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  4. クラフトビールとは? 種類や特徴を知れば、楽しみ方が分かる

クラフトビールとは?
種類や特徴を知れば、楽しみ方が分かる!

最近ますます身近になってきた「クラフトビール」。自家製ビールを取り扱うブルーパブも増え、コンビニやスーパーでもいろいろな種類のビールが棚に並ぶようになりました。でも、「クラフトビールってなに?」「地ビールとどう違うの?」って、モヤモヤしている人もいるのではないでしょうか。そこで、今回はクラフトビールをもっと楽しむために、クラフトビールとは何かを解説。おさえておきたいビールの種類や特徴についても紹介します。

1.クラフトビールとは?

クラフトビールの定義

ビールといえばドイツやベルギーをイメージしますが、クラフトビールのブームを起こしたのは、なんとアメリカ。そのアメリカがクラフトビールの定義として「小規模であること」「独立していること」「伝統的な原料や製法でつくっていること」の3つの条件に当てはまる醸造所のビールのことをクラフトビールと決めました。そんな理由で、日本でのクラフトビールの定義もアメリカに倣っています。しかし、最近では大手ビールメーカーの参入もあり、規模や地域性、原料や製法だけでは定義づけしづらくなってきているのが現状です。

地ビールとクラフトビールの違いはなに?

日本でも酒税法改正で小規模醸造が解禁され、2000年代初頭にかけて地ビールブームが巻き起りました。しかし、地域おこしの一環としての域を超えることができないまま、200カ所以上あった醸造所は次々に閉鎖してしまいます。そして2010年頃、アメリカのクラフトビールのブームが日本にも伝わり、今度は地ビールブームの反省も含め、「クラフト(職人の手作業や技術)」という言葉を使い、より独創性を追求するビールづくりの動きが始まりました。クラフトビールとは、地ビールも含め、品質にこだわりおいしさを追求したビールなのです。

2.クラフトビールの原料

クラフトビールの主な原料は、ビールの原料と同じで「モルト」「ホップ」「酵母」「水」の4つです。原料には様々な産地や種類があり、どれを使うかで味わいが大きく変わります。

  • モルト(麦芽)
    発芽させた大麦のこと。 発芽により酵素が生まれ、糖化してデンプンになることで発酵しやすくなります。乾燥や焙煎の温度によりビールの風味や色の濃淡が違ってきます。
  • ホップ
    ハーブの一種で毬花(きゅうか)と呼ばれる受粉前の雌花のみを使用します。酵母の作用を持ち、苦味と香りを付け、さらに雑菌の繁殖を抑える効果があります。
  • 酵母
    糖質をアルコールと炭酸ガスに分解して「発酵」させる菌の一種です。ビールの「種類(スタイル)」をつくり分ける重要な働きをします。

  • ビールの原料の90〜95%は水です。エールは硬水、ラガーには軟水が多く使われます。ミネラル成分を含んだ良質な水はビールの出来映えを大きく左右します。
  • 副原料
    4つの基本原料以外に、風味や味わいを調整するためのもので、「トウモロコシ」や「馬鈴薯」「米」「着色料(カラメル)」などがあります。酒税法により指定されていない副原料を少しでも使用すると発泡酒扱いになります。

3.ビールの作り方

ブルワー(醸造家・ビール職人)にはつくりたいビールのイメージがあり、原料選びからパッケージングまで、そのこだわりの掛け算が多彩なビールの味と個性を生み出します。ここでは、ビールづくりの基本的な製造工程を紹介します。

  • ①モルト(麦芽)づくり

    大麦に2日間ほど水分を含ませ発芽させます。もやし状の芽が出たら大麦のデンプンやタンパク質を分解する酵素が発生。この後、温風で熱を加えて発芽を止めて乾燥や焙煎を施しますが、低温では「淡色麦芽」、高温では「濃色麦芽」になり、ビールの色に表われます。

  • ②仕込み

    モルトができたら粗めに粉砕し、お湯を混ぜて粥のような「醪(もろみ)」を作ります。これを濾過してクリアな液体になったものが「麦汁(ばくじゅう)」で、ホップを加えて煮沸し香りや苦味を加えます。 ちなみに最初に濾過した麦汁を「一番搾り麦汁」、その後お湯を注いでもう一度搾り出したものを「二番搾り麦汁」といいます。

  • ③発酵・貯酒・熟成

    冷ました麦汁を発酵タンクに入れて酵母を加えます。発酵が起こりアルコールと炭酸ガスができ、3日~10日ほどで完了します。その後、さらに貯蔵タンクに移して低温発酵させます。これを「後発酵」もしくは「第二発酵」といい、2週間~1ヶ月ほどでビールが完成します。

  • ④充填して出荷

    一般的なビールは熟成が終わると酵母の働きを止めるために濾過や熱処理をします。しかし、クラフトビールには酵母を濾過しない「無濾過」のものが多く、酵母が生きている状態でパッケージングして出荷します。したがって、冷蔵庫での保管や比較的短い賞味期限内に飲むことが必要です。

4.クラフトビールの種類

ビールの種類は大きく分けると2種類+1

スタイルという言葉を知っていますか? クラフトビールを原材料や製法、味や色合いなどで分類したもので、「スタウト」や「ピルスナー」など、現在では100種類以上あるといわれています。そして、このスタイルのほとんどは「上面発酵(エール)」と「下面発酵(ラガー)」の2種類に分類されます。よく耳にするエールとラガーという言葉。実は酵母の名前で、ビールの名前ではありません。スタイルと混ざらないようにしましょう。 ビールを楽しむ適温ですが、上面発酵でつくられるエール系のビールは、香りやコク、甘味を楽しむため、ややぬるめで飲むといいでしょう。下面発酵でつくられるラガー系のビールはキレとのどごしを味わうビールなので、5℃前後の冷やした状態がおすすめです。 ちなみに「上面発酵」「下面発酵」以外に、野生の酵母を使った「自然発酵」で造られるビールもありますが、その種類(スタイル)はごくわずかです。代表的なものはベルギーの「ランビック」というビールで、日本では岩手県のブルワリー「いわて蔵ビール」が製造しています。

おさえておきたいクラフトビールはこれだ

  • 世界中で愛される味「ピルスナー」(ラガー系)
    1842年に現在のチェコのピルゼンで誕生した金色のラガービール。日本人にも馴染みの深いスタイルで、世界中で飲まれるビールのうち約8割を占めるといわれています。細長いグラスで気泡の美しさも味わいましょう。
  • バナナのような香り「ヴァイツェン」(エール系)
    ヴァイツェンとは小麦のことで、南ドイツ発祥のビアスタイルです。小麦麦芽を50%以上使い、バナナのようなフルーティーな香りと苦みをほとんど感じない柔らかな味わいが特徴です。グラスの上部に膨らみのあるグラスで香りを楽しみながら飲みましょう。
  • ホップやモルトの香り「ペールエール」(エール系)
    イギリスのバートン・オン・トレントという町で誕生したスタイルで、ホップやモルトの豊かな香りが特徴。当時は濃色ビールばかりだったため、ペール(=淡い)エールと名付けられました。ゴクゴクと飲めるタンブラーやパイントグラスがおすすめ。
  • 香りと苦みが旨い「IPA」(エール系)
    IPA (アイピーエー)とはインディア・ペール・エールの略称。 18世紀末、イギリスの植民地だったインドにペール・エールを送るため、防腐剤の役割を持つホップを大量に投入してつくられた苦味の強いビール。下部にある波状の形が、飲む度に泡を作り蓋をするIPAグラスで味わいたい。
  • フルーツ香が特徴「フルーツビール」(その他)
    副原料にチェリーやレモン、フランボワーズなどを使用するベルギー伝統のビールです。甘口のフルーツビールは、デザートのお供として食後に楽しむのもおすすめです。香りや見た目が楽しめる華やかなデザインのグラスがマッチします。
  • どっしりとした黒ビール「スタウト」(エール系)
    考案者はアイルランドのギネスビール創業者、アーサー・ギネス氏。スタウトには「どっしりとした」という意味があり、 香ばしいナッツやチョコレート、コーヒーのような香りが特徴の黒系ビールです。下部にくびれがあるグラスが香りと苦みを調和させます。
  • 芳醇な味わい「バーレイワイン」(エール系)
    アルコール度数が8〜12%と高いため「麦でつくったワイン」と呼ばれています。大量のモルトを使うため甘みが強く、フルーティーな香りと熟成香を楽しめます。締めのビールとしても最適で、ワイングラスでゆっくりと味わうのがおすすめ。

5.いろいろある!クラフトビールの楽しみ方

味の階調を知る

クラフトビールの味の特性を表す「SRM」「IBU」「ABV」という3つの単位をご存じですか? お店によってはメニュー表に丁寧に書かれているので、ビール選びの参考になります。頼んだ後で「失敗した!」「イメージと違った!」ってことにならないように、飲んだことのないビールを注文するときはチェックしてみてください。

  • SRM(Standard Reference Method)
    色の濃さを表わす数値で「薄黄(0〜10)」、「オレンジ(11〜20)」、「黒(21〜40+)」の3つに分かれています。薄い色のビールほど爽やかで飲みやすく、濃くなるにつれて味が重くなります。
  • IBU(International Bitterness Units)
    国際苦味単位のことで、そのビールがどのくらい苦いのかを示すものです。個人差はありますが、数値が高いほど苦いとされています。苦みにこだわる人は要チェックです。ちなみに、日本で市販されているポピュラーなラガービールのIBU値は20前後です。
  • ABV(Alcohol By Volume)
    アルコール度数を示す数値で、3%の軽いものから10%を超えるものまで様々です。数値が高くなるほどアルコール度数は高くなります。

色の違いを目で楽しむ

ビールは舌だけでなく目でも楽しめます。飲む前に、まず色の違いを楽しみましょう。また何杯も飲むときは、淡い色から濃い色へと飲み進めることをおすすめします。味もアルコール度数も徐々に強くなるので味わいの変化が楽しめます。お店によっては「ビアフライト」という飲み比べができるテイスティングセットも用意しています。通常よりも少量ですが3~4種類のビールがセットになっていて、飲み比べながら自分好みのビール探しが楽しめます。

個性的な香りの違いに気づく

ビールの香りには2種類あります。ビールを口にする前に鼻で感じる香りを「アロマ」、ビールを口に含んだ時に感じる香りを「フレーバー」といいます。香りを楽しむにはエール系のビールですが、冷やし過ぎに注意しましょう。冷やすと喉越しは楽しめますが味や香りは感じづらくなります。10℃前後の液温が理想です

料理との相性を探る

どんな料理にも合うビールは、もはやオールマイティーさがありますが、それはラガー系の話。エール系のクラフトビールを楽しむ場合は、相性の良い料理の選び方も知っておきましょう。ペアリングの基本としては、「ビールと同じ国の料理を合わせる」、「ビールと料理の色を合わせる」、「ビールの味と同じ味、または異なる味の料理を合わせる」といったところが有名です。ペアリングを探るのもクラフトビールの楽しみ方のひとつです。

お気に入りのビアバーを見つける

最近増えてきた「ブルーパブ」。「ブリューパブ」「ブルワリーパブ」ともいいますが、同じ場所でビールを造って提供する酒場やレストランのことです。つくりたてのフレッシュなビールが飲めるとあって人気が高まっています。店内に入ったら、「タップ」と呼ばれる注ぎ口の数をチェックしてみましょう。タップの数は樽の数を表わすので、飲めるビールの数がわかります。いろいろな種類のビールを楽しみたい人はタップの数が多いお店を選ぶといいでしょう。

グロウラーショップで家飲みも

最近では「グロウラーショップ」も目にするようになりました。その場で注ぎたてのビールを専用の水筒(グロウラー)に詰めて持ち帰ることができるお店のことで、キャンプやBBQ、ホームパーティーに重宝します。

まとめ

クラフトビールの奥深さ、地ビールとの違い、そして製造方法や楽しみ方について紹介してきましたが、いかがでしたか? 知識はお酒をさらにおいしく、楽しくします。いま日本のクラフトビール界は絶好調ですが、これがブームで終わることなく、次なるステップとして日本酒やウイスキーに続き世界から注目される日が来ることを願ってやみません。「とりあえず生!」もいいですが、これからは醸造家のこだわりと情熱を感じる、個性的なビールとの出会いを楽しんでみてください。

イラスト:タニダアヤ

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