【その1】会席料理の楽しみ方3カ条

お茶を楽しむための「茶懐石」に対し、「会席」はお酒を楽しむための料理。じつは、「一汁三菜」を基本とした献立であること以外に細かい決まりはありません。原則は、一品一品、順番に出てくる料理をじっくり味わえばよいのです。ここでは、会席をさらにおいしく味わうために知っておきたい、「会席料理の楽しみ方3カ条」を紹介します。
1つめは、ズバリ「お魚」。お刺身をはじめ、日本独自の和食はお魚を中心に発達してきたといえます。「魚って本当に難しい。素材の良し悪しの見極め方、身を下ろす技術、そして調理法、どれをとっても難しいんです」と渡辺さん。だからこそ、お魚料理には料理人のさまざまな手仕事や工夫が隠されています。そこに注目すれば、会席をもっと楽しめるはずです。
2つめは「四季」。会席料理は、季節ごとに献立が変わっていきます。その時々の旬の食材をふんだんに使い、季節の移ろいを五感で感じ取れるように調理するのが、料理人の技の見せどころ。「とにかく目でも料理を楽しんでいただけるように、季節それぞれの彩りを意識しています。あとは、あまり食材を『いじりすぎない』ということでしょうか。旬の食材それぞれが持った旨みを引き出すことを大事にしていますね」(渡辺さん)。
最後は、「器」。ちょっと意外かもしれませんが、この器もまた、会席の醍醐味と言えるでしょう。洋食のコースは白い磁器やガラスの器で統一されることが多いのですが、和会席では陶器を中心に色や形、手触りに個性がある様々な器が登場します。渡辺さんも、料理の色味と季節に合わせた器を選んで、その料理にぴったりの器になるようにしているそうです。