもあえて梅肉はつけず、鱧の味を愉しむ趣向だ
- 二階の座敷席。襖で三室まで仕切れるようになっており、最小2名~最大20名まで。老舗らしい風情ある雰囲気
- 「10匹に1匹くらいの割合ですが、美味しい鱧の多くはメス」と澤野氏。メスなら『鱧の子』もいただける
- シャクシャクと小気味良い音を響かせる澤野氏の骨切り。垂直に細かく、皮の寸前まで刃を入れる熟練の技が光る
- 八幡巻きや落としなどの鱧料理に加え、野菜の煮物なども添えた仕出し弁当(要予約・3,000円)。折詰も可
鱧づくしの会席料理で
一匹まるごと味わい尽くす【堺萬】といえば鱧。京都はもとより、その名を聞いた関西の食通たちは、決まり文句のように口を揃える。
「鱧は夏から秋にかけて、京都で味わうべき代表的な味覚。幼い頃からこちらの名前は知っていましたが、家族で訪れたことはなく、父が接待でお客様をお連れする料亭でした。大人になった今でも、私にとっては、行きつけというより、客人をご招待したい店」。そう語るのは、老舗造園会社を受け継ぐ山田豊久氏だ。
文久3年(1863年)の創業以来、150年以上。仕出し中心の料理屋としてはじまり、四代目が『鱧づくし会席』を考案。川端康成ら、文人墨客も足を運んだ評判の味を、現在は六代目の澤野高明氏が、今に伝えている。
名物の『鱧づくし』がいただけるのは5月中旬~10月まで。「鱧は“梅雨の水を吸って美味しくなる”とよく言われますが、産卵を終え食欲を増した秋など、それぞれその時期ならではの旨味があります」と澤野氏。一寸に24回、皮寸前まで包丁を入れ、小骨の存在を感じさせない繊細な骨切り。身が固くならないよう、冷蔵庫ではなく18℃程度の井戸水で冷やすなど、先人が築いた知恵を守り、技に磨きをかける。
会席では、その真価を味わえる珍しい『薄造り』を筆頭に、骨で出汁を取った吸い物椀、つけ焼きと塩焼き、二種の味が楽しめる『源平焼き』など、最後の雑炊まで全8品を堪能。肝炊きや浮き袋の煮こごりなど、珍味が楽しめるのも、一匹丸ごと使用する『鱧づくし会席』ならではの贅沢だ。ほか、定番の季節の会席や、11月からはじまるグジやあんこう鍋のコースも興味深い。花豊造園株式会社 専務取締役
山田豊久さん
安政6年(1859年)創業の造園会社で、三兄弟の次男坊として誕生。西本願寺や桂離宮など、文化財庭園の保存管理も手がけている。現在は専務取締役として現場から営業まで担当し、顧客や食通の諸先輩との付き合いで、外食は日常茶飯事。
若旦那の他のおすすめ店- 貴与次郎… 手の込んだ心尽しの京料理が味わえる。
- 乙文… 幼い頃から慣れ親しんだ仕出し料理。
【京菓子司 末富】の「京ふうせん」
京都の手土産で、間違いなく喜ばれるのは、やっぱり末富さん。中でも『京ふうせん』は見た目も愛らしく、高すぎない値ごろ感もいい。
京菓子司 末富 本店(きょうがしつかさ すえとみ)
ふうせんに見立てた小さな麩焼き煎餅に、月代わりの干菓子入りは、本店と高島屋京都店の限定商品。1,296円
住所:京都市下京区松原通室町東入
075-351-0808CLOSE -
洋食おがた[烏丸御所]
- 熟成させた尾崎牛と南の島豚を1:1で使用した『洋食おがた特製ハンバーグ(100g)』1,680円(税抜き)。たっぷりのデミグラスソースにパセリを散らし、付け合わせはシンプルにマッシュポテトだけ
- 活気あるキッチンのライブ感も楽しめるカウンターは、テーブルのスペースも広めの設計でゆったりと食事が楽しめる
- 甘みの中にしっかり酸味も効かせたデミグラスソース。尾崎牛の筋肉、香味野菜などを10日間も煮込んで作る
- 今や入手困難な宮崎の希少ブランド・尾崎牛、野菜は綾部の河北農園からと、生産者の顔が見える食材を厳選
- 重力を利用して巻き落とす技も必見! 『オムライス』2,400円(税抜き)は、仕上げにデミグラスソースも
実直な店主が目指すのは
洋食が花開いた頃の「昭和の味」「京都は洋食発祥の地とも言われ、美味しい名店がたくさんありますが、今一番のオススメといえばこちら」。外食は週に8回以上、国内外を問わず食べ歩いているという今井氏が通う、話題の洋食店が【洋食おがた】だ。オープンから約2年ながら、今や予約一ヶ月待ちは当たり前の人気店。今井氏をはじめ、常連にはシェフ・緒方博行さんが【ビストロセプト】で腕をふるっていた頃からのファンも多い。自身の店を開くにあたり、フレンチではなく、“洋食”を選んだのは「上質な洋食が食べたいという声が多かったから」と緒方シェフ。連日満席の現状は、そんな期待を十分上回るものである証拠だ。“上質な洋食とは?”と考え、牛肉好きが多い京都人の舌を満足させるべく、シェフが店の看板食材に選んだのが希少な尾崎牛。さらに野菜は綾部の河北農園からと、つくり手の顔と名前が見える食材を使う。「つくり手が家族に食べさせたいと思って育てた食材は安全だし、やっぱり美味しい。その想いは、私が食べ手に提供したい料理とも繋がっています」。また、洋食屋の要とも言えるデミグラスソースは、コクや甘さはもちろん、赤ワインの酸味もしっかりと効いている。そのソースをたっぷりとかけたハンバーグやオムライスなど、どれもがワインはもとより、白飯に合う。これが「大人の洋食」と謳われながら、家族連れにも愛される所以だろう。
列強の洋食店がひしめく京都で、フレンチで鍛えた腕を生かしながら、時には昭和のレシピを引っ張り出し、京都人が認める「昔ながらの美味しさ」も追求する。その実直な人柄が表れた、気骨のある洋食が待っている。株式会社リンクアップ
今井雅敏さん
京都の青果問屋に生まれ、幼少より割烹や料亭への出入りを通して味覚を磨き、懐石料理からB級まで京都グルメに精通。国内外の人脈を生かしてモノやコトのバリューアップを図るコンサルティング会社を設立、商品開発、商業施設開発、ブランドプロデュース等を手掛ける。
若旦那の他のおすすめ店- 天ぷら松… 斬新な料理が楽しめる引き出しの多さが魅力。
- 旬まつい… 大将のセンスが素晴らしい。
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【緑寿庵清水】の「焼栗の金平糖」
熟練の職人技で手作りされる金平糖。一粒で広がる芳しい余韻と爽やかな甘みは格別。9月季節限定の人気の逸品。1,944円
緑寿庵清水(りょくじゅあんしみず)
住所:京都市左京区吉田泉殿町38-2
075-771-0755 -
【よねむら】の「オリジナルクッキー」
抹茶、黒ごま、七味など京都らしい12種のフレーバーが揃う。上質な食材をふんだんに使った、手づくりの贅沢な味わい。4,500円
レストランよねむら
住所:京都市東山区八坂鳥居前下ル清井町481-1
075-533-6699
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