至福の逸品~dish stories~ vol.10

旨味たっぷり、美容鍋「タッカンマリ」~韓国家庭料理 仁寺洞~

フツフツと沸き立つのはコラーゲンが踊るプルプルな美容鍋、「タッカンマリ」。 韓国語で「タッカンマリ」=“鶏一羽”と言う意味をもち、 鶏を丸ごと堪能できる韓国の鍋料理。溢れ出す旨味を目で愉しみ、そしてカラダの内側から美しく潤う―。乾燥する真冬にはもってこいの逸品だ。ここ最近日本でも人気上昇中の美容鍋「タッカンマリ」に注目。

撮影/永友 啓美

鶏の魅力を凝縮したシンプルな旨味を楽しむ、タッカンマリ

韓国料理の鶏料理といえば、もち米や高麗人参、ナツメや香味野菜などがたっぷりつまった薬膳鍋「参鶏湯(サムゲタン)」を思い浮かべる人がほとんどだろう。鶏肉も形が崩れるほど煮込む「参鶏湯」と似てはいるが、この「タッカンマリ」は、もっとシンプルに鶏そのものの濃厚な味わい、ジューシーな食感を楽しむことができる話題の鍋。特に、年間を通して鶏が一番おいしいとされる“旬”のいま、食べておきたい逸品だ。

「タッカンマリ」発祥の地、韓国・ソウルでは、東大門周辺にタッカンマリ専門店が立ち並び、通称:タッカンマリ通りと呼ばれているほど。1970年代末頃に、ソウル東大門市場周辺で生まれ、手早く空腹を満たせる料理として、数年前までは韓国でも知る人ぞ知る郷土料理だったが、ここ最近じわじわと人気を集め始めた。

日本の大学を卒業し日本の文化が大好きという、韓(ハン)店長は在住15年目。 早くから「タッカンマリ」に注目し、おすすめのひと皿として取り入れていた。

調理法は至ってシンプル。古来より万能薬として扱われる朝鮮人参、冷え性や肝機能にも良いといわれるナツメ、血行促進や滋養強壮に良いにんにくのみで煮込むことで、鶏本来の旨味が引き立つという。これを特製ポン酢でさっぱりいただくスタイルが人気の秘密。このシンプルさゆえに、素材にもこだわる。信頼のおける専門店から自然の中で育てられた大きな若鶏を“生”で仕入れ、新鮮なうちに弱火でじっくり、7時間かけて煮込むのだ。

「ポイントは茹ですぎないこと」。この絶妙な火加減と茹で時間によって、骨の出汁、身の旨味が最大限に引き出せるのだとか。本場韓国では、ジャガイモやネギを入れ、辛いタレでいただくのが王道だが、ここ仁寺洞では、野菜はあえて入れずに煮込む。野菜から出る余計な水気や、イモのジョリジョリとした食感などを取り払うことで、ごまかしの利かない濃厚スープと鶏本来の味わいが広がる。淡白なササミ、スープがジュワっと染み出すムネ肉、ぷりぷりの骨付きモモ肉から溢れ出すあっさりとした脂の甘味は、特製ポン酢との相性が抜群。同じ鶏からこれだけの味の変化を楽しむことができるのも魅力的だ。

ふっくら煮込んだ鶏は、とろとろのコラーゲンスープによく絡む。/笑顔が素敵な韓(ハン)店長。饒舌な日本語で部位の説明や食べ方を丁寧に伝授。食べやすい大きさにカットし、取り分ける手さばきはお見事。

余すことなくいただく贅沢な鶏料理

フツフツと煮込まれて柔らかくなった鶏肉は骨からホロッと外れ、鍋を食べ始めてから、さっきまで冬の寒さで凍えていた全身が指先までとてもポカポカしてくる。美容成分たっぷりの薬膳スープで身体があたたまるのも、うれしい限りだ。そして鶏肉はコラーゲンだけではなく、実は疲労回復や老化防止の成分「イミダゾール ジペプチド」が入っているのはご存知だろうか。主に骨格筋中に含まれるそれは、特に羽ばたくときに動かす羽の付け根に多い成分の魅力だ。こんな栄養がとれるのも鶏を丸ごと煮込む「タッカンマリ」ならでは。

さて、鶏を丸ごと堪能したあとのお楽しみはもちろん、〆の一品。ゆったりと溶け込んだ贅沢な鶏スープが出来上がった鍋からは、凝縮された香りが漂い、ちょうど良いタイミングでスタッフの方がやってくる。

韓国料理ではお馴染みのうどん「カルクグス」と6種類の野菜が楽しめる「うどんセット」と、古き良き韓国料理を日本人の舌に合うように表現したという「おじやセット」が用意されている。最後の一滴まで味わうのが「タッカンマリ=鶏一羽」の醍醐味だ。

野菜や自家製の天然調味料をたっぷりと使用した、体に優しい韓国料理が味わえる、ここ仁寺洞ならではのお得なセットは、女子会に大人気なのだとか。先ほどの“特製ポン酢”でいただくも良し、“ダデギ”という何百種類もある韓国の唐辛子の中から厳選した上質な唐辛子と、韓国味噌コチュジャンと、にんにくをペーストにした調味料などで旨辛に楽しむのも良し、シンプルに“カラシ”でいただくのも、これまた絶品である。

韓国のうどん、カルグッスは、濃厚スープによく絡み、もちもちとした食感とつるつるとした、のどごしがたまらない。/ヘルシーな、おじやセットは10種類の薬味で野菜も採れる、女子会に人気のメニューだ。

常連客が勧める逸品 ~デジクッパ~

仁寺洞オリジナル デジクッパ 1,575円 (ランチ980円)

仁寺洞オリジナル デジクッパ 1,575円 (ランチ980円)
美容効果抜群の一品。あまりの美味しさに食べ過ぎてボディーラインが崩れる方が続出中だとか。オリジナルメニューのため、ここでしか食べられないとっておきのお味。付け合わせの「小エビの塩辛」はたまらないアクセントに。お好みで青唐辛子やダデギを。

タッカンマリを引き立てる旨い脇役 ~韓国チヂミ~

チーズ海鮮チヂミ 1,974円

チーズ海鮮チヂミ 1,974円
まるでピザのような、ふわりとした食感のチヂミは、とても新鮮でいくらでも食べられそうな軽さに驚く。海老、あさり、イカ、ニラ、玉ねぎ、人参、ネギなどの海鮮と野菜がたっぷり入った海鮮チヂミにとろりとしたチーズをトッピングすることでまろやかに。コース料理でも食べられる。

このページで紹介したお店

韓国家庭料理 仁寺洞(インサドン)

韓国家庭料理 仁寺洞(インサドン) 【赤坂/溜池山王】

【営業時間】
ランチ <平日> 11:00~14:00
 
ディナー <平日・土・祝> 17:00~00:00 (L.O.23:00)
【定休日】
日曜日
【TEL】
03-3584-5788

編集後記

韓国で、日本食を勉強していたというグォン・ヨンハ シェフと、笑顔が爽やかでチワワを6匹も飼っているという世話好きなハン・ドンヒ店長。二人で切り盛りしている店内は、とても活気づいていて韓国人のお客様で賑わう本格的な韓国料理店だ。二人とも10年以上のキャリアを持ち、日本語がとってもお上手で、冗談などを交えながら楽しく取材ができた。
コテコテの韓国料理というより、素材本来の旨味をさっぱりといただく韓国の家庭料理といった印象で、日本人にも身近で食べやすいメニューが豊富。タッカンマリは、サラリとしながらも実に奥深い味わいに仕上がっていて、食べていくうちにいろいろな美味しさに変化し、終始飽きずに大満足できた。これは女子会におすすめしたい逸品になること間違いなし、と実感。翌日の化粧ノリが違う艶めいたプルプル肌を想像し、顔がほころぶ。
そして今回、ご紹介できなかった大人気のカルサムギョプサル。カルとは、包丁という意味で、かなり細かく丁寧に切り込みを入れて焼くスタイルが自慢のメニュー。この切り込み、ほどよい脂が肉に広がり、しっかりとした肉の重みや旨味が増すんだそう。食欲をそそるこのカルサムギョプサルを囲む日が、実に楽しみである。

編集担当:K.T.

韓国家庭料理 仁寺洞(インサドン)

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