相鉄線沿線に良いレストランが集まる理由

撮影:玉川 博之

2014年、弥生台にミクニヨコハマの支配人兼料理長を務めた難波秀行氏がフレンチレストラン【pétale de Sakura】をオープンしました。難波氏はなぜこの地を選んだのか。同プロジェクトの監修を務める山本秀正シェフとの対談を通じて、相鉄線沿線という地が注目される理由を探ります。 (2015年12月10日 聞き手 ヒトサラ編集長 小西 克博)

「良い食材と出会える環境はうらやましい。喜びが料理に滲んでいる」山本シェフ

  • 小西編集長今回、この対談の前に難波シェフの美味しいランチコースを堪能させていただきました。山本シェフはいかがでしたか。
  • 山本シェフすべての料理にクオリティの高さを感じましたが、2品目のお野菜をふんだんに使った前菜が素晴らしかった。僕はこの料理を食べて「このシェフは幸せ者だな」と感じました。
  • 小西編集長と言いますと。
  • 山本シェフ料理人にとって良い食材と出会えた時の感動に勝るものってそうないのです。嬉しくなれば、当然気分が乗ってくる。その喜びが2品目に表れているなって思ったのです。
  • 難波シェフ今回提供させていただきました前菜には、地元の農家の方から仕入れた野菜をふんだんに使っています。もとはフランスから帰国し、【ミクニ ヨコハマ】を任されるようになった時からの付き合いで、自分の店を出すときもこの野菜を使いたいと思っていました。それがこの地に店を開いたきっかけのひとつです。
  • 山本シェフ難波シェフのお眼鏡に叶う食材が周辺に揃っているわけだ。
  • 難波シェフそれぞれの食材の質の高さもありますが、それ以上に自分が良いと思った食材をつくる生産者の方のすぐ近くにいるという環境は魅力的だと思ったわけです。付き合いのある農家さんには電話やメールで「明日、畑をのぞかせてもらいますね」と声をかけて、自分好みの野菜を採っていける関係。近いので鮮度は当然良いですし、色味やサイズ感も自分好みのものを選べますからね。
  • 山本シェフ好きな時に好きな野菜を採っていけるって、それはもう自分の大きな庭だね(笑)
  • 難波シェフはい(笑) 通報されそうになっても、農家の方が「あの人は大丈夫だよ」って止めてくれる。そんな懐の深さ、温かみを感じる土地です。

山本 秀正シェフ

1956年東京生まれ。77年に渡伊。
ローマの国立ホテル学校を経てフランス料理の巨匠ロジェ・ヴェルジェ氏に師事、一時帰国を経て渡米。84年には【リッツカールトン ワシントンD.C.】の総料理長に就任。歴代三大統領(レーガン、ブッシュ、クリントン氏)の晩餐会総料理長を歴任。
帰国後も食のプロデューサーとしてグローバルに活躍中。「相鉄沿線名店プロジェクト」では監修を務める。

「この地は“弥生台フレンチ”を生み出すポテンシャルを秘めている」難波シェフ

難波 秀行シェフ

1974年岡山県生まれ。
ラ・ロシェル南青山の石井シェフに師事。
渡仏した際はブルターニュ地方の2つ星、パリの1つ星、3つ星レストランで部門シェフ等を務める。
2009年帰国。【ミクニヨコハマ】の支配人兼料理長を4年間務めた後に【pétale de Sakura】をオープン。

  • 小西編集長周囲に素晴らしい食材を手に入れられる環境があるというのは魅力的ですね。地元の食材を使う「地産地消」を、東京近郊で実践しておられる。
  • 難波シェフ「地産地消」って、解釈の分かれる難しい言葉だと思っています。誤解を恐れずに言えば、料理を楽しんでもらうことが第一ですので、地元の食材にこだわる必要はない。北から南まで日本には良い食材があるのだから、その都度、おいしいものを仕入れるべきだと思っています。
  • 山本シェフそうだよね。地産地消って言葉に縛られたら、料理人としては本末転倒になってしまう。
  • 難波シェフええ。私の場合、地元の農家の方と近い場所を選んだ理由のひとつは、“わがまま”を言いやすいから。そして、距離が近いからこそ生産者と料理人が、建設的な話し合いを通じて良いものをつくろうという方向に向かえるからです。
  • 山本シェフ難波シェフと生産者の方との切磋琢磨が、店を唯一無二のものへと昇華させているわけですね。
  • 難波シェフはい。それは農業生産者の方だけにとどまりません。先ほど食べていただいたバゲットはすぐ近くにある【BACKEREI TONGARTEN】でつくっていただいていますが、大きさや焼き加減など細かい部分までオーダーしていますし、「こうしたほうが良い」って逆に提案をいただくことがあります。同業の方も含め、皆から「良い街をつくっていこう」という熱い思いと協力姿勢が伝わってくる。何より私もこの近くに住んでみて地元愛の強さに驚かされています。だからこそ、この地で料理をつくり、店を続けていくことで他にはない独自の“弥生台”フレンチを生み出せるのでないかと自分自身に期待しています。

「素敵なレストランには街の文化度をあげる側面がある」小西ヒトサラ編集長

  • 小西編集長オープンから1年が経過しますが、お客様からの反応はいかがでしょうか。
  • 難波シェフベッドタウンであるこの地は舌の肥えた方が多く、期待込みのご意見もたくさんいただきますからおいしい料理を提供する甲斐があります。一方でやはり都心とは違う要望などをいただくこともあります。例えば、当店の場合、17時30分オープンなのですが、本当は18時オープンにしたかった。それでも、17時に店の前で並んでいらっしゃるお客様をみるとついつい前倒しでオープンしてしまう(笑)
  • 山本シェフそれだけ期待が大きいってわけだよね(笑) このエリアは接待などでおいしい料理を食べ慣れている方も少なくない。そういった方からすれば、都心まで出かけなくてもおいしいフレンチが食べられる、って聞いたら嬉しいもの。
  • 小西編集長最初に町ありきではなく、素敵なレストランがあることで街の文化度があがるという考え方もあると思うのです。いいレストランでは人は服装や言葉使いにお洒落をする。お洒落なライフスタイルはまさに文化で、それが街を豊かに変えていく。
  • 山本シェフ私が「名店プロジェクト」に賛同したのもそれに近い考えです。これから自分の夢を叶えたいという料理人に対してその場を提供し、沿線に食文化を根付かせたいという相鉄さんの考えにはこれからも協力を惜しみません。
  • 難波シェフ今後相鉄線は都心に乗り入れするわけですが、その頃には評判を聞きつけて遠方から沿線にあるお店を目がけて来ていただけるような街づくりの一旦を担っていきたいと思っています。そして、地元の方が自慢できる店でありたいと思っています。
  • 山本シェフ私も評判を聞きつけて本日はシンガポールから来ましたから(笑)

2人の名シェフに伺う
相鉄線沿線で気になっているお店

山本シェフが最近、気になった沿線のお店

緑園都市駅

酒と板そば ともしび

「呑んで、つまんで、蕎麦を味わえる」蕎麦屋の本来の姿を実践しています。酒肴と相性の良いSAKE、さらに蕎麦つゆも面白い。様々な世代のお客様がみんな笑顔、しっかり地域に根差していくという気概を感じました。

住所:神奈川県横浜市泉区緑園2-42
TEL:045-392-5880

難波シェフが最近、気になった沿線のお店

弥生台駅

BACKEREI TON GARTEN

当店のオープン以来、毎日焼きたてを届けていただいてます。パンそのものもそうですが、中川さんの職人魂に惚れ込んでいます。私もパンに恥じない料理をつくり一緒に弥生台を美味しいものが集まる街にしていきたいですね。

住所:神奈川県横浜市泉区弥生台26-2
Vell House 1F
TEL:045-443-6338

天王町駅

Gentillesse KOMACHI

特別な日に立ち寄りたい隠れ家的なお店。店の雰囲気はもちろん、料理や器にも「おもてなし」を感じます。料理のプレゼンも美しく、テクニックと共にメニュー構成も満足です。「ガーリックトースト」は、絶品。

住所:神奈川県横浜市保土ケ谷区
神戸町3-7 内田ビル 1F
TEL:045-331-2206

いずみ野駅

相澤良牧場
「オーガスタミルクファーム」

「ハマッ子牛乳」を飲んでいただき、ほかとの違いを実感してみてください。それを贅沢に使用したジェラートが食べられるお店です。季節の食材でアレンジしたフレーバーもあって迷っちゃうのも楽しみのひとつです。

住所:神奈川県横浜市瀬谷区阿久和南
3-11-11
TEL:045-744-7831

山本秀正シェフのお店

セストセンソ 銀座三越店

住所:東京都中央区銀座4-6-16 銀座三越 11F
営業時間:11:00~(L.O.16:00)
     17:00~(L.O.22:00)
定休日:元旦 ※銀座三越に準ずる日
電話:03-5524-6315

難波秀行シェフのお店

restaurant pétale de Sakura

住所:神奈川県横浜市泉区弥生台5-2
営業時間:11:30~15:00(L.O.14:00)
     17:30~22:00(L.O.21:00)
定休日:月曜日(要確認)
電話:045-443-5876

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