第83回:成田氏の幼少期~今、そして未来のパティシエを目指す方へ
病弱だった幼少期の成田氏。数年間、病院で過ごした日々の減塩食のおかげで、食材の味をリアルに感じることができ、味覚が研ぎ澄まされたという。弱く生きていくことに嫌気がさし、自ら身体を鍛えスポーツ少年になった成田氏。お菓子職人の父に背中を押され、知り合いのお店で修行を始め、まもなく渡仏。帰国後はシェフ・パティシエとして才能を開花させ、新たなクリエイティヴィティを発揮させた。これからのパティシエ業界に必要なもの、そして五感を研ぎ澄まし、自分の生き方を楽しみながら世界を表現できるパティシエの魅力について語る。
病弱な自分との闘い
――お父様もケーキ職人で、小さい頃からその道を目指されていたんですか?
成田:いえ、小さい頃はすごい病弱で、何年間も病院で過ごしていました。その時の病院食はかなり減塩されたものだったので、食材の味がリアルに味わえ、記憶に残っていますね。
――では、小さい頃は辛い思いをされたんですか。
成田:辛いというよりも、その時期に‘一人でいること’に対して何の不満もなくなりました。なので、ヨーロッパに行って話し相手が一人もいなくても、全く寂しさを感じませんでしたね。個として生きる力はその時備わったのかも知れないです。
――それは強いですね(笑)。
今後のパティシエ業界、そして未来のパティシエたちへ
――パティシエ業界はこれからどうなっていくと思いますか。
成田:業界的にイノベーションが必要だと思います。どの程度まで自分が学ぼうという意識の中で仕事をするかにもよりますが、8時間労働という労働基準法を受け入れるのであれば、今のままでは不可能だと思います。
――最後にパティシエになりたい方にメッセージをお願いします。
成田:パティシエの仕事は、自分自身が楽しめる仕事です。自分の生き方の中で、何を食べればいいのかを考え、目から入ってくる刺激になるような芸術性の高いものを見て、いい香りや美味しそうな香りをわきまえれるようになること。そして全体を五感でしっかりと感じながら、その世界をクリエイティブに表現できる人は楽しめる職業だと思います。