名古屋でおいしいもの | ヒトサラ
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アンティカ オステリア バーチョ
- シェフの坪井卓哉氏は自らの店を「昔ながらの小料理屋に近いイメージかな」と評する。それだけ店と客との距離感が近いということ。それこそ本場イタリアのオステリアのスタイルなのだ
- 炭焼きでじっくりと火を入れていく『ブラックアンガス牛のTボーンステーキ』。注文は1㎏以上で
- トスカーナ地方の郷土菓子のひとつでもある『カントチーニ』。デザートワインとともに楽しんでほしい
- 若い頃からコレクションを趣味としてきた坪井氏。店内にはイタリアのビンテージのポスターなどが飾られる
- 店名の「バーチョ」とはイタリア語でキッスの意味。フランクなもてなしを信条とする店に実にお似合いな名前だ
アンティカ オステリア バーチョ
052-932-1919 住所:愛知県名古屋市東区筒井3-33-1
営業:11:30~14:00(L.O.)/17:30~23:00(L.O.)
休日:月曜(祝日の場合は営業、翌日休み) お店の詳細情報を見る本場さながらの味と雰囲気
気負いいらずの人気オステリア「現地の郷土の味と雰囲気をそのままに」。実にありきたりな表現だが、【アンティカ オステリア バーチョ】はまさにそうした店である。オープンは2009年4月。当時、名古屋でイタリア料理といえば、モダンイタリアンがまだまだメインストリームだった時代である。だが、トスカーナで6年もの研鑽を積んだシェフ・坪井卓哉氏がこだわったのは、あくまでも本場のトラディショナルな料理、そして現地の“匂い”までも再現した店だった。
「決してクールな店ではない。接客もすごくフランクだし、自分がホールに出て、お客さんとたわいもない会話を交わして笑うのはいつものことです」
いかにゲストが楽しいと思える時間を過ごせるか。そこには「楽しさも美味しさのひとつ」と話す坪井氏のひとつの信念がある。
そんな雰囲気のなか味わう料理がどれほど旨いか。名物の『ブラックアンガス牛のTボーンステーキ』は、これぞビステッカ・アッラ・フィオレンティーナと思わせるボリュームがあり、赤身肉のガツンとした旨みが胃袋を直撃。二人で訪れたのならこれをメインに、パスタをシェアし、前菜盛り合わせをオーダーするのが、坪井氏が推すバーチョ流の楽しみ方。約200種と豊富に揃うイタリアワインとともに味わえば、イタリアまでちょっとした小旅行を満喫した気分である。 -
cucina siciliana SicuLamente
- 3年間にわたりイタリア全土で修業をした伊藤シェフ。あえて星付きでないレストランを選んだのは、完成されていない店を上に押し上げることを目標に、自分の力を試すためでもあったという
- キンメダイや水ダコなど、境港から届いた魚介類をふんだんに使った煮込み料理。缶詰を器替わりにすることも多い
- 生きたまま届くモサ海老は、その鮮度を活かし生で。オリーブオイルとフルーツの人工キャビアをソース替わりに
- 魚介類は境港をはじめ三河湾の地魚も使用。シナモンやピスタチオなど、シチリア産の食材をふんだんに取り入れる
- 木の温もりあふれる店内はカフェのようでもあり、気張らない雰囲気がゲストのこわばりを解きほぐす
クッチーナ シチリアーナ シクラメンテ
052-252-5090 住所:愛知県名古屋市中区千代田2-3-6
営業:11:30~15:30(L.O.13:00)~
18:00~23:00(L.O.20:30)
休日:水曜(月に一度連休あり) お店の詳細情報を見る人対人にこだわるからこそ
料理にもサービスにも心が通うランチの開店を目前に控えた午前11時過ぎ。厨房で仕込みを進めるシェフ・伊藤吉暢氏のもとに一本の電話が鳴り響いた。「いいオニエビが入ったけど、どう?」。電話先は鳥取県の境港からだった。
「魚に限りませんが、いい食材が入ればこうやって生産者から直接電話がかかってくるんです。もちろん柳橋市場へ足を運んで、自分の目で確かめて仕入れることもあります。でも、いずれにしろ大切なのは、やっぱり人と人との繋がりだと思うんです」。伊藤氏はそう言うとにっこりと笑った。
そんな信念は料理にも如実に現れている。あえてメニューを置かず、おまかせのコースだけに絞った料理。その日に入った旬の食材を見て何ができるか。そして、ゲストの話に耳を傾け、その会話の中でひとりひとりにあった味を見極め、何を調理していくか。気安いもてなしをモットーとするのも、ゲストの素顔を垣間見るための大切なファクターなのである。
そうして作られる料理の中にも伊藤氏の感性はそこかしこに散りばめられる。修業先でもあるイタリア・シチリアの郷土料理を確固たるベースにしつつも、時に華やかに、時に美しく盛りつけた料理は、シェフの真骨頂。「本当に好き嫌いが分かれる店だということは、自分でも分かっています」とは伊藤氏のセルフレビュー。だが、それゆえハマった時の多幸感は計り知れない。 -
La Peche
- 「3皿食べて、がっつり満足いただける料理を目指しています」と島岡シェフ。フランスでは3ツ星店からビストロまでさまざまな料理店で腕を磨いた
- ワインの空き瓶や映画のポスターなど、雑多なようで、それぞれのアイテムで本場のビストロの空気感を演出
- 『レバームース、生ハム、パテ』。フランスでも定番かつクラシカルな前菜を盛合せに
- 赤、白、ロゼ、泡と黒板に書かれるグラスワインは毎日、異なる。次に何が飲めるか、それもまた楽しみ
- 『自家製 鴨のコンフィ』。このボリュームがこの店では当たり前。付け添えの料理は日により異なる
ラ ペッシュ
052-262-8689 住所:愛知県名古屋市中区大須4-13-46 ウィストリアビル1F
営業:11:30~L.O.14:00/18:00~L.O.23:00
休日:水曜 お店の詳細情報を見るガブガブ食べて飲める、
小さなパリがここに例えば、『鴨のコンフィ』をオーダーすると皿の中にはこんがり焼かれた鴨を中心に、自家製ソーセージと塩漬けにした豚バラの塊が盛り込まれる。前菜盛り合わせにいたっては、レバームースに、イタリア産のサンダニエーレの生ハム、パテ・ド・カンパーニュがこんもり。一事が万事、すべてにおいてそうなのだ。上前津駅から徒歩すぐのビストロ【ラ ペッシュ】は、名古屋屈指の人気フレンチ。だがしかし予約困難なほどの人気の理由は、そのボリュームだけではない。フランスなど各地で腕を磨いた島岡一樹シェフを中心にした飾らないもてなし、豊富に揃う安くて美味しいフランスワイン、そして笑い声の絶えない店の雰囲気。さらに店外カウンターでは、軽く一杯のワインを味わい店を後にする姿も。そのすべてで、シェフが経験を重ねた小さなパリがここにある。
「クラシカルなフランス料理が好きで、料理は至ってオーソドックスだと思います。日常、フランス人が楽しんでいる本当のビストロを再現したかった」と島岡シェフ。ディナーでは前菜、メイン、デザートの3皿をオーダーできるプリフィクスコースが、なんと3900円。さらに驚きのランチはメインにサラダ、ドリンクが付いて1100円。そのどれもが、冒頭の充実ボリュームで迎えてくれるのだ。
シェフが思い描いた本当のビストロ。その思いは連日、昼夜満席という絶大な人気で推し量れるだろう。 -
La Floraison de TAKEUCHI
- 「盛りつけに時間をかけられる冷前菜やデザートは特に華やかになる様心がけています」と話す竹内シェフ。カウンター席では竹内シェフ自ら料理をサーブすることも
- 『佐賀県産ホワイトアスパラガスのブランマンジェ オマール海老のジュレと生ウニ、ズワイガニとともに』
- 『クリアーなガスパチョで固めた7種のトマトのテリーヌ ホタルイカのマリネを添えて』
- アイランドキッチンが目の前に広がるカウンター席。テーブル席もあるがあえてカウンターを選ぶ客も多い
- 約80種が揃うワインはすべてフランス産。料理とのマリアージュ、生産者にこだわったワインをセレクトする
ラ・フロレゾン・ドゥ・タケウチ
052-218-6738 住所:愛知県名古屋市中区栄2-12-12 アーク栄白川パークビル1F
営業:12:00~15:30(LO13:30)/
18:00~23:00(LO21:00)
休日:月曜(月に一度連休あり) お店の詳細情報を見るシェフの一挙手一投足に息をのむ
アイランドキッチンのライブ感まるでシェフの息づかいまでが聞こえてきそうな距離。とは言い過ぎかも知れないが、これから目の前に供される料理がどのように調理されるのかは、すべてゲストの視線の届く範疇で繰り広げられる。カウンターに対峙するアイランドキッチン。視覚から伝達された刺激は脳へと送られ、そして舌をも敏感にする。
「東京では珍しくないですが、名古屋ではこういう店はありませんでした。カウンターフレンチのお店は名古屋にもありますが、大半のお店が壁側に火口があり、料理人がお客様に背を向けて調理するスタイルです」とはオーナーシェフの竹内正樹氏。
アイランドキッチンの魅力といえば、厨房を一望できるライブ感にあるが、そのメリットはそれだけにあらず。ゲストの視線が集まるがゆえ、キッチンは常に清潔に保つことが使命。そのため、厨房は清掃のしやすいオール電化を特注。さらに言えば、オール電化はガス火ほど料理人の体感温度が上がらず、余計な体力が奪われずに済む。つまり、より料理人が調理に集中できる環境が作れるのだ。そして、その集中力、緊張感はゲストにも伝達し、さらなる期待感を抱かせるという効果を生み出す。
フランス、東京、名古屋のグランメゾンで修業し、【グランファミーユ・シェ松尾 名古屋店】の初代料理長を5年間務めた竹内氏。そのスキルはあえて説明するまでもない。後は、五感を研ぎ澄まし、目の前に運ばれてくる料理に没頭してほしい。 -
Le-pin-mura
- フランスのブルターニュ、浜名湖のオーベルジュ【キャトル セゾン】などでの修業を経て、2010年に自らの店をオープンした松村シェフ。「今の自分のベースは【キャトル セゾン】で築き上げられました」と話す
- メインに登場する鴨のローストは、タンパク質を壊すことのない低温調理でじっくりと旨みを引き出す
- 日本の四季を表現すべく、南は九州から北は北海道までその時の旬の食材を産地から直送する
- ワインでは、料理ひと皿ひと皿に合わせてワインを楽しめる『グラスワインセレクション』が人気だ
- 名古屋の高級住宅街として知られる八事にあり、半地下になった店は、外の喧噪とは無縁の空間
ルパン・ミュラ
052-893-7414 住所:愛知県名古屋市中村区名駅3-28-12 3F
営業:11:00~17:00 (L.O.15:00)/
17:30~23:00 (L.O.21:00)
休日:無休 元日定休 施設に準ずる食材、盛り付け、香り、味…
四季で彩るおまかせコース魚なら南は九州から北は東北まで、野菜はその時期に最も美味しい旬の食材を全国から産地直送する。シェフ・松村憲一が料理を仕立てるにあたり貫くひとつの明確なコンセプト。それが「フレンチのスキルを駆使し表現する日本の四季」である。
例えば、春の季節なら前菜のひと皿に、産卵を控えて旨みを増す桜鯛を使い、マリネした切り身はタイの卵や白子に重ねる。鮮やかなグリーンはこれから芽吹く緑の季節を予感させるグリーンのソースだ。メインに供される鴨のローストは、一般的にオレンジなど甘みのあるソースと合わせることが多いが、松村氏はあえて瑞々しく柔らかい春大根をソースに使い、滋味あふれる甘さを引き出してみせる。皿が運ばれてきた瞬間に四季の彩りが目に浮かび、口に含めばそのイメージはより具現化していく。まさしく、日本人だからこそ持ち得る感性を、ひと皿ひと皿に落とし込んでいくのだ。
ランチ、ディナーともに、コースはおまかせが2種類用意されるのみ。メニューはあえて置かず、その日のコース内容はギャルソンがひと皿ずつサーブするごとに口頭で説明する。どんな料理が運ばれてくるかは、目の前に登場してからのお楽しみというわけだ。ゲストの想像力を掻き立てる美味の数々。八事の高級住宅地にオープンし間もなく5年、【Le-pin-mura】は今、豊穣の季節を迎えている。
※このページのデータは、2015年5月上旬取材時のものです。メニュー、営業時間、定休日などの情報は変更されることもございますので、あらかじめご了承ください。