誰もが知る“ザ・イタリアン”な料理。シンプルにその完成度を追求
ホノルルからは離れた、「フォーシーズンズ リゾート オアフ アット コオリナ」の庭園に囲まれたリゾート感溢れるレストラン。【Noe】の日本人シェフ、高塚良氏は、この地でハワイのイタリアンシーンに新たな風を吹き込んでいる。
「大げさに言ってしまえば、こっちの人のイタリアンのイメージって、ピザとかラザニアです(笑)。そのありきたりな料理の完成度を高め、その美味しさをしっかり引き出すことをこの店では突き詰めています」
確かに、一部のリストランテと呼ばれる店を除き、ハワイでイタリアンといえば、本格派よりもアメリカナイズされた料理というイメージが強い。しかし、その「アメリカ人の誰もが知っているイタリア料理」で高塚氏は、あえて勝負を挑むのである。
「たとえば、ミラノ風のカツレツは、大量のバターで焼き上げるので重厚な味わいになります。もちろん、それはそれで美味しいのですが、そこにトリュフの風味を効かせたルッコラや、ラズベリーのドレッシングをかけたトマトを添える。すると、一緒に食べたときの味わいはまったく別物。味が重たいだけのカツレツではなく、洗練されたものになるんです」
イノベーティブなわけでもなく、マニアックな郷土料理とも異なる。いうなれば、シンプルの中で研ぎ澄ましていく美味しさ。そこには、イタリアで10年の修業、東京の【リストランテ山崎】では料理長も務めた高塚氏のすべてが注がれている。