憧れホテルの 美食ダイニング | ヒトサラ
-
帝国ホテル 東京 レ セゾン
- 【レ セゾン】は帝国ホテル 東京のメインダイニングとして、1983年に開業。以来、正統派フランス料理を供する。2005年の改装リニューアルに合わせて、ティエリー・ヴォワザン氏がシェフに就任。今年で10周年を迎える
- 『天然茸を覆った鶏肉 ジュを絡ませたセロリ 蜂蜜ビネガーを香らせた洋なしと一緒に』。鶏胸肉にジロール茸と鶏肉のムースをたっぷりのせ、甘酸っぱく仕上げたひと皿
- 『フロマージュブランのコンポジション フランボワーズ 柚子とレモンのソルベ』。有田焼の器に軽やかさ、爽やかさが際立つ、【レ セゾン】らしいデザート
- 「我々はチームであり、スタッフなくして自分はいない」とシェフのティエリー・ヴォワザン氏(中央)。日本人シェフ・海老名裕光氏、シェフパティシエ・藤澤利喜治氏らと
- シャンパーニュの三ツ星店でシェフを務めたヴォワザン氏らしく、シャンパーニュには特にこだわりが強い
レ セゾン
03-3539-8087 住所:東京都千代田区内幸町1-1-1 帝国ホテル 東京本館中2F
営業:7:00~L.O.10:00/11:30~L.O.14:30/
17:30~L.O.22:00
休日:無休開業125周年を迎えた名門ホテルの
変化を畏れないフランス料理店「人生はあっという間の出来事。その中の10年なんて、さらにわずかなものさ。子供たちは、随分変わったけれど」
帝国ホテル 東京【レ セゾン】シェフのティエリー・ヴォワザン氏はそう笑う。フランス・シャンパーニュにある【ボワイエ・レ・レクイエール】のシェフだった彼が、帝国ホテル社長と総料理長・田中健一郎氏に乞われ、同店シェフに就任したのが2005年。来日に際して伴ったふたりの息子たちも、今や成人した。冒頭のセリフは今年開業125周年を迎えたホテルの歴史に比してもまた、同じ思いなのかもしれない。
だが実際のことを言えば、【レ セゾン】の料理はこの10年で大きく変化した。じっくりとこの国に腰を落ち着けることで理解した日本の精神性や豊富な食材、調理法を、自在に料理に展開。「柚子やわさびだけが、日本らしい食材じゃない」と、かつお節や昆布を使うのはもちろんのこと、ハモや甘鯛、サザエやつぶ貝、めねぎにシソ、緑茶などを使いながらも、着地点は正確に「フランス料理」へと落とし込む。安易なジャポネスク趣味に陥ることがないのは、今も時にフランス料理の開祖・エスコフィエの技法を紐解く氏の伝統的フランス料理人としての基礎体力があってこそだ。
「10年間、いつも私の傍らには帝国ホテルの優秀な料理人たちがいた」
15歳から料理人修業に入ったヴォワザン氏は、いいチームでなければ本当においしいフランス料理はつくれないことが身に染みている。チーム監督として前菜からデザートに至るまで発想の源は自身でありながらも、スタッフたちが最大限の力量を発せられるよう心を配る。それがまた、日本という風土によく寄り添った。結果、今の【レ セゾン】の料理がある。伝統あるホテルの正統派フランス料理店は、フランス人シェフをトップにいただいた日本人チームによって、今もなお変化のただ中にあるのだ。 -
パレスホテル東京 クラウン
- 旧パレスホテル時代は10階にあった【クラウン】。現在はホテルの6階に位置するが地上からの高さはかつてとほぼ変わらないという。もちろん、水と緑に囲まれたロケーションも以前のまま。お堀を望む景色もまたこの店のご馳走である
- 『和牛ホホ肉をシラー種の赤ワインで柔らかくブレゼに ポテトのニョッキ、トリュフ風味、シャテーニュのグラッセ』
- 『フォアグラカナールのコンフィ イチジクのバリエーション アマランサスの若芽 ベーコンの香るフォカッチャ』
- 「第9回メートル・キュイジニエ・ド・フランス“ジャンシリンジャー”杯」優勝など輝かしい経歴を持つ市塚氏
- クラウンのセラーだけでおよそ700種、約10,000本以上をストック。【ラ・ピラミッド】にほど近いコート・デュ・ローヌのワインが多く揃う
クラウン
03-3211-5317 住所:東京都千代田区丸の内1-1-1 パレスホテル東京6F
営業:11:30~L.O.14:30/17:30~L.O.22:00
休日:無休このお店は閉店しました
伝統を踏まえ革新に迫るく
生まれ変わった名門フレンチ1961年創業のパレスホテルが『パレスホテル東京』としてグランドオープンしたのが2012年。約半世紀もの歴史を刻んだ10階建ての建物は一新され、23階建てのラグジュアリーホテルへと変貌を遂げたのは記憶に新しいところだろう。
それは、パレスホテル時代より50年以上の歴史を紡いできたレストラン【クラウン】も同様だ。フランス・ヴィエンヌにある名店【ラ・ピラミッド】による監修を受け、料理長にはフレンチのトップシェフらが集まる大会において優勝した経験を持つ市塚学氏が着任。バターなどをふんだんに使った古典的なフレンチは、キュイジーヌ・モダンな料理へと生まれ変わった。
テーマはずばり伝統と革新。例えば、伝統的な牛ホホ肉の赤ワイン煮込みなら、ホホ肉の煮込みを型抜きにして3層に。中には贅沢にフォアグラを挟み込み、付け合わせの定番であるジャガイモはニョッキにして添える。つまり、プレゼンテーションやアプローチを変えることで料理を再構築し、伝統と革新という相反する要素をひとつの皿に落とし込むのである。
「革新も伝統の上で成り立つこと。かつての味を求めて来られるお客様の期待にもしっかり応えたい」と市塚氏。水と緑に囲まれた絶好のロケーションは以前のまま。【クラウン】もまた、歴史ある名門ホテルに相応しき一軒である。 -
マンダリン オリエンタル 東京 フレンチ ファインダイニング「シグネチャー」
- 店内に足を踏み入れた瞬間に、息を呑むほどの絶景が広がる【シグネチャー】。日中は降り注ぐ陽光の中、ディナー時にはきらめく夜景を望みながら食事が楽しめる。プライベートダイニングルームも完備
- 『スズキのカルパッチョ 貝と胡瓜 ミモザ風 キャビア コキアージュのスープを添えて』
- 活きオマール海老を使った『オマール海老のロティ アメリケーヌソース ガランガ風味 カリフラワーのピューレ』
- 大柄な身体とは裏腹に、驚くほど繊細かつ美しい調理を施すニコラ・ブジェマ氏。やさしい味わいが多い
- 『アビナオチョコレート 85%のクレームグラッセ フランボワーズ 沖縄産胡椒のメレンゲ』は酸味と甘味が絶妙
古典フレンチを大切に
常にさらなる高みを目指す「日本の食材は本当に素晴らしいです。それを正統派のフランス料理として皆様に楽しんでいただくことが僕の仕事かな」
若干34歳にして、これまでに合計14個にも及ぶ星付き店で研鑽を重ねた、フランス人シェフ、ニコラ・ブジェマ氏。現在、マンダリン オリエンタル 東京のメインダイニング【シグネチャー】を率いる料理長はそう語る。
「オープンキッチンも今まであまり経験がなかったので、とても刺激的で新鮮だね。お客様の表情がよく見え、時にはアイコンタクトや会話もできる」
そうなのだ。37Fという都心を一望する高層階での食事もさることながら、シェフの調理、厨房の会話や臨場感までもが楽しめることこそが、【シグネチャー】の真骨頂。
日本各地から集めた高級食材や旬の幸を、フランス料理の本流を汲む味で提供する。もちろん、本場・フランスはもとより世界中から最上級の食材を集めている。そこにほんのひとひねり、隠し味のようにアイデアや現代的な要素を忍ばせる。クラシカルを大切に、見た目に麗しく、軽やかな味わい。これこそがシェフ・ニコラが今、日本で表現するフレンチだ。
「ひと皿に使うメインの食材は3つまで。それぞれの食材の味を楽しんでもらいたいので、シンプルな表現が一番」
そう笑うシェフ・ニコラ。世界中から美食家が楽しみに訪れる氏の味は、日本でさらにブラッシュアップされ研ぎ澄まされている。 -
ザ・ペニンシュラ東京 Peter
- 皇居外苑が一望できる最上階の特別な場所に【Peter】はある。緑が美しく映える日中から、陽が傾き、街が茜色に染まっていく夕暮れ時、そして、ビル群の灯りが明滅して輝く夜と、時間帯によって全く異なる表情を、この空間は見せてくれる
- 『US産プライムグレインフェッド牛 リブアイ』。最上位に位置づけられる肉を香ばしく、ジューシーに焼き上げた
- 『鮪のカルパッチョ アボカド山葵マヨネーズ 和風コンディメント 焼き海苔と共に』。外国の方にも好評の一品
- カクテルも充実。『ザ・ペニンシュラ ハイボール』は白州ベースで、ジャスミンティーの香るウォッカが隠し味
- 各国の料理も熱心に探求し、会得している石井順料理長。「趣味も料理です」と断言
ダイナミックなグリル料理に、
独創的なエッセンスを加味非日常への道程はエレベーターホールに立った瞬間からすでに始まっている。直行で最上階へ上れば、そこに広がるのは異空間。深い紫色とラベンダー色をキーカラーにした、何ともセクシーなPeterバーが現れる。その先に広がるのがステーキ&グリル【Peter】。木やスチールなど、質感の異なる素材を巧みに組み合わせており、皇居外苑に面した窓は大きく開放的。これぞ、ザ・ペニンシュラ東京が誇る【Peter】だ。
スペシャリテは豪快にグリルしたステーキ&シーフード。US産プライム牛や松坂ポーク、旬の鮮魚など、多彩に揃えるが、これらの火入れの素晴らしさだけでは語り切れない点も【Peter】の魅力。随所に独自の創意が見られる。例えば、前菜の海苔で巻いて食す『鮪のカルパッチョ』。フレンチを長く経験してきた石井順料理長は言う。
「ザ・ペニンシュラの伝統とブランドを守りつつ、ゲストを満足させるのが私の仕事。そのためには日本料理を含め、様々な国の料理に対して、常に貪欲でありたいと思っていますし、経験も磨いていかねばなりません」
その熱意は本物。件の鮪料理はある寿司屋で出合い、感激した一品からアイデアを膨らませたシェフのオリジナル。枠にとらわれず自由闊達に料理するが、それも、つまりはゲストの満足を最優先に考えた結果だ。
空間だけでなく情熱から生まれた美味でも非日常を実感する。これこそがホテルダイニングの醍醐味だろう。 -
グランド ハイアット 東京 フレンチ キッチン
- シェフがその日のお客様のためだけに腕を振るうシェフズテーブル。ブルトハウプ社製の美しいキッチン付きで、ここのみ貸し切りにしたウェディングパーティーなどにも重宝されている
- 『鴨胸肉のロースト パースニップ マリネしたプルーン ローストしたキャロット 栗』。食感の多彩さも楽しい
- ワインはほとんどが仏産。ゲストの嗜好や料理に合わせ、専属ソムリエが約3000本から本日の1本を提案する
- 四季折々の魅力があるテラス席。夏はサルスベリの花が咲き、冬は眼下のけやき坂がイルミネーションで彩られる
- フレンチだけでなく、モダンオーストラリア料理やイタリアン、ステーキハウスなど多彩なジャンルで経験を積んだ若き料理長のトロイ・リー氏
心揺さぶる新感覚ビストロで、
洗練と癒やしの時間を提供264席、多彩なスペースを有するグランド ハイアット 東京のオールデイダイニング【フレンチ キッチン】は着席までの時間にすら物語性がある。エントランスの先、テラスに面したテーブルは天井が高く、木々が配され、室内であることを忘れさせるほど開放的。さらにメインフロアへ向かう際には、オープンキッチンへと伸びるキャットウォークを歩く。華やかな舞台を歩くような高揚感。自然と姿勢が正される快い緊張感。キッチンから漂う香り、洗練されたスタッフの動き、心地よい調理の音、様々な刺激が、食事への期待値を高めてくれる。
そんな様々な要素が共存する絶妙な空間に相応しく、料理も“伝統的ビストロ料理をスタイリッシュにアレンジ”がコンセプト。コースはアラカルトから自分好みに自由に内容を選択できる肩肘張らないスタイルだが、その一皿に宿る表現力はフルコースにも劣らない。
例えば、ひと目で季節感が伝わる鴨胸肉のロースト。シェリーに漬け込んだプルーンをはじめ、ローストした人参や栗は秋の恵みらしい甘味を持ち、華やかに鴨肉の旨味を引き立てる。根菜であるパースニップをチップスとピューレ、2種の調理法で添えるなど、素材の持ち味を多角的に活かすアイディアも見事。食べ進めるごとに新しい驚きと発見がある。
大切な相手と一皿をシェアしながら、料理について語り合えるラフな空気感もいい。緊張、緩和、驚き、発見と、五感だけでなく感情までも共有できる今宵のディナーは、ドラマティックな思い出として心に深く刻まれるはずだ。
※このページのデータは、2015年11月上旬取材時のものです。メニュー、営業時間、定休日などの情報は変更されることもございますので、あらかじめご了承ください。