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  3. 進化が加速する、韓国・ソウルのトップレストラン5選

進化が加速する 新たな潮流が渦巻く
ソウルのTOPレストラン
Hitosara special

進化の加速具合という観点で見ると、アジアでもトップクラスにある韓国のグルメシーン。
「ミシュランソウル」から「アジアのベストレンスラン50」まで、注目のトップレストランにヒトサラ編集部が迫る!

Photographs by Tsutomu Hara / Text by Shinji Yoshida / Coordinate by Ja-Kyung Jyung
/ Design by form and craft Inc.
協力:韓国観光公社

  • 韓国の魚の饅頭、オマンドゥをアレンジし、ノドグロの身を皮代わりに、マッシュルームや玉ねぎなどの餡を包んだ

    Mingles ミングルス

    寺院で韓国の古典を学び、辿り着いた
    コンテンポラリーコリアンという境地

     「昔はフレンチっぽい料理が多かったけど、今はすごく韓国の伝統料理に迫っている感じ。どんどん面白くなっていると思う」
     取材前、【Mingles】についての印象をそう話してくれたのは、【フロリレージュ】の川手寛康氏。東京でコラボイベントを開催するなど、シェフのカン・ミングー氏とも親交が深い。そのことをカン氏に問うと、笑ってこう応える。
     「5年前のオープン当初は修業時代の料理に引っ張られていたんです。けど、『これは自分の料理ではないな』って感じるようになり、葛藤がありました」
     それからというもの、カン氏は週末に韓国の寺院へと通うようになったという。そこで1年半をかけて学んだのは、韓国の古典料理や精進料理について。「自分の料理とは何か?」と自問を重ね、今の境地にたどり着いた。
     「『昔の方がよかった』ていう人もいる。けれど、やっぱり人の真似事では自分が納得しなかったんですね」
     ジャンルでいえば、コンテンポラリーコリアン。クラシカルな韓国料理をイメージさせつつも、そこにシェフのメッセージを込めた。一見、魚料理に見えるひと皿は、オマンドゥという宮中料理で、本来であれば饅頭のような生地で白身魚を包み、蒸し上げたもの。しかし、カン氏は逆転の発想でノドグロの身で餡を巻き上げ、ノドグロという食材の魅力をさらに際立たせた。また、アワビの料理も“膳(ソン)”という野菜を煮る宮中料理がベースになっており、アワビの食感、海鮮から取った出汁の旨みを強調した。
     これが冒頭に川手氏が「面白くなっている」という理由なのだろう。その味からは韓国の食材の豊かさと、伝統料理の奥深さが鮮明に浮かび上がってくる。2018年の「アジアのベストレストラン50」では過去最高の11位。この店、まだまだ進化を遂げそうだ。

    • シェフのカン・ミングー氏。2018年「アジアのベストレストラン50」では韓国最高位の11位に輝いた
    • アワビを昆布で巻いて蒸し上げ、イワシを中心とした海鮮出汁のスープと合わせた。韓国式の蒸しパンとともに
    • 桃のソルベは、トンチミ(大根の水キムチ)の汁に3日間漬け込んだ桃を使い、韓国色を打ち出した
    シェフの流儀 カン・ミングー氏

    韓国の古典にこだわったコンテンポラリーコリアンを表現するのに重要なのが食材。シェフ自らソウルの台所、京東(キョンドン)市場へ仕入れにいくだけでなく、契約農場にわざわざ足を運び野菜を仕入れる。魚介類は3人の知り合いの漁師から届く。

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