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未来への答えがここにある SDGsなレストラン Hitosara special

SDGsという言葉が世間に浸透しはじめて久しいが、
飲食業界において、それはもはやつくり手だけの問題ではなく、
食べ手もそれを意識するべき時代が到来している。
ただし、その根底にあるのは、美味しさであり、食事の楽しさだ。
今回はそんな美味しく、楽しいSDGsなレストランをご紹介する。

Photographs by Kayoko Ueda , Takuya Suzuki , Mami Hashimoto /
Text by Koji Okano , Natsuki Shigihara , Ayano Yoshida /
Design by form and craft Inc.

  • 厨房に立つ松本一平氏。サステナブルを意識した食材を選んで使うのはもちろんのこと、勤務時間にも配慮し
    スタッフが働きやすい環境になるよう心がけている

    La Paix

    食材も、人材も。すべての
    「持続可能」を目指すレストラン

     SDGsが国連総会で採択されたのは2015年。シェフの松本一平氏がこの前年にオープンしたフレンチ【La Paix】では、当初から生産者と連携し、収穫した農作物を使い切るための取り組みを続けてきた。

     その代表例が、和歌山県の桃を使ったフェアだ。きっかけは、生産者から「味は見事なのに、形が悪かったり、大きさが不揃いだったり、規格の問題で出荷できない桃が大量にある」と相談を受けたことだった。松本氏はすぐに「コース料理に使えば、見た目に関係なく味を楽しむことができる」と考えた。それが、フェアの始まりだった。

     2021年6月には【La Paix】から程近い日本橋室町に【おでん屋 平ちゃん】を開き、同店では、海のエコラベルである「CoC認証」を受けた。これにより、環境や社会に配慮した養殖場で生産された持続可能な水産物に与えられる「ASCマーク」のついた魚を仕入れられるようになった。

     配慮している対象は、食材のみではない。お店のスタッフも、「持続可能な」働き方ができるように。そんな思いから、【La Paix】では厨房のグリストラップにある工夫をしている。グリストラップとは、飲食店の厨房からの排水に含まれる油脂分や残飯、野菜くずなどを分離、収集し、排水口や配水管の詰まりや、下水に直接流れ込むのを阻止する装置のこと。多くの飲食店が、日々、この清掃に多大な時間と労力を費やしている。そこで同店では、油処理や消臭・脱臭の効果のあるオゾンによる浄化装置をグリストラップに取り付け、環境とスタッフへの負担を減らした。
     「これによりスタッフの労働時間を削減でき、ワークライフバランスや心のゆとりが保てるようになることを期待しています」と、松本氏は話す。

     地球にも、人にも優しく。【La Paix】では、そんな理想を追求し続けている。

    • 『サステナブルな真鯛のポワレ』は、塩レモンをきかせて爽やかな味に仕上げる
    • 自然環境や資源に負荷をかけず、労働者や地域社会にも配慮して養殖された真鯛を使っている
    • 「ミシュランガイド東京」で1つ星を獲得した本格派のフレンチレストラン
    ここがSDGs

    SDGsの目標12「つくる責任つかう責任」を強く意識していて、たとえば大根ひとつとっても、葉も皮もすべて使う。『帆立のポワレ 三浦大根のコンソメ仕立て』では、白い部分を大根もちにし、葉と皮はオイルとともにミキサーにかけて濾し、旨味のつまったオイルにしてスープにたらしている。

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