『札幌乙女ごはん。』
作品データ/『札幌乙女ごはん。』(1巻より抜粋) 作者:松本あやか 編集:エアーダイブ 全3巻 ©松本あやか・エアーダイブ/Dybooks
タイトルにあるとおり、札幌の実在店を数多く紹介した作品。けれど、本作の特徴はストーリーマンガとしてもきちんと成立しているところなんです。
札幌在住の主人公は、長年付き合ってきた恋人にフラれてしまったアラサー女子。元気づけようと親友2人が連れてきてくれたラーメン屋で、親友のやさしさとラーメンの美味しさに癒され、美食に目覚めるというお話です。“食”だけでなく、仕事も恋も遊びも盛りだくさんで、前向きに貪欲にがんばるキラキラ女子たちを描いていきます。
失恋の痛手を癒してくれたのは友情と『弟子屈ラーメン』だった
第1話冒頭で、6年間付き合っていた彼氏に突然別れを告げられた主人公・早織。落ち込んでいた早織を、高校時代の茶道部仲間だった親友と後輩が合コンに誘ってくれましたが、“完全なるハズレ合コン”でした。
ハズレ合コンの憂さ晴らしにカラオケに行き、その後、シメのラーメンを食べに行く3人。さっぽろラーメン横丁にある『弟子屈ラーメン』に初めて訪れた早織は、「魚介しぼり醤油ラーメン」(800円、税込)の美味しさに感動!
親友や後輩も、炙りチャーシューやあっさりめのスープを絶賛していましたが、早織は実食中に、「んーーーーっ!! スープによく絡む太ちぢれ麺!! 魚介のダシが効いたスープに合う!!」、「それはまっすぐお腹に落ちていって からっぽだった私を少しだけ満たしてくれた」とモノローグで熱弁するほど。“心が元気になる『ごはん』”に胸打たれるのでした。
ちなみに第2話では、ドSな年上上司である企画課チーフ・杉原(33歳)とのラブコメ展開も!
旅行会社社員である早織はある日、杉原にバスツアーの企画書を提出するも、ガミガミと厳しくダメ出しされてしまいます。リベンジで再提出した企画書も却下され、落ち込んでいましたが、そんな彼女を杉原が『生ラムジンギスカン 山小屋』に連れていってくれるのです。
「ラム肉」(1人前900円、税別)に舌鼓を打ち、元気を取り戻した早織が、「以外に優しい所もあるんですね 杉原チーフって!!」と伝えると、杉原は「…別に 誰にでもってわけじゃねぇよ」とボソリとつぶやき、赤面…! ドS上司のツンデレな一面にときめく早織なのでした。
札幌グルメを軸に、恋あり友情あり仕事ありの“大人の物語”
先ほどご紹介した第1話で、高校からの親友と後輩にラーメン屋に連れて行ってもらった際、早織はふとこう気付きます。
「人間おいしいものの前ではクヨクヨ悩めない」と。
この言葉こそ、本作の裏テーマなのかもしれませんね。
実際、落ち込んでいた早織は、『弟子屈ラーメン』のラーメンで、『生ラムジンギスカン 山小屋』のラム肉で、元気を取り戻していました。
そして、本作の見どころはただのグルメマンガではなく、早織を中心としたキャラたちのストーリーもしっかり描かれているというところ。ドS上司と恋に落ちる展開は王道と言えば王道ですが、それゆえに安定のドキドキ感が味わえるんですよね。
ちなみに高校からの親友と後輩の単独エピソードもあり、彼女たちの恋や仕事にもスポットが当たっていくので、感情移入しやすいキャラがきっと登場するはず。札幌グルメを軸に、恋あり友情あり仕事ありの“大人のストーリー”が展開していくわけですね。
もちろん登場するお店はすべて実在店。しかもグルメ店だけでなく、一例ですがカラオケ店『mash(マッシュ)』、屋上観覧車で有名な大型アミューズメント施設『nORBESA(ノルベサ)』といった、札幌の実際にある人気スポットも、劇中で登場人物たちが訪れる形で、物語の中に自然と組み込まれています。
つまり、本作は恋愛ストーリーマンガとして楽しめるだけでなく、札幌のグルメガイド、レジャーガイドにもなるという一石三鳥の作品なんですよね。早織たちの恋の進展にときめき、憧れたら、ついつい本作片手に札幌旅行に行きたくなってしまうかも…!
