飲食店サクセスガイド
お店の繁盛に貢献する情報をご紹介
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記事掲載日:2025年6月19日

株式会社ユニポテンシャル
有楽町かきだ代表 蛎田 一博氏
東京・新宿に店を構える【有楽町かきだ】は、日本各地から集めた選りすぐりの食材を使いながら、どんなネタを何貫でも「おかわり自由」で食べられる鮨店。地上19階のラグジュアリーな空間でありながら、職人との距離が近く、会話や写真撮影も楽しめるリラックスした雰囲気が国内外のお客様から人気を集めています。ビジネスで磨いた手腕を武器に急成長を続ける店づくりの秘訣を、代表の蛎田一博氏に伺いました。
最初から訪日観光客を狙っていたわけではありません。当店が8席のみだった有楽町の店舗から新宿へ移転した背景には、「他がやっていないことへの挑戦」がありました。1万円超えの価格帯で140席の規模、さらに「何貫でもおかわり自由」という寿司店はおそらく他にないと思います。
僕は会社経営者で修業せずに寿司店を始めたので、同じフィールドで勝負しても適いません。だからこそ、既存の寿司店との差別化を図ろうと考えたんです。
高級寿司は食べ終わったあとに、「おかわりはいかがですか?」と聞いてくれる。でも一貫いくらかわからないと緊張しませんか? 経営者になった当時、寿司店で値段をあまり気にせずに食べられるようになったのがとても気持ちよかった。それをたくさんの人に追体験してもらいたいというのがこの店のコンセプトでした。
結果的に、この「オールインクルーシブ」の安心感や予約の取りやすさなどが、国内だけでなく海外のお客様に評価され、現在では70%以上が海外のお客様という状況にまで拡大しています。
ホテル19階に位置する店内からは、昼は開放感のある眺望が、
夕暮れ後はラグジュアリーな夜景が楽しめます
「おまかせ」で寿司が楽しめることに加えて、お客様参加型のパフォーマンスが予想以上に喜ばれました。海外の方は団体も多く、当日でも大人数の予約が可能な点も好評です。
寿司の好みは人それぞれなので、さまざまなお店があってよいのではと思います。高級店のように静かな空間で厳かに寿司を味わうのも素晴らしいですが、寿司をエンターテインメントとして楽しむスタイルもまた、寿司の一つの形。どちらが正解というわけではなく、喜ばれるものを追求していった結果、うちはこのスタイルになりました。
サービスはお客様の声や様子を参考に常にアップデートさせています。たとえば、以前はセルフサービスだったドリンクを、現在ではスタッフが提供するように変えたのですが、価格が少し上がっても、このほうが食事をゆったり楽しめると、お客様の満足度が上がりました。
また、寿司を提供する器を伝統的な「ゲタ」から、特注の“船”を模した皿に変更しました。日本らしさがあると視覚的にも楽しんでもらえますし、自然なSNS投稿にもつながっています。
特注の船皿は、SNSで投稿されたときに
【有楽町かきだ】とわかるメリットもあるそうです
国内外問わず人気のネタ――マグロ、サーモン、ウニ、ホタテなどを中心に提供しています。お客様の反応を見ながら調整していった結果、このラインアップになりました。初めて寿司を食べる人も多いですから、好みが分かれにくい、馴染みのあるネタを出したほうが喜んでもらえるんです。
もちろん、食材には一切妥協しません。自ら豊洲に行って買い付けるのは、お店が大きくなった今でも継続しています。最近では、地方の漁師さんから直接買い付けることも行っています。現在の価格のまま食材の質を維持するための努力でもあります。
また、“見て楽しい、食べておいしい”を実現するために、目の前でマグロを見せてから切ったり、「この魚は今朝、能登の漁師さんから直送されたものです」とお伝えするようにしています。そういったストーリーがあることで、体験として楽しく、味の印象にも深みが出ると思っています。
海外向けには主にInstagramを運営しています。直接的な集客が目的ではなく、あくまで親しみやすさやリラックスした店の雰囲気を伝えるためのものです。
ありがたいことに多くのお客様がSNSで投稿してくださるので、宣伝費はほとんどかけていません。SNSでなんとなくうちの店を知った方が、実際に日本で寿司店を検討するときに、いろいろと情報を調べると思うんです。最終的にうちのInstagramを見て、楽しそうだな、おいしそうだなと思ってもらって、それが店を選ぶときの後押しになればと思っています。
多忙な中でもカウンターに立ち、お客様との交流を大切にしている蛎田氏。
その実直で親しみやすい人柄も人気の理由の一つです
はい、ニューヨークへの出店を準備中です。海外では、“寿司”と称しつつ、日本の文化とはかけ離れた料理を提供している店も多く、日本人ではない方が寿司をビジネスとしているケースも少なくありません。日本人として、従来の寿司店が持っていない経営ノウハウを活かし、世界の人に日本の素晴らしい寿司と文化を広められたらという思いがあります。食材はもちろん、日本で直接仕入れて海外へ輸送します。これは特にこだわりたいポイントでもあります。
※記事内容は記事掲載日時点の情報です
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