トップホテルの 美食レストランへ | ヒトサラ
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ザ・リッツ・カールトン東京 Azure45
- レストランのある45階は東京タワーの特別展望室とほぼ同じ高さにある地上約200m。ディナーには東京湾のベイエリアの夜景を、晴れた日のランチタイムには遠く房総半島まで眺めることができる
- 『フランス産バザス牛のロースト その背脂を纏って ヘーゼルナッツの香り』。バザス牛は今最も力を注ぐ食材
- 『カリフラワーのクリームとクロッカン各種 オマールブルーのマリネ』は重層的な味わいと食感
- 400種以上と豊富にラインナップされるワインでゲストをもてなす。料理に合わせたペアリングコースも
- 2014年5月に料理長に就任した宮崎シェフ。前店では7年連続でミシュラン一つ星を獲得した実力派だ
45階の絶景レストラン
シェフが標榜するさらなる高み「フレンチに限った話ではないですが、熟成や火入れが時代の潮流となっている昨今。自分が目指すのはその先にある料理です」
そう話すのはシェフの宮崎慎太郎氏。そして、2014年5月、それまで経験がなかったというホテルレストランの料理長という仕事を引き受けた理由も、氏は平然とこういってのける。「日本人シェフの地位、ステータスをさらなる高みへ導きたかった」。そう、氏が見据えるのは、いつだってフレンチの次なるステージである。
そんな宮崎シェフが、今力を入れているのは、火入れの新たなあり方だという。例えば、この日の魚料理。金目鯛はあえて身と皮を切り離し、別々に調理する。身は蒸してから軽くグリルすることで、香ばしく、ふっくらと。皮目は鉄板で挟んでオーブンにいれることでパリパリの食感にして身に戻す。皮がついたままの切り身に火を入れると、素材そのものにどうしても負担がかかるため、素材を分解して火入れをするのだ。肉料理も同様。繊細な火入れが要求されるフランスのバザス牛は、サーロインを赤身と脂に分けて調理し、必要な脂のみを赤身と合わせた力作といえる。
その実力は『ミシュラン東京2016』において早くも星を獲得したことで実証済み。45階というロケーションから見渡す景色のごとく、この店の未来もまた視界良好である。 -
シャングリ・ラ ホテル 東京 Piacere
- 1960年公開のイタリア映画『甘い生活』をイメージした店内は、ベネチアングラスのシャンデリアが飾られるなど、ラグジュアリーで開放的な空間が広がる。窓からは東京駅を眼下に望む
- 『ローストオニオンのリゾット キャビアとサワークリーム』。キャビアのしっかりとした塩味がアクセントに
- フランスやスペイン、ドバイ、バリなど世界各国で活躍したアンドレア氏。2014年9月より同店のシェフに
- 『鰻のエスカベッシュ ポルチーニ茸 オニオンのピクルス 木の芽 ロースト南瓜のクリーム 』
- 『スモークした牛肉 ジロール茸 パースニップのピューレとパセリのレディクション ガーリックチップとバタークリーム』
伝統に溶け込むシェフの感性
心揺さぶる革新的イタリアンそのサプライズに誰もが驚き、思わず歓声をあげることだろう。鰻のエスカべッシュが供され、ポルチーニ茸のスープがかけられると、穴のあいた受け皿から勢いよくスモークが立ち上る。下にドライアイスをしのばせているがための仕掛けである。しかし、それが決して奇をてらった演出などではないことはすぐに気付く。鼻孔をくすぐるのはポルチーニ茸の馥郁たる香り。まさに、エグゼクティブシェフ、アンドレア・フェレーロ氏の狙いはそこにある。
「別の方法があれば、ドライアイスを使う必要はありません。ポルチーニ茸の香りを最大限に楽しんでもらうためのベストな手法がこのやり方だったんです」
そう、シェフの料理には確固たる信念が息づいている。コンテンポラリーなイタリアンながら、その根底にあるのはイタリア料理の伝統であり、本物の味わい。革新的なアイデアだけが基軸になることはない。華やかな料理ばかりではなく、一見地味に見えるオニオンのリゾットも、ホールのタマネギを塩釜で4時間じっくりと焼き、ピューレにしてリゾットにしたものだ。得も言われぬ旨みと甘みは、まさに丹念な仕事から生まれた味といえる。
スペインでは、かのキケ・ダコスタ氏に師事し、世界各国で腕を振るってきたフェレーロ氏。その料理のひと皿ひと皿には、未だ出会ったことのない景色が待ち受けているはずだ。そう、28階というロケーションから、俯瞰に近い形で眺める東京駅の姿のように。 -
コンラッド東京 Collage
- 都心に位置するコンラッド東京の28階。高さ7mの窓から臨む風景の中でも、特に夜は美しい夜景が目の前に迫る。モダンアートのようなコンテンポラリーな内装と活気あるオープンキッチンが融合している点も魅力
- 米山康晴料理長。食材の食べ合わせを重視し、素材の旨みを引き出したシンプルな調理法を信条とする
- 『鴨のロースト 焼きネギと蕎麦の実』。焼き茄子の上にはシャラン産の鴨肉と伏見唐辛子と九条ネギをのせて
- 『秋鯖のマリネ 春菊とミカン』 。柑橘の酢で締めた秋鯖をタップナードソースとブラックオリーブのソースで
- ワインはフランス産や国産のほか、世界の最前線の産地・銘柄を豊富にラインナップしている
素材、技法、美味しさまで
多彩な要素がひと皿にコラージュフレンチをベースに、さまざまなジャンルの技法や国のエッセンスを取り入れた、新しいスタイルの料理を提供するモダンフレンチレストラン。2016年8月より就任した米山康晴シェフがテーマに掲げるのは“和の心‘”が感じられる皿の数々。国産の野菜を中心に、多くの食材が皿の上でコラージュすることによって、より美味しさの幅と奥行きを広げた料理を、季節ごとに展開する。
また、そのロケーションはホテル「コンラッド東京」の28階という東京屈指の絶景を独占する場所にあり、高さ7mの窓から望む汐留のダイナミックな景色と、活気あるキッチン、コンテンポラリーアートのようなモダンな内装は、そんなシェフの料理に同調するかのような空間。
そして、サービスを担当するスタッフも一流だ。世界の名だたるコンテストで数々のタイトルを獲得した森覚氏やソムリエチームをはじめ、スマートかつフレンドリーなサービスを心掛けるベテランのサービスマンも数多く、「このレストランに訪れると、ホームに帰ってきた気分になる」と数々のセレブリティからも、賞賛の言葉があがる。洗練されているのに、肩肘張らない。本物の優雅さを体現するレストランがここにある。 -
ヒルトン東京お台場 日本料理「さくら」 鉄板焼カウンター
- 眼前の鉄板の上でダイナミックに調理されるライブ感もまた鉄板焼の魅力。鉄板を囲むようにカーブを描くカウンター席、窓外には緑豊かな庭園風景。プライベートな鉄板カウンター付きの個室も完備される
- ある秋のコース『飛騨牛 A5 サーロイン トリュフと赤ワインのソース 野生のキノコ 白味噌 朴葉の香り』
- 有名ではなくともつくり手の情熱が感じられるワインを多数オンリスト。ホテルだけに定番ボトルも数多い
- 嗅覚や聴覚への刺激とともに自然と味への期待も高まる。シェフ自身の口から料理の説明を聞くことができる
- 印象派の絵画などに触発された石月シェフの盛り付けは、整然と並べすぎない自然のなかの美がコンセプト
和食の心と、西洋料理のエッセンスで
かつてない鉄板焼の魅力を創出する目の前で焼き上げるステーキ、洋皿に盛られる目にも美しい前菜、充実したワインリスト、シェフコートに身を包む料理人……。いわゆる“洋食”の要素を多分に持ち合わせるこちらの店。それでも「シンプルな調理で主食材のおいしさを引き出す」という一点において、引き算の美学、つまり和の心が根底にある。
鉄板の前で匠の技をみせる石月俊一氏は、名門ホテルのフレンチ部門、本場フランスでの修行などを経験する実力派。多彩な要素を取り入れた新たな鉄板焼の創出を目指して、2016年にヘッドシェフに抜擢された。A5ランクの銘柄和牛に添えられる味噌の香り、魚介の料理にさりげなく添えられるチーズや香草。和洋の垣根を自在に飛び越え、独自の感性で生み出される料理の数々は、鉄板焼の固定されたイメージを軽々と覆す。しかし鉄板焼の本質を問えば「味の頂点を迎える瞬間に、お客さまに料理をお出しできること」との応えが返ってくる。つまりジャンルを問題としてはいないのだ。ゲストとの距離が調理法として、最良の料理を届けられること。それが石月シェフの目線の先、鉄板焼の持つ果てしない可能性なのである。 -
パーク ハイアット 東京 GIRANDOLE
- 内装はインテリアデザイナー、ジョン・モーフォードが手がけた。開放的でカジュアルな雰囲気のエントランスエリアとは異なり、奥のテーブル席は落ち着いた雰囲気。東京の夜景を見渡す贅沢な眺望を楽しめる
- 『サステナブルアトランティックサーモンのロースト グリーンアスパラガスとモリーユ茸のソース』
- 『ロッシーニステーキ オーストラリア産牛フィレ肉とフォアグラ トリュフソース 』
- 「サステナブルシーフードを使うことで、他のホテルレストランとの差別化も図りたい」と佐藤シェフ
- プライベート感のあるブース席には、エクスリブリス(蔵書票)をモチーフにしたアートが飾られる
食材も料理も原点に立ち返る
一流ホテルが辿り着いた答え「パークハイアット 東京」の41階にあるレストランであり、オールデイダイニングとしての顔も併せ持つ【ジランドール】。店内にはヨーロッパのブラッスリーを思わせるダイニング空間や、41階からの眺望を楽しめる窓際のテーブル席、豪華列車の食堂のようなプライベート感あるブース席などがレイアウトされ、ゲストのあらゆるシーンに応える一軒である。
そんなレストランが2016年9月、これまでのメニューを刷新し、よりクラシカルなフレンチへとメニューの一部を変更。そして、日本のホテルでは初となる海洋管理協議会と水産養殖管理協議会によるCoC認証(トレーサビリティ制度の一種)を取得し、サステナブルシーフード(持続可能な海産物)を料理の一部に取り入れるようになった。それにより、単に美味を追求するだけでなく、食材自体の生態、環境などにも配慮し、食そのものを見直したのである。「これは、ハイアットグループ全体としての理念のひとつにもとづくもの。料理もクラシカルになり、食材を見直したことで、料理人としても原点に立ち返れる」と料理長の佐藤剛氏は話す。
それがラグジュアリーな一流ホテルのレストランが導き出した答え。贅沢すぎる料理だけが美味ではない。一流の大人にこそ、このレストランの目指すべき姿に共感してもらいたいものだ。
※このページのデータは、2016年10月上旬取材時のものです。営業時間、定休日などの情報は変更されることもございますので、あらかじめご了承ください。