一生付き合えるシェフの店 | ヒトサラ
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FRICK
- 営業中はシェフズテーブルと厨房を行き来する深田シェフ。ホールの雰囲気を肌で感じられるよう、厨房には大きく開口部を設けている。ランチは軽めのパスタランチ1,900円とコース3,900円~、ディナーはコース5,500円~
- ランチコースのセコンドで登場した「骨付き仔羊のローストビーツのソース」。赤いビーツのソースが鮮やかだ
- ミルク泡を添え、オリーブオイルを数滴垂らした「ちりめんキャベツのスープ」。見た目の美しさにもセンスが光る
FRICK
03-6905-7311 住所:東京都港区南青山4-24-8 @homeSQ 2F
営業:12:00~L.O.13:30/18:00~L.O.22:00
(日曜、祝日18:00~L.O.21:00)
休日:月曜 お店の詳細情報を見る和やかな対話が育む
シェフとゲストの親密な関係「この前の休みは鎌倉の市場へ寄ってから、湘南でシラス丼を食べたんですよ」。そんなエピソードを交えながら、この日ランチコースの最初のひと皿として振舞われたのは『ちりめんキャベツの温かいスープ 釜揚げシラスのブルスケッタ』。シェフ自ら鎌倉で仕入れたキャベツのほのかな甘みとさりげない会話が、優しくゲストを和ませる。
同店のシェフズテーブルでは、オーナーシェフ深田 景氏とゲストが親しげに語らう光景が日常だ。時にはシェフ自身のストーリーを交え、時には食材の魅力を織り交ぜ、多彩に会話を楽しみながら穏やかに食事が進む。誰もが心からリラックスできる"家"のような場所。深田氏のそんな想いを形にしたリストランテが【FRICK】だ。
全国の生産者から直送される季節野菜をイタリアンの手法に落としこんだ料理は、気の利いたプレゼンテーションで食べる者へ親しみ深く寄り添う。すべてのゲストは自然体で料理を食し、親密で充実した時間に満足して店を後にする。そしてまた後日、この"家"を訪れたくなるのだ。 -
trattoria 29
- 仕込むときも、調理するときも、肉と真摯に向き合う竹内悠介シェフ。その料理は一見豪快なようでいて、イタリア仕込みの細やかな技と計算の上に成り立っている。ここでは肉で満足してほしい。そんな思いがどの料理にも宿る
- 備長炭で火を入れ、中はしっとりとしたレアに仕上げる「熊本産えこめ牛ロースのグリル」300g3,900円。赤身の旨みがほとばしる
- 前菜の「色々ハムの盛り合せ」2人前1,600円はサラミを除き手造りに。皮付きの子豚、タンや耳など様々な部位を巧みな技でハムに仕立てていく
trattoria 29
03-3301-4277 住所:東京都杉並区西荻北2-2-17
営業:18:00~L.O.22:00(土曜、日曜・祝日は17:30~)
休日:月曜(祝日の場合は翌日。月2回火曜休みあり) お店の詳細情報を見る肉に特化した料理構成で
時代に新風を巻き起こす看板にトラットリアを掲げるものの、今や普通のイタリア料理を求めてこの店を訪れる人はいまい。店名の【29】をヴェンティノーヴェと正しく読む人が少ないように。そう、ここはニクの店。前菜からメインまで、ガッツリと肉に溺れるのが正解だ。
店のテーマを肉に定めたのには訳がある。それは、店主の竹内悠介氏の修業時代に遡る。単身イタリアに渡り、腕を磨くこと約3年。その際、彼の将来を左右する店に出合う。
「肉屋を併設するレストランで働いたんです。朝は肉を解体し、夜は料理に励む日々。そこで、肉の奥深さに開眼してしまいまして」。ひとえに肉と言ってもフレッシュなものから熟成まで仕込み方は多様。周囲を見渡せば、海辺なら魚介の店、山間部なら肉の店と、イタリアでは素材に特化したレストランが多い。「日本でも肉の店があってもいいのでは」と気づいた竹内氏はその思いを胸に帰国、狙いが正しかったのは、今や予約困難な店であることが示す通り。
前菜の自家製ハムや豚のツナサラダなど、イタリア仕込みの技は秀逸。メインのグリルが赤身肉中心なのは、そこに肉本来の旨味があると感じるがゆえ。探究心は誰よりも強い竹内氏。どこまで肉の奥深き世界を見せてくれるのか、目が離せない。 -
たて森
- 肉質はもちろん、気候や温度によっても焼き加減を微調整するという繊細な作業。建守氏のこだわりが光る
- 懐石料理からカウンターでの焼鳥への思い切った転身。ゲストと近いカウンターは、学ぶ点も多いという
- 人気の「銀杏」は通年味わえる定番メニュー。やや辛みのある塩を使うことで素材本来の甘さを際立てる
- 皮目を香ばしく仕上げつつ、中はレアに保つ「たたき」は、職人の技の見せどころ。ジューシーな味わいの絶品
たて森
03-6278-7759 住所:東京都中央区銀座2-14-8 伊藤ビル1F
営業:17:00~L.O.22:00
休日:日曜・祝日・第3月曜
このお店は閉店しました
懐石の名料理人が挑む
奥深い焼鳥の世界ホテルオークラ東京の名店【山里】にて料理人のキャリアをスタートした建守護氏。若くして才能を開花させ、ニューヨークの名門ウォルドルフ=アストリア・ホテルの総料理長、ハワイのマンダリン・オリエンタル(現ザ カハラ ホテル&リゾート)の料理長などを歴任。しかし、日本料理の粋を知り尽くした氏が帰国後、新たな舞台に選んだのは懐石よりも身近な和食である焼鳥だった。
使用するのは、ミシュラン3つ星店などにも出荷する北丹波農園がこの店用に特別に育てた高坂和鶏。さらに氷温で5~7日熟成させることで、旨みや甘みを倍増させる。伊豆大島の3年熟成醤油で仕立てるタレや山形から取り寄せる塩、ササミや砂肝に塗ることでしっとりとした食感を生む白ゴマ油など、随所にこだわりがあふれている。深みある出汁や繊細な盛り付け、焼かずに蒸しあげるつくねなど、日本料理で培われた技も随所に活かされている。
伝統的な和食の技で、焼鳥の新たな可能性を探求する建守氏。シンプルななかに並々ならぬ探究心が凝縮された新たな焼鳥に、期待は高まるばかりだ。 -
L’AS
- この店の大きな特徴のひとつが、客席との間に仕切りのない正真正銘のオープンキッチン。ゲストが調理場のライブ感を間近に楽しめる一方で、兼子氏をはじめとしたキッチンスタッフにとってはお客の声がダイレクトに届く造りに
- 「フォアグラのクリスピーサンド」。この日は苺のクリームでコーティングされたフォアグラが登場した
- コースには昼夜同じメニューが登場し、2週間ほどで内容が一新される。写真はおまかせコースの一例
L’AS
080-3310-4058 住所:東京都港区南青山4-16-3 南青山コトリビル1F
営業:17:30~L.O.22:30、
(土曜12:00~L.O.13:00/17:30~L.O.22:30、
日曜・祝日12:00~L.O.13:00/17:30~L.O.22:00)
休日:火曜を中心に月に約6回 お店の詳細情報を見るシェフの感性を散りばめた
驚くべき5,250円のコース料理はランチ、ディナーともに5,250円のコース一本のみ。カトラリーは各テーブルにある引き出しから自分で取り出すセルフ形式。決して自由のきくレストランとはいえないだろう。それでもこの店は2012年2月のオープン以来、多くのリピーターを魅了してきた。
「この価格に需要があると思ったんです。そのためにはいかに無駄をそぎ落とし、コストカットした分を料理にどう還元していくかが重要」とオーナーシェフの兼子大輔氏は話す。ともすれば、5,250円という価格だけに注目しがちだが実はそうではない。最大の真価はあくまで料理の質にある。コースはこの価格にして魚と肉のメインを交えた全10品という驚くべき構成。しかも、その内容が実に緩急自在。アミューズの後の冷前菜、手づかみで楽しむスペシャリテ、「フォアグラのクリスピーサンド」はその最たる例といえる。
フレンチの王道を交えつつ、ちょっとしたサプライズを落とし込んだ料理の数々。デセールを食べ終え、例えようのない多幸感が込み上げる時、ゲストは心の中で再訪を誓うのである。 -
シェフス
- 店の礎を築いた王夫妻から技と思いを受け継ぐ南シェフ。とくに素材選びと、その魅力を活かすための仕込みには一切の妥協がない。齢30歳にして名店の厨房を任されるだけに、技量だけではなく、料理への真摯な思いを心に秘めている
- 野菜はなく豚肉のみの「酢豚」だが、重さはなく軽い食べごたえ。黒酢と白酢の絶妙なバランスとハチミツの甘みが決め手
- 看板メニューのひとつである「トマトの卵炒め」。スモークの深みある香りとトマトの酸味が絡みあい独特のおいしさに
独自の中国料理に隠された
受け継ぐ伝統と新たな挑戦新宿御苑近くの路地にひっそりと佇む名店【シェフス】。その名声を一代で築き上げた故・王恵仁シェフの料理は、素材を活かしたシンプルな味わいが特徴。その技と料理への思いは、若き才能・南俊郎シェフに脈々と受け継がれている。
南シェフは大阪の人気店【空心】での修業後、王氏の料理に惚れ込み上京。【シェフス】に入店し、現【Renge】店主の西岡英俊氏の元で経験を積んだ。学んだのは一般的な中国料理のイメージとは一線を画す繊細な料理。過度な装飾はなく、素材の持ち味を引き出すことに注力する。植物油を多用し、軽やかに仕上げる。香りづけには日本酒やワインを使いエレガントな風味を生み出す。すべては【シェフス】の代名詞であり、守り続けられる伝統。それらを身につけ料理長を任されたのは、わずか28歳の頃だった。
名店の伝統を守る重責は理解している。それでも若きシェフの目は、さらなる先を見据えている。未知なる素材の使用や新しいメニュー開発も積極的に行う南シェフ。「変えてはいけないものは守りつつ、新たな挑戦も続けたい」という言葉が、なんとも心強い。
※このページのデータは、2014年1月上旬取材時のものです。メニュー、営業時間、定休日などの情報は変更されることもございますので、あらかじめご了承ください。