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ブリに40℃の低温調理を施し、その上に揚げた湯葉とマスタードリーフやエルダーフラワーをあしらったアーティスティックなひと皿。
下に敷かれたグリーンのソースはペースト状にした雪菜に湯葉でアクセントを加えたものだ中山招待所 ツォンシャンジャオダイスオ
台湾食材とフレンチとのフュージョンを
ストレートに味わえる、特別なレストラン「招待所」とは台湾の言葉で賓客を招く場所、つまり迎賓館という意味だ。【中山招待所】は、元々オーナーが所有するプライベートなゲストハウスだったが、その建築の素晴らしさに、ゲストからレストランにすることを勧められ15年前にオープン。古き良き上海を想起させる雰囲気の中、VIPにでもなったかのようなひと時を過ごすことができる。
料理のスタイルは時代を反映させ、現在はオーセンティックなフレンチと台湾食材とのフュージョンをテーマに提供。シェフは2名体制で、2ヵ月ごとにチェンジしてメニューを考案しているという。取材時にシェフを担当したブルース・シュウ氏は、「自分の好きな味を作りたい」と小学校3年生から率先して料理を始めたという生粋の料理好き。16才から本格的に料理人としてのキャリアをスタートさせると、「アジアのベストレストラン50」の常連であるシンガポールの【Corner House】や、同じくシンガポールのマリーナベイサンズにある【Sky on 57】など、フレンチをメインに12年間の経験を積んできた。
そんな様々な体験がブルース氏の料理を構築する要素となっており、例えば、ウナギを使った料理は、来日時、ウナギの美味しさに衝撃を受け「フレンチに取り入れたい」と考えたひと皿。日本滞在時はウナギが好き過ぎて毎日ウナギばかり食べていたというから、その偏愛ぶりは相当なものだ。
レストランは一軒家を使用した豪華絢爛な造りながら、そのホスピタリティの高さもあって家に帰ってくる感覚で来訪するゲストも多いという。実にその40%はリピーターで、今台湾で過熱しているファインダイニング戦争とは、少し線を引いている印象だ。
上質な空間で、最上のもてなしを受け、見目麗しい料理に舌鼓を打つ。そんな、レストランが本来提供するべきものをしっかりと守り続けている。一度訪れてみれば、こういう店があって良かった、と思わされることは間違いない。-
シェフのブルース氏は、しっかりとしたフレンチを自身のキャリアの軸として持つため、プレゼンテーションだけに頼らず、味の組み立てもきちんと考えられているのが好印象 -
カリフラワーをグリルして、塩だけを加えてムースにし、1時間蒸してから蒲焼きにした台湾産のウナギを合わせる。ムラサキダイコンのスライスと、塩、コショウ、オイルでマリネしたウナギの皮が濃厚な風味に爽やかさを与えるアクセントに -
りんごの果汁で煮た豚肉をローストに。後ろに見えるチップスは乾燥させたりんごのスライス。肉を口に入れた後にチップスも合わせて食べると、ソースの甘みを増幅させ、また違った味わいを楽しめる
シェフの流儀 ブルース・シュウ氏
フルーツの使い方やソースなど、味や香りを計算することで、次の料理への橋渡しをしっかりと行うことが身上のシェフ。ひと皿の驚きだけでない、コース全体を通して味の組み立てを考えているので、料理がストレスなくスムーズに胃へと収まっていく。そういう部分も、リピート率の高さに繋がっているのだろう。
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ストリートフードの聖地台湾に起きた
ファインダイニングの
夜明け
Hitosara special
巧みなプレゼンテーションを交え、ゲストを楽しませることを突き詰めるファインダイニング全盛の世において、
これほどまでに勢いのある国はあるだろうか。
世界が注目するばかりか、日本のトップシェフ達も台湾への出店を加速。一体、台湾の地で何が起きているのだろう?
今の台湾ファインダイニングを代表する6店をフィルターにして観測すると見えてくるものがあるはずだ。
Photographs by Takahiro Tsuji / Text by Akio Shimanuki , Yoko Utsumi / Coordinate by Yian Chen
Design by form and craft Inc.
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