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世界の文化が交錯する国で
体験する新しい味
最新!
シンガポールで
行くべき
トップレストラン
Hitosara special

交易によって食材を調達し、食文化を独自に発展させてきた国シンガポール。
まだ若い国だからこそ、その進化のスピードは速く、エネルギッシュで刺激的だ。
『2019年アジアのベストレストラン』No.1に輝いた【オデット】のフランス人シェフをはじめ、
人気レストランの料理人の国籍が様々なのもこの国らしいところ。
アジアで随一のメルティングポット、シンガポールを今味わうなら、この5軒へ。

Photographs by Lin Minglong Desmond / Coordination&Text by Kyoko Nakayama / Design by form and craft Inc

  • 『GELÉE D’ASPERGE AU CAVIAR』ゴールデン・オシェトラキャビアにフランス産のホワイトアスパラガスのゼリーとクーリを合わせて

    Les Amis レザミ

    リアル富裕層に愛される
    王道フレンチレストラン

     本物の「クレイジー・リッチ」な人が訪れる店、それが【レザミ】である。1994年創業、シンガポールにおけるフレンチレストランの草分け的な存在で、3世代にわたって訪れる客も少なくない老舗だ。それでもイノベーティブなレストランが多いアジアのベストレストラン50のランキングに入り続けているのは、そのファンの幅広さと厚みを物語っている。一歩足を踏み入れれば、そこはフランスだ。クリストフルで特注したシャンパンワゴンにはクリュッグやドンペリニョンが鎮座し、チーズワゴンの中身はフランスの国家最優秀職人、MOFを獲得したエルベ・モンス氏に好みの状態を指定して入れてもらっている。フランスのキャビアブランド、キャビアリからは、ゴールデン・オシェトラのみならず、一缶約8万円ものベルーガも常備。老舗だけに、銘醸ワインは昔からストックして来たものも多く、安心して飲めると評判だ。政府要人などのVIPも多いため、2階の個室は正面エントランスを使わずに入れる特別な入口がある。グループ・エグゼクティブシェフのセバスチャン・レペノワ氏は、「純粋な『オート・キュイジーヌ』を表現して行きたい」という。【ジャマン】時代から、故ジョエル・ロブション氏のもとで働き、ミシュラン・ガイドブックでも、【ジョエル・ロブション】(当時)がモダン・フレンチとされた一方で、シンガポールで唯一「クラッシック・フレンチ」とカテゴライズされている。「ロブション氏は、ラトリエをオープンした際に、日本的な要素を取り入れた軽やかなフランス料理にシフトしたが、私が作りたいのは、モダンになる前のオーセンティックなフランス料理」だという。口にすると、そのポリシーがはっきりと伝わってくる。フランス・ブルターニュ産の釣りのシーバスは、今フランスでも流行している「神経〆」処理されているが、今はやりの生っぽい火の入りではなく、しっかりと火を通してふんわりと仕上げている。もちろん、ソースは欠かせない。10キログラムもの季節のムール貝でとった出汁は自然の塩分を含むため、塩は一切使わず、白ワイン、細かく刻んだ玉ねぎ、人参、ズッキーニと合わせたソース・プランテーヌが添えられる。
     ウニや和牛などごく一部を除いて、食材は玉ねぎ一個に到るまですべてフランスのもので、セバスチャンのネットワークがあってこそ手に入れられるものも多い。提供されるバターは、【Les Amis】のロゴの入ったオリジナルの木型を使い、手作業で型抜きしたベイユヴェールのもの。手作業にこだわるのは、何人もの人の手を介することは、より質の高いクオリティが生み出されるという考えからだ。
    人を驚かせるような奇抜な組み合わせが出てくることはまずない。だけれども、歴史に磨かれて来たコンビネーションを最高の食材と技術で調理する。だからこそ、いつも安心して来られるし、安定して美味しい。頑固なまでに貫く「変わらなさ」それがこの時代だからこそ、むしろ新しい。

    • 『LE SOUFFLÉ AUX OURSINS』北海道産のウニのスフレに、新鮮なウニをのせ、甲殻類の旨味が溶け込んだコラリーヌソースを添えた一皿
    • 『LE BAR DE SAINT GILLES-CROIX-DE-VIE』取材をした時期はまだムール貝が小さい初夏。フランスの季節感を皿の上に表現できると考えている
    • 銘醸ワインはサイズも含めて豊富なラインナップで、二人で一晩に数百万円のワインを開けるゲストもいる。シャンパンワゴンも人気
    シェフの流儀 セバスチャン・レペノワ氏

    自ら生産者に直接連絡し、仕事時間の約70%は、正しい食材を得るための生産者やサプライヤーの取引に費やしている。食材費は80%にものぼる事も。「アジアにいるからこそ、フランス料理のシェフとして、伝統的な美食の技能を若い料理人に伝えて行くことが大切だと考えています」。

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