1. ヒトサラ

お米と具材の絶妙ハーモニー! 「丼料理」をガッツリ食べたくなっちゃうマンガ3選

 ほとんどの日本人の主食であるお米に、ときには肉を、ときには魚を豪快に乗せ、丸ごとかきこむ「丼料理」。その起源は室町時代と言われるほど歴史のある料理ジャンルです。さまざまな食材をお米に乗せるだけというシンプルな調理方法ゆえに、自由度が高く多くのレパートリーがあり、老若男女に愛される日本人のソウルフード的料理ジャンルですよね。

 誰もが知る、見ているだけでよだれが出てしまいそうなほど食欲をそそる丼料理ですから、料理マンガの多くに丼料理を題材としたシーンが登場しますが、なかには丼料理をメインとしたマンガさえあるのです。

 そこで今回は、作中に丼料理が登場するマンガを3作品セレクトしました。誰もが知るメジャーな丼料理から、独創的かつ魅力的な丼料理までバリエーション豊富。あなたもこのコラムを読み終わる頃には、丼料理が食べたくなっているはず!?

『どんぶり委員長』

『どんぶり委員長』

作品データ/『どんぶり委員長』(1巻より抜粋) 作者:市川ヒロシ 『WEBコミックアクション』連載、全4巻 ©市川ヒロシ/双葉社

 クラスメイトから真面目で堅物、高飛車と思われている委員長は、食事の作法やしつけに厳しい家庭で育ったためか、丼料理を「男だらけの店で食べる品のない食べ物」と偏見丸出しの価値観を持っていました。そんなある日、家庭科の調理実習の時間に、親子丼を作り美味しそうにたいらげる男子生徒・吉田を見て、どうしても丼料理が食べたくなってしまい……。

 そこで後日、呼び出した吉田に無理矢理、親子丼を作らせることに。委員長の熱量に負け、渋々作ってくれた吉田の親子丼を食べた委員長は、たちまち丼料理の虜になるのです。それからさまざまな丼料理を吉田に作らせては食べ、どんどん丼料理の魅力に取りつかれていくのでした。

「パスタに合うものはごはんにも合う」? 丼料理の真理がここに…!?

『どんぶり委員長』

 学食でナポリタンを食べていた委員長。そこに聞こえてきたのは、同じ炭水化物だからという理由で、「パスタに合うものはごはんにも合うんだよ」と友人と話す吉田の声でした。その会話を盗み聞きしてしまった委員長の頭の中は、もうナポリタンを丼にしたものでいっぱいになってしまいます。

 半ば強引に吉田を説得し、いざナポリタン丼を作らせることに。工程のほとんどが普通のパスタのナポリタンと同じ簡単なもので、あっという間にナポリタン丼は完成します。「パスタを超える絶品ナポリタン丼」と自信満々に料理を出す吉田ですが、確かにその見た目はかなり美味しそう。居ても立っても居られず、さっそく一口目を口にした委員長は、「めちゃめちゃ合うううう…!!」と感動したご様子。

 ケチャップ、ソーセージ、タマネギ、ピーマン、そしてお米。すべての材料のバランスの素晴らしさに、一心不乱にナポリタン丼を食べ続ける委員長でしたが、いよいよ最後の一口となってしまいます。そんなラスト一口は、罪悪感に苛まれながらも粉チーズをふんだんにかけて、最後まで楽しみながら完食するのでした。

 作中には、詳細に料理手順が描かれているだけでなく、材料や分量も記してあるので、マンガを真似して作ってみてはいかがでしょうか。

固定観念に捉われずオン・ザ・ライス! 丼料理が見せる無限の可能性

『どんぶり委員長』

「ナポリタン丼」という料理をみなさんはご存知でしたか? ネット検索してみると、レシピサイトなどには出てくるものの、やはりナポリタンと言えばパスタ料理――といった固定概念に捉われていた方も多いのではないでしょうか。

 今回紹介した「ナポリタン丼」のように、柔軟で新しい思考が美味しい料理に繋がることもあるでしょう。そして、お米というフィールドの上であれば、どんなプレーをしても許されてしまうのが丼料理最大の魅力とも言えるでしょう。

 この考え方は、私たちの日頃の生活にも直結するところがあるかもしれません。

 社会にはルールがあります。それは人と人が、より安全かつ快適に暮らすために絶対に守らなければならないものばかり。しかし、そのルールを重く捉えすぎてしまい、「こういうときはこうする」、「その問題はこうやって解決する」といった、凝り固まった考えで生活してしまうことはありませんか?

 もちろん、ルールを守ることは大切。しかし、ルールを守ったうえでならば、どのような発想や工夫をしてもいいものなのです。一見非常識な行動に見えても、今後それがスタンダードになっていくことだってあるでしょう。むしろ、そういった固定観念に捉われなかった人たちが、新しい時代を開拓してきたとも言えますよね。

 …………と仰々しく解説しましたが、シンプルに表現するなら、“丼は自由!!”の一言に尽きるのです(笑)。丼料理は、牛丼やカツ丼といった王道ばかりでないのはもちろんですが、極論、“お米の上に何かを乗せる”というたった一つのルールさえ守れば、どんな食材を用いようが、どんな調理法を用いようが成立させられるのです。

 みなさんも、パスタ料理であるナポリタンの具材をオン・ザ・ライスするような自由な発想で、ぜひオリジナル丼を作ってみてはいかがでしょうか。

『めしばな刑事タチバナ』

『めしばな刑事タチバナ』

作品データ/『めしばな刑事タチバナ』(1巻より抜粋) 原作:坂戸佐兵衛 作画:旅井とり 『週刊アサヒ芸能』連載中、既刊33巻 坂戸佐兵衛・井とり/徳間書店

 元本庁勤めのエリート刑事であった主人公・立花は、とある理由から城西署の刑事になります。そんな立花はかなりの食通であり、自身の料理に対するこだわりを語り尽くす“めしばな”が、そのままあだ名になってしまうほどの人物です。

 この作品は、立花が同僚や容疑者らと熱く“めしばな”を繰り広げたり、実際に食べたりするもので、調理工程や素材などに触れることがあまりない珍しいタイプのグルメマンガ。今回紹介するのは、立花が容疑者と取調室で牛丼について語り合うエピソードです

大手三社だけじゃない! 熱い討論が繰り広げられる“牛丼サミット

『めしばな刑事タチバナ』

 その熱い討論会はちょっとしたきっかけから始まりました。

 立花が取り調べを担当した容疑者は、振り込め詐欺の実行犯で現場を仕切っていた男。本来であれば、淡々と事件の詳細を聞き調書を取っていくものですが、立花は違いました。容疑者の供述のなかに出てきた、“牛丼”というフレーズを聞き逃せなかった立花は、「すき家」に行った容疑者に「吉野家と松屋はダメなのか?」と絡んでいきます。

 事件の詳細そっちのけで始まったこの“牛丼サミット”は思わぬ方向へ…。「すき家」、「吉野家」、「松屋」のいいところや違いを、熱く語っていった2人は次第に打ち解けていき、それと同時にお互いの牛丼に対する熱量を理解し始めます。

 完全に心を開いた容疑者は、「あらいざらい ぶちまけてやるよ」と全てを話すことを宣言。……したのですが、その後、容疑者から出た「牛友チェーン」という言葉を聞いた立花は調書を放り投げ、「話を続けるぞ 自供はあとにしろ!!」と刑事としてあるまじき発言をし、机をドンと叩くのです。

 そうして突入した牛丼サミット後半戦は、「牛友チェーン」をきっかけに、インディーズ牛丼(マイナーチェーン店や個人店)の話に波及。当初、取調室の外から不安そうに覗いていた副署長も、「知ってるよ! 行った行った! 店名変わったんだよな!」と立花の話にのめり込んでいきます。そして、最終的にろくに取り調べをせずに退室する立花の後ろ姿を見ながら、副署長は「腹減ったな……」とお腹を鳴らすのでした。

“牛丼サミット”からの学び…いつでも食べたいものを食べられる幸せ

『めしばな刑事タチバナ』

 牛丼サミット後半戦では、すっかり打ち解けた立花と容疑者が、各地の牛丼屋について話し合っていきます。先ほど名前の出た「牛友チェーン」をはじめ、2人にはなじみ深い牛丼屋が続々と閉店していったことや、現存する立花おすすめの牛丼屋の話に盛り上がっていくのです。それは、容疑者が「早く食いてぇ」と声をあげてしまうほどの熱量で…。

 刑事と容疑者。相容れない関係性の2人が、牛丼という一つの丼料理だけでここまで打ち解け合い、盛り上がることができるのです。これは牛丼という超メジャーで、多くの専門店がある丼料理だからこそ起こりえたことかもしれませんね。

 結局事件のことをほとんどなにも聞かなかった立花は、笑顔で取調室を出ていきます。きっとこの後、牛丼を食べに行ったのではないでしょうか。しかし、容疑者のほうはどうでしょう。刑務所に入ってしまうと、長らくシャバの牛丼にはありつけないのです。

 このエピソード以外でも、取調室で立花と“めしばな”をする容疑者がたくさん出てきます。彼らは、どれだけ美味しい料理の話で盛り上がろうとも、有罪が確定して服役することになれば、しばらくシャバでその料理にありつくことはできないのです。

 今回の容疑者は、大好きな牛丼談義に花を咲かせたはいいものの、刑期を終えて刑務所から出るまで、大好きな牛丼屋の牛丼を食べることはできないわけですね。そういう意味で、立花が“牛丼サミット”を吹っ掛けたことは、彼にとってかなり酷なことだったのかも……(笑)。

 ただ、この容疑者はしばらく大好きな牛丼を食べることはできませんが、このマンガを読んだみなさんは、読了後、すぐにでも牛丼屋に足を運ぶことができるわけです。この容疑者に感情移入すると、その気になれば安くて美味しい牛丼をいつでも食べられるという自身の境遇が、かなり幸せに思えるはず。もしかすると、食事に対するありがたみを忘れてはいけないというメッセージも、『めしばな刑事タチバナ』には含まれているのかもしれませんね。

『喰いしん坊!』

『喰いしん坊!』

作品データ/『喰いしん坊!』(1巻より抜粋) 作者:土山しげる 『週刊漫画ゴラク』連載、全24巻 ©土山しげる・日本文芸社

 サラリーマンの主人公・大原満太郎は、かなりの食通。給料の大半を食費につぎ込んでしまうようで、給料日前には金欠に悩むこともしばしば。そんな大原が、30分でカツ丼10杯食べたら1万円進呈というお店で、プロフードファイターを名乗る男・ハンター錠二と出会うことで物語は始まっていきます。

 今回は、大原と錠二が出会ったエピソードをひも解いていきましょう。男らしく、ガツガツとカツ丼を食べるシーンが多く登場しますが、そのワイルドさはもはや一周回って爽快感を覚えるほど。きっと思いっきりカツ丼を食べたくなりますよ。

カップ麺を食べた後に…巨漢の柔道部員とのカツ丼・早食い勝負!

『喰いしん坊!』

 腹も減っており金欠だった大原は、15分でカツ丼5杯という特別ルールでチャレンジをします……が、結果は惨敗。わずか2杯を食べたところで時間切れとなってしまいました。

 翌日、30分10杯に挑戦すると言い残した錠二を見に店に行くと、汗一つかかずにカツ丼をほおばり続ける錠二の姿が。そのまま見事時間内に食べきった錠二が賞金を受け取ったのとほぼ同時に、前日惜しくもチャレンジ失敗した柔道部員の後輩が入店して来るのです。

 この後輩がかなりの巨漢であったことにビビった店主は、チャレンジ自体が終了してしまったと逃げようとしますが、巨漢後輩は逆上し店を壊そうとする始末。錠二が、巨漢後輩と10分間の大食い対決をするということで話をまとめたのですが、当人は先ほど10杯のカツ丼を平らげたばかり。そこで代打に選ばれたのが大原でした。

 前日、2杯しか食べられなかったうえに、すでにカップ麺を食べていた大原の勝機は薄いように思われましたが……錠二のアドバイス通りに箸を進めることで見事勝利! けれど、自分自身でもなぜ勝てたのか腑に落ちない大原は、錠二にその理由を教えてもらうのでした。

勝利した自分さえもわからなかった勝因――正しい知識と正しい準備!

『喰いしん坊!』

 錠二いわく、なんと大原の勝因は、足を引っ張るかに思われたカップ麺だというのです。臓器の中で唯一伸縮機能を持つ胃は、ある程度食べ物を入れて広げておかなければ、大量に食べることはできないとのこと。さらに、胃に何かを入れておかなければ、なかなか食事が喉を通らず、水で流し込んでしまうため余計に胃が満杯になるのが早く、思ったほど食べられないということもあるようです。

 それを知らなかった巨漢後輩は、朝食を抜いて挑戦してしまっていたのでした。つまり1回目(前日)のチャレンジで大原が失敗した原因も、胃袋が空っぽの状態で挑んでしまったことにあったというわけですね。

 さて、みなさんもビュッフェや食べ放題に行く際、たくさん食べたいという理由でわざと食事を抜いてから行った経験はありませんか? そしてその際、食べられたのはいつもと同じ量か、それ以下だったという思い出がある方もいるかもしれませんね。もし、胃が伸縮するという知識をきちんと持っており、事前に何か食べておいたほうが結果的に多くの量を食べられることを知っていれば、ビュッフェや食べ放題でも満足いくまで食べられたのではないでしょうか。

 ――カツ丼を掻っ込む男たちの姿は、ストレートな表現をするなら、何とも暑苦しいもの。しかし、一心不乱に丼料理を喰らう様をずっと見ていると、食欲が刺激されるという方も少なくないでしょう。丼料理を食べる予定のある日や、ビュッフェや食べ放題に行く予定がある日に、この『喰いしん坊!』のカツ丼エピソードを読んでおくと、その日の食事を存分に満喫できるようになるかもしれませんね!

※情報は記事公開日時点のものです

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