革新的に変貌するハワイのレストランシーンを牽引する
ここ数年でハワイのグルメシーンに新しい風を巻き起こした一軒といえば、2016年の暮れにオープンした【Senia】だろう。シェフは、ホノルルの会員制レストラン【VINTAGE
CAVE】の初代料理長を務めたクリス・カジオカ氏と、NYの三つ星などで研鑽を積んだアンソニー・ラッシュ氏。彼らの料理は、これまでのパシフィック・リムとは一線を画し、先達が築き上げたハワイ料理を次なるステージへと押し上げた。
この店を象徴するひと皿に『チャード・キャベジ』がある。運ばてきた皿だけ見れば、苔むした盆栽の根のようだが、味わうとこれがよい意味で裏切ってくれる。ディープフライしたキャベツの焦げ、味付けに使われた塩昆布、苔のような緑はモリンガパウダーというスーパーフード……。それらが一緒くたになると、お好み焼きのような味わいになるのだ。それについて問うと、クリス氏は日系4世であり、度々日本へと足を運び大衆店から高級店まで食べ歩いていると聞いて納得だが、いざモダンなプレゼンテーションで供される料理は、とてつもなく大きなインパクトと驚きをもたらす。
ほかにもマグロのタルタルにはポン酢のジュレを使ったり、レバーペーストの上に載せたハニービネガーで生のイクラを模したり、多分に日本の食文化に影響されていることがわかる。料理としては、パシフィック・リムよりもさらに自由度が高まり、よりイノベーティブになったイメージだ。ハワイグルメの最旬を感じたければ、必ず足を向けるべき一軒である。