至福の逸品~dish stories~ vol.14

春だけのおいしさ
「ホワイトアスパラガスのクリーム和え」

アスパラガスといえば、日本ではグリーンアスパラガスを思い浮かべることが多いが、ヨーロッパではホワイトアスパラガスが主流。特にドイツ、オランダ、ベルギーでは「シュパーゲル(ホワイトアスパラガス)を食べないと春が来た気がしない」と言われるほど、春を告げる重要な食材なのだ。 フレッシュなホワイトアスパラガスは、驚くほどジューシーでまろやか。春だけに味わえる、とっておきの味をご紹介しよう。

ドイツレストラン ツム・アインホルンの店舗情報を見る

撮影/永友 啓美

ジューシーで香り高い、純白の春野菜

待ちに待った春、ヨーロッパでは4月~6月の期間は何よりもホワイトアスパラガスが主役だ。「春の女王」、「畑の貴婦人」とも呼ばれ、ヨーロッパでは春になると必ず食べられる定番の食材。日本では缶詰や瓶詰で出回ることが多いが、やはり、みずみずしくフレッシュな味で春を感じたい。

日本でおなじみのグリーンアスパラガスとの大きな違いは、その大きさと味。グリーンアスパラガスは1本15g~20gだが、ホワイトアスパラガスは80g~100g。大きいものは120gにもなり、直径1cmをゆうに超える。大きく太いホワイトアスパラガスは、柔らかくもシャキっとした食感で、噛んだ瞬間ジューシーで淡泊な美味しさがあふれ出すのが特徴。土をかぶせられて日光に当たらずに育つため、グリーンアスパラガスに比べて味に青さが少なく、まろやかな味わいになるのだ。

ヨーロッパでは桜前線ならぬ「アスパラガス前線」もあるほどで、アスパラガスを美味しく食べるための努力を惜しまない。日本ではほとんど見かけないが、ホワイトアスパラガスに合わせるための白ワインまである。「ナッケンハイマー・エンゲルスベルク」は、ドイツのホワイトアスパラガスの一大産地「ラインヘッセン」でつくられる辛口の白ワイン。シンプルにバターやクリームで調理され、よりクリーミーな味わいになったホワイトアスパラガスとのマリアージュを楽しむためのワインだ。

各国の大使館が集まる東京・六本木一丁目の、ドイツ料理レストラン【ツム・アインホルン】は「ドイツ人が日本人に本場の味を紹介するレストラン」として知られる老舗だ。20年以上前から、春は毎年違うホワイトアスパラガスのメニューで楽しませてきた。今年のメニューは「ホワイトアスパラガスのクリーム和え キノコとトマト風味 パイ皮詰め」。「ホワイトアスパラガスを食べたことがない人に、ぜひ食べてほしい。一度食べたら毎年食べたくなる味ですよ」と話す野田シェフの言葉に期待が高まる。

1本100~120gもある、大きく太いホワイトアスパラガス/ホワイトアスパラガスを美味しく食べるためにつくられている珍しいドイツの白ワイン

シンプルに、その上品な香りと風味を味わう

ホワイトアスパラガスの厚い皮をむき始めると、とたんに柔らかな香りがふわっと広がった。鍋に少量の塩を入れ、半透明になるまで茹でること約10分(太さにより8分~15分と幅がある)。

「ホワイトアスパラガスのクリーム和え キノコとトマト風味 パイ皮詰め」は、溶かしバターでしめじを炒め、白ワインを加えて香り付けをする。そこに生クリームを加え、最後に茹でたホワイトアスパラガスを加えるというシンプルなメニューだが、芳醇なクリームとサクサクのパイ、ほんのり香るきのこ、トマトの甘酸っぱさが、それぞれにホワイトアスパラガスの風味を引き立てる逸品。今年は4月から6月22日までこのメニューを味わえる。

【ツム・アインホルン】は、ドイツ料理のイメージを変えてくれるレストランだ。あるお客さんは、友人を誘う時にあえて「ドイツ料理を食べに行こう」と言わずに連れてくるそうだ。料理を食べてから、ここはドイツ料理のお店なんだよと教えると、その友人が「これがドイツ料理?」と驚く、なんてこともあるのだとか。フレンチのようにソースのバリエーションが豊富で、メニューは鶏肉のクリーム煮や海老のグラタン、仔牛のステーキなど実にさまざま。ドイツ料理といえば、ソーセージとジャガイモとビール、と思っている人にこそ訪れてほしい一軒だ。

サクサクのパイにホワイトアスパラガスのクリーム和えが乗せられる/日本であまり知られていなかった「ドイツ料理」の道を選び広めてきた第一人者、野田シェフ

常連客が勧める逸品 ~大正海老のグラタン~

大正海老のグラタン ツム・アインホルン風 2,800円

大正海老のグラタン ツム・アインホルン風 2,800円
大ぶりの大正海老に、10種類以上のスパイスで作られたソースをかけて焼き上げる人気メニュー。カレーにも似たスパイシーな香りと、クリーミーなソースをたっぷりと海老に絡めていただく一皿。

[ドイツレストラン ツム・アインホルン]の料理メニューを見る

シェフが勧める逸品 ~スモークポークロースのプルーン風味~

スモークポークロースのプルーン風味 クロケット添え 2,800円

スモークポークロースのプルーン風味 クロケット添え 2,800円
1年かけてつくられるプルーンのソースの程よい酸味が、豚肉の甘みと重なる。リンゴの形のジャガイモや、野菜にもプルーンのソースがよく合う。

[ドイツレストラン ツム・アインホルン]のシェフページを見る

このページで紹介したお店

ドイツレストラン ツム・アインホルン

ドイツレストラン ツム・アインホルン 【東京・六本木】

【営業時間】
ディナー 17:00~22:00
 
ランチ 11:30~14:00
【定休日】
日曜日、祝日
【TEL】
03-5563-9240

詳しく見る

編集後記

「外国に長くいると、だんだん日本食が恋しくなって、日本料理店に行くでしょ?そういう時に食べるのは、うどんとか味噌汁とか焼き魚。すごくベーシックな日本食を食べたくなるもの。ここも、ドイツ人にとっての懐かしい味を食べられる場所だったり、ドイツ旅行に行った人達がその時の光景を思い出せる場所にしたいんです」と話してくださった野田シェフは、気さくで温かな人柄でした。料理だけでなく音楽やヨーロッパの歴史にも造詣が深く、シェフは年に1度お店のお客さんを連れてドイツや周辺諸国に旅行に行くのが楽しみだそうです。

素材感を生かしたシンプルな調理法と、フレンチのような繊細なソースでつくられるドイツ料理はは驚くほど美味しく、取材が終わった後もずっと心に残るほど。ここは、「ドイツ料理を食べよう」という会話をしたことが無かった私のような人に行ってほしいお店です。                                                  

編集担当:T.I.

ドイツレストラン ツム・アインホルン

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