フォトグラファー
木村文吾奈良県出身。学習院大美術史卒。広告と雑誌で食の撮影に携わる。「食」をテーマに個展、受賞歴複数。写真集『LIVE器と料理』出版。『エルグルメ』『料理通信』他掲載多数。
寿司が職人の手から離れ、シャリがゆっくり呼吸をする様を見事に捉えている。寿司は握られたタイミングが食べ頃で、その瞬間のために、米を炊き、酢を混ぜ、おひつで休ませ、シャリに成る。その仕事に写真で応えるためには、誰かが撮ったような写真を真似しても仕方ない。自分のルーティンをも乗り越える覚悟が必要だと思う。握られた寿司は生きものである。料理はすべて生きものだ。少ない機会を大切にしながら少しでも良い表現をしようと試行錯誤する、レベルの高いフォトグラファーの意志を感じた。この店に行ってみたい。