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  3. 世界の食いしん坊が飛んでくる!スペイン・バスクの人気レストラン

世界中の食いしん坊が飛んでくる フーディが目指す
スペインバスクの
TOPレストラン
Hitosara special

2018年の【世界のベストレストラン50】にランクインした店が最多のスペイン。全7軒のうち、4軒がなんとバスク地方に集中。
今年【世界のベストレストラン50】に入った店と、ネクスト・スターの注目店を取材した。

Photographs by Yuji Ono / Text by Yukino Kanou / Coordinate by Junko Yamaguchi
/ Design by form and craft Inc.

  • サンセバスチャンから車で15分ほど。広大な庭を備えた【ムガリッツ】の落ちついた客席は、周囲の風景ときれいに一体化している。

    Mugaritz ムガリッツ

    世界中のレストランに衝撃を与えた、
    バスク地方の鬼才シェフ

     今年20周年を祝った【ムガリッツ】。6月に店の広大な庭で開催されたパーティーには、世界中から名だたる料理人が何百人も駆けつけ、アンドニ・ルイス・アドゥリス氏を祝した。
     【ムガリッツ】。その名前は、21世紀に入る頃から、食業界で大きな注目を浴びはじめた。グラスなどを並べずオブジェだけを載せたテーブル、カトラリーを排して手や舌を直接使って味わう料理……。“かくあるべき”という従来のレストラン・コードをこともなげに崩し、ゲストの好奇心を誘い、彼らの五感を研ぎ澄まさせ、独自の世界観で今までになかった食空間を生み出したアンドニ氏。そのスタイルに、世界中でガストロノミーに携わる料理人は刺激され、以後、世界中で、レストランという空間の新たな存在意義が模索されるようになった。
    「気がついた? うちには、”レストラン“とどこにも記されていないんだよ」。目をキラリとさせて、アンドニ・ルイス・アドゥリス氏は言う。レストランとは従来、美味しいものを食べる場所であったかもしれない。でもここは、いままでにない食体験ができる場所、食における未知との遭遇を体感できる場所なのだ。
     【エル・ブリ】の料理長であったフェラン・アドリア氏に魅了され、【エル・ブリ】や地元バスクの名門【マルティン・ベラサテギ】で修業後、独立。下手なんだけど、と苦笑しつつもバスク語を操り、家族との会話もバスク語だ。アンドニ氏の料理は、強い個性を放つクリエーション。と同時に、どの皿にも、この土地の文化背景が強く宿っている。「何かを飲んだり食べたりするとき、人はもちろん、素材を摂取している。それと同時に、作り手の文化や哲学が生み出すシンボルも食べているんだ。僕はそこに興味を持っている」。

    • テーブルには、アート作品的なオブジェのみが飾られ、世界中から胸ときめかせてここを訪ねるゲストを迎える。
    • ドリンクペアリングも、【ムガリッツ】の大きな魅力。今まで味わったことがないマリアージュ体験ができる。
    • 次々と運ばれてくる、20を超える料理やデザート。そのどれもが、印象的な美しさを湛えている。
    シェフのこだわり アンドニ・ルイス・アドゥリス氏

    伝統を守り続けるには、逆説的かもしれないけれど、進化が必要だ。自分のアイデンティティを大切にしながら、常に、未知なるものを探求し続け、五感のみならず第六感までを刺激するようなクリエーションをしていきたい。

Column

バスクで忘れてならない サンセバスチャンのバルホッピング

 連想ゲームで“サンセバスチャン”と問えば、かなりの確率で“バル”と答えが返ってくるだろう。
 旧市街を中心にずらり立ち並ぶ、バル、バル、バル! カウンターにぎっしりと、美味しそうなタパスやピンチョスを並べたバルは、今や、この街のアイコンだ。
 朝は、タパスをつまみながらのんびり軽口をたたき合うシニアたち。昼は、働者と観光客がひっきりなしに出入りして大賑わい。そしてバルが最も盛り上がる夜。通りにはバルホッピングを楽しむ人々が行き来し、調べておいたお目当ての店や、賑わいに惹かれて飛び込んだり。カウンターで立ち食いが基本のバル。居合わせた人々と、食いしん坊話題が始まるのもお約束。ここが最後の一軒、と決めていたのに、聞くからに美味しそうなバルが気になり、ついついホッピング続行。こうして、サンセバスチャンの夜は更けてゆく。

  • 大皿に盛られたタパスやピンチョスがぎっしり並ぶカウンターは、サンセバスチャンのバルの風物詩。あれも食べたい、これも食べたい!と悩みは尽きない。
  • 名物チーズケーキが大人気の【ラ・ヴィーニャ】。クリームチーズベースで、飽きのこない甘みとしっとりした口どけ感が抜群。テイクアウトする人も多い。
  • カウンターのタパスのみならず、料理も美味しい、と評判のバル【カーサ・ウロラ】。丁寧に料理された、地元の白アスパラガスやフォアグラに舌鼓。
  • バルの定番タパスの一つ、茹でて軽く酸味を効かせたタラコのピンチョは【バル・マルティネス】でも人気。チャコリにもシードルにもビールにもぴったりの味。

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