料理王国×ヒトサラ

料理王国とは?

  1994年の創刊以来一貫して文化としての「食」を見つめ、料理人が真に求める情報をいち早く伝える情報誌。
   プロの料理人はもとより、料理研究家、料理評論家、マスコミ、一般の食通まで幅広い読者をもつ。毎月公開される一流シェフの人気レシピは、料理人や料理研究家の情報収集に欠かせない。

料理王国
月刊誌『料理王国』の詳細/ご購入/定期購読のお申込み

title

 またたく間に秋が深くなり、ジビエのハイシーズンになりました。『料理王国』12月号の特集も「ジビエを極めよう」。銀座の二つ星『カーエム』の宮代シェフや、大阪・淀屋橋『ラ・ベカス』の渋谷シェフのジビエはじめ、ジビエの名店32を紹介しています。ところが面白いことに、編集部でその企画会議を終えたあと、一人の女性編集者がつぶやきました。「じつは私、個人的にはジビエはダメなんです」。
 こういう人、じつは結構多いんですよね。何を隠そう、私も十数年前、パリ郊外のバルビゾン村で初めて山ウズラをいただくまで、「ジビエ」は遠い存在でした。私をジビエ好きに変えた一軒のレストラン。それは1971年に昭和天皇も昼食を召し上がったという『Hostellerie Du Bas Breau(ホテルリー デュ バ・ブレオ)』のレストランでした。ゲスト帳にはエリザベス女王をはじめとして、『宝島』のスティーブンソンもここに滞在したと記されている老舗です。

photo

 ミレーの名画『落穂拾い』や『晩鐘』の舞台となったバルビゾン村は、 パリから南へ約60キロ。19世紀に急激に都会化したパリをのがれて、多くの画家が集った美しいイル・ド・フランスの村です。印象派と呼ばれるようになるモネやルノワールなども、ミレーやコローなどバルビゾン派の画家たちに影響を受けて、アトリエを出て屋外で制作するようになりました。
 そのバルビゾン村に 、1820年にオープンした名店で食べた山ウズラの、なんと美味しかったこと。1歳以下の若鳥をペルドロー(perdreau)と呼び、それ以上をペルドリ(perdrix)と呼んで区別するそうですが、私がいただいたのは正真正銘のペルドロー。「ジビエって美味しい!」。私は『バ・ブレオ』の山ウズラ以降、秋の声を聞くとソワソワ。すっかりジビエにハマりました。その時、一緒にパリ近郊を取材撮影して歩いたカメラマン氏も、いまだに「あの時のウサギの味は忘れられない」そうです。

photo

 こうしてジビエ歴を重ねた私が、今行きたいジビエのレストランといえば、真っ先に頭に浮かぶのは谷シェフの店『ル・マンジュ・トゥー』です。店名は「サヤエンドウ」の意味だと聞いたことがありますが、「全部食べられる」という意味もあるそうです。ジビエの季節、ウズラに詰まった香り高いトリュフ、山鳩やヤマシギ、蝦夷鹿や青首の鴨。ウイークデーは店に泊まり込んで料理のことばかり考えているという谷さんの、繊細にして斬新、格調高く優しくふくよかなジビエをいただくと、名シェフと同時代を生きることのできる幸せを実感します。

今回のコラムに登場したお店

  • shop-photo
    カーエム

    [東京/銀座]

    このお店の詳細を見る

  • shop-photo
    ル・マンジュ・トゥー

    [東京/市ヶ谷]

    このお店の詳細を見る

兵庫県出身。大学卒業後、出版界に。講談社の週刊パートワーク「ラミューズ」を創刊。「花百科」「地球旅行」「日本の街道」「20世紀シネマ館」「世界の美術館」などを次々手がける。2006年、出版社「青草書房」設立。杉本秀太郎、光田和伸、観世銕之丞、細川護煕ほかの著書を発行。(株)タミワオフィス代表取締役、青草書房(株)代表取締役。2012年秋より「料理王国」編集長。

料理王国編集長『今週の食コラム』 記事一覧

料理王国 ピックアップ店舗

shop-photo

レストラン サンパウ

[東京都/日本橋/スパニッシュ]

夜:~23000円

料理人:岡崎 陽介

このお店の詳細を見る

カタルーニャ地方の漁師町サン・ポル・デ・マルで、スペイン三ツ星レストラン唯一の女性シェフ、カルメ・ルスカイェーダがオーナーシェフを務める。カタルーニャの伝統料理に、女性らしい繊細さにあふれたコンテンポラリーなスパニッシュが楽しめる、日本では貴重な一軒。

shop-photo

レストレランテ スペインクラブ銀座

[東京都/銀座/スパニッシュ]

夜:~8000円

料理人:寺澤 久

このお店の詳細を見る

一歩足を踏み入れれば、そこはスペイン。床タイルからクロスまで、スペインより取り寄せた調度品が囲む空間のなかで、極上のイベリコ豚料理を。ディナーではエクセレントワインとともに「銀座のおもてなし」を堪能できる、銀座7丁目に相応しいスペイン料理のプレミアムレストラン。

shop-photo

月島スペインクラブ

[東京都/月島/スパニッシュ]

夜:~8000円

料理人:遠藤 裕久

このお店の詳細を見る

1994年のオープン以来、スペインの食文化を先駆的に発信し続けているレストラン・バル。40人前の巨大鍋で炊き上げる『パエリヤ』や定番タパス、アヒージョなど、本場仕込の伝統料理が多彩に楽しめる。2フロア200坪の広い店内では、スペインワインで乾杯し、大皿料理を囲む人々の活気に満ちている。

shop-photo

赤坂璃宮 銀座店

[東京都/銀座/中国料理]

夜:~20000円
昼:~5000円

料理人:譚 彦彬

このお店の詳細を見る

広東料理の第一人者として知られる譚 彦彬氏が腕をふるう「赤坂璃宮」。肉料理だけでなく海鮮料理が豊富なことでも知られ、フカヒレ、アワビ、ハタ、活車エビを使ったメニューの多様さは他の追随を許さない。

shop-photo

ヴィノ・ヒラタ

[東京都/麻布/イタリアン]

夜:~10000円

料理人:仁保 州博

このお店の詳細を見る

オーナーシェフの仁保さんが目指すのは「素材の良さを生かした、説明がいらないくらいシンプルな料理」。ワインバーとしても使えるよう、イタリアワインは約150種。ピクルスやレバーペーストなどおつまみも充実。

shop-photo

銀座うち山

[東京都/銀座/日本料理]

夜:~20000円
昼:~2000円

料理人:内山 英仁

このお店の詳細を見る

主人の内山英仁さんは旬の素材が持つ個性を見極め、それを引き出しつつ料理に昇華する腕は確かで、そのおいしさには、確かな技法と、理にかなった知恵が隠されている。食べれば誰もがそんな感想を抱く、日本料理の名店だ。

shop-photo

銀座 藤田

[東京都/銀座/天ぷら]

夜:~20000円

料理人:藤田 一休

このお店の詳細を見る

さまざまな一品料理や寿司、天ぷら、炊きたてご飯。そのどれもが最上級の味で供される。虎ノ門の寿司屋で長年料理長を務め、難しい客の要望に応えてきたからこそ実現できた新しい店の形だ。器まで気配りが行き届いているのはうれしいかぎり。

shop-photo

神戸北野ホテル
フレンチレストラン アッシュ

[兵庫県/神戸/フレンチ]

夜:~15000円
昼:~8000円

料理人:山口 浩

このお店の詳細を見る

バターや生クリームを極力控え、素材が本来持つ旨みを最大限に引き出し生かす、“水のフレンチ”を提唱。華やかで、食べ応え充分のコース料理は素材自体が持つ旨みを生かし、軽やかに仕立てた料理の数々が、舌の肥えたゲストを満足させる。

shop-photo

蕎麦と酒 旭

[東京都/西麻布/蕎麦・日本料理]

夜:~8000円
昼:~1000円

料理人:石井 伸

十割蕎麦の「純せいろ」に「二八せいろ」、太打ちの「田舎蕎麦」と品揃えは多彩で、季節限定の品もあり。定番の蕎麦前だけでなく、旬の鮮魚を使った刺身や天ぷらなど正統派の品や、食べ手のツボを突く一品もメニューに揃える。

shop-photo

中国料理 チャイナルーム

[東京都/六本木/中国料理]

夜:~20000円
昼:~5000円

料理人:中里 卓

このお店の詳細を見る

中国各地の代表的な料理や本格的な飲茶が食べられる。厳選された野菜や毎朝築地から届く新鮮な魚介をキッチンに配された水槽から取り出し、洗練されたプレゼンテーションで仕上げる。こだわりの食材を活かしたオーセンティックな中国料理。

shop-photo

Ristorante Borgo KONISHI

[奈良県/奈良市/イタリアン]

夜:~5000円
昼:~2000円

料理人:山嵜 正樹

このお店の詳細を見る

"毎日食べても飽きない味"をコンセプトに掲げた、イタリアの郷土料理が中心。イタリア南部独特製法で作る乾麺や、手打ちパスタの種類も充実でアラカルトの前菜などは一人でも、シェアしても味わえるように、2サイズが用意されている。心配りが嬉しい、通いたくなる一軒だ。

shop-photo

レストラン シマムラ レスプリ・ド・ミクニ

[広島県/広島/フレンチ]

夜:~10000円
昼:~5000円

料理人:島村 光徳

このお店の詳細を見る

広島牛や、東広島市の自然農法で育てられた野菜、広島菜を練り込んだバケットまで自家製。地元民も知らないような広島のめぐみを華やかなフランス料理のコースにふんだんに盛り込んでいる。この店ではここでしか味わえない食の楽しみが待っている。

shop-photo

レストラン ル・ジャポン

[東京都/代官山/フレンチ]

夜:~10000円
昼:~5000円

料理人:中田 耕一郎

このお店の詳細を見る

ベースとなる手法は王道のフレンチだが、オーナーシェフ中田耕一郎さんは 「日本人である僕を通して『おいしい』と思えるフレンチを出せばいい」と語る。その言葉どおり、“実のある”おいしさが中田さんの料理には宿っている。

Back to Top