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世界の文化が交錯する国で
体験する新しい味
最新!
シンガポールで
行くべき
トップレストラン
Hitosara special

交易によって食材を調達し、食文化を独自に発展させてきた国シンガポール。
まだ若い国だからこそ、その進化のスピードは速く、エネルギッシュで刺激的だ。
『2019年アジアのベストレストラン』No.1に輝いた【オデット】のフランス人シェフをはじめ、
人気レストランの料理人の国籍が様々なのもこの国らしいところ。
アジアで随一のメルティングポット、シンガポールを今味わうなら、この5軒へ。

Photographs by Lin Minglong Desmond / Coordination&Text by Kyoko Nakayama / Design by form and craft Inc

  • 『Hokkaido Uni』左はウニとフィンガーライムを乗せたイカスミのトースト。
    ウニの殻の中には、キャビア、ムール貝のフォーム、北海道産のウニ、ボタンエビ

    ODETTE オデット

    くつろぎと軽やかさが楽しめる
    今年のアジアNo.1レストラン

     アジアのベストレストランでNo.1、そして9月にミシュラン三ツ星も獲得したレストラン。でも、その【オデット】には、意外なことに、ドレスコードがない。「短パン、ビーチサンダルでもOK」もちろん、ベージュを基調としたエレガントな店内はドレスアップしたゲストが多いが「ここに来て、家のようにくつろいで欲しい」というのが、ジュリアン・ロワイエ氏の考えだ。フランス中部のオーベルニュ出身で、父は農業コンサルタント、母は農園を営んでいた。「掘り立ての、泥を落としただけのジャガイモをバターでソテーした時の味を知っている、というのは自分の財産だ」と語る。ファインダイニングであっても、従来の荘厳なインテリアではなく、料理上手だった祖母“オデット”さんの家のダイニングルームのような、落ち着いた、居心地の良さが魅力だ。ダイニングの中央にあるモビールは、様々な食材のクローズアップ写真を印刷して作ったもので、食材への賛歌を意味している。
     都市国家シンガポールでは、地産の食材があまりない代わりに、世界各国からの食材が手に入る。日本からは、週末を除いて毎日配達があり、フランスからは週に3回。他にもオーストラリアやニュージーランド、繊細なハーブ類はシンガポールからも調達できる。そんな豊かな食材を用い、フランス料理のDNAを軽やかに仕上げる。ポーションはやや少なめで多皿構成。「野菜も、魚も、肉も、全てを少しずつ、最後まで美味しく味わってもらいたいから」というのがその理由だ。
    「私たちはアバンギャルドなレストランではありません。なるべくシンプルに、軽くて鮮やかな、甘味や酸味の味のレイヤーを最大3層作ることで、ほんの少し洗練と複雑味が感じられるような料理を作りたい」これは、ジュリアン自身が酸味をアクセントにした軽い味を好むからだけでなく、リピーターを得るためには、食後感が軽い方が頻繁に来てもらえるからでもある。
     「オープンからの4年間で、125回も来ている地元のゲストもいる」ほど。初めてアジアに来た10年前は、全くアジアの味に馴染みがなく辛いものも食べられなかったというが、今は行きつけのインド料理店ができるほどに。旅好きの妻との旅行もインスピレーションの源。ベトナムのフォーから着想を得たフォワグラ料理を作るなど、アジアの味も積極的に取り入れている。
     3人のスーシェフは、全員が約10年ジュリアン氏の元で働いており、サービススタッフも長く働く顔ぶれが少なくない。それが、レストラン全体の安定したチームワークにつながっている。「最初に働いたファインダイニング、【ミシェル・ブラス】のミシェル氏は、周りの人々に敬意を持って接する人でした。共に働く仲間を大切にすることが、成功のカギだと、そこで学んだのです」
     親しみやすいサービスと共に、ファインダイニングに軽やかさとくつろぎ感を持ち込んだ、そんなレストランだ。

    • 『Kegani Crab』りんごと生姜、セロリのゼリーの下には、りんごとセロリのソルベ、スパイスミックスやカフィライムのオイルでマリネした毛ガニ
    • 『Lemon T'art』マンダリンオレンジとレモンの交配種、メイヤーレモンを使ったタルト。ソルベの中には、メイヤーレモンの実が。伝統的な構成を生かしつつ、軽い仕上がり
    • 長く共に働く顔ぶれも多い。「より多くを共有すれば、より長く働いてもらえる」3人のスーシェフは、ジュリアン氏と共に試作し、味の重要な決定権を持つ
    シェフの流儀 ジュリアン・ロワイエ氏

    「生まれ育ったオーベルニュは、世界で一番素晴らしい場所」だというジュリアン氏だが、妻の勧めで、カリブ海のバルバドスや南太平洋のボラボラ島で働いた事も。色々な食材を少しずつ楽しめる料理と同じように、「色々な国で働いた経験が今に生きている」と語る。

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