『ラーメン大好き小泉さん』
この作品はあえて乱暴に言うなら、クールでミステリアスな美少女女子高生・小泉さんが、毎回ひたすらラーメンを食べるだけのマンガ…!
ラーメンと小泉さんを軸にストーリーが進んでいきますが、基本はおいしそうにラーメンをすする小泉さんを鑑賞し、小泉さんが選んだラーメンの魅力を存分に堪能するためのマンガなのです。
実在する有名チェーン店がモデルのラーメンが多数登場!
この『ラーメン大好き小泉さん』という作品、主人公である小泉さんや、小泉さんのことが気になってしょうがない同級生の大澤さんを中心とした、女子高生たちが織り成すほっこり日常系マンガのテイストもあるのですが、最大の特徴はそこではないのです。
そう、最大の特徴は、本作に登場するラーメンが、この現実世界に実在すること…! はっきりと店名は出さないものの、ラーメンのビジュアルや店舗外観・内観のビジュアルをほぼ完全再現しており、明確にモデルにしているラーメン店が存在しているんですよね。
例えば、第1話「ヤサイマシニンニクアブラカラメ」で小泉さんらが食べるのは、あの最強ガッツリ系ラーメンがモデル。そう、麺が見えないほど山盛りのモヤシとキャベツ、ダイナミックに切り落とされた「ぶた」(チャーシュー)、力強い食感のある太い麺で、ガッツリ系の代名詞ともなっているあのお店です!!
ちなみに第1話タイトルにある、複雑な呪文のような注文方法も醍醐味ですが、小泉さんはまさに「ヤサイマシニンニクアブラカラメ」の呪文を唱えていた模様…。
その他にも、第3話「こってり」では『天下一品』、第5話「北極」では『蒙古タンメン中本』、第8話「味集中カウンター」では『一蘭』といった具合に、ラーメンファンならば誰もが知っている有名チェーン店が続々と登場するんですよ。
日本には多種多様なラーメンが存在しますが、本作では全国各地のラーメンを網羅する勢いで紹介されていきますので、必ず自分好みのラーメンが見つかることでしょう!
ラーメン好き女子に“一人ラーメン”の勇気を与えてくれる
さて、ここからは本作の別の見どころにもフィーチャーしていきましょう。
まず、美少女・小泉さんが、臆することなくラーメンを前に臨戦態勢に入り、「がふ」「ずるっずるずるずるっ」「がっがっ」「ずずず」「ごっくん」といった豪快な擬声語とともに、ラーメンに立ち向かっていく様は……爽快!
もちろんその特徴がリアルに再現された、モデルとなっている店のラーメンのこだわりや味や食べ応えの解説があり、そのうえで一心不乱に食す小泉さんの姿が描写されるため、食欲をそそられることは間違いありません。ですが、食欲をそそられるという次元とは別に、美少女とラーメンというギャップに間違いのない爽快さもあるのです。
しかし、このコラムでそれ以上に伝えたいのは、本作がラーメン好き女性に与えた影響! 本作がラーメン好き女性に与えた勇気の大きさを、ぜひとも称えたい…!!
最近はだいぶ入りやすい店舗が増えてきましたが、やはりラーメン業界全体を見ると、ラーメン店の客層は男性がまだまだ圧倒的に多いでしょう。ラーメンが好きでラーメン店に入りたい気持ちはあっても、もう一歩の勇気が出ずに足を踏み入れられないという女性も少なくないはず。
けれど、本作の主人公である小泉さんをご覧ください。女子高生がたった一人でも、何の迷いもなく男性だらけのラーメン店の行列に並ぶし、通されたカウンター席でなんの恥じらいもなく、本能の赴くままにラーメンをかっ喰らうのです。
そう、その小泉さんの雄姿を見て、自分も一人でラーメン店に行ってみようかなという勇気が湧いた女性もいることでしょう! ラーメンが好きだけど、今まではなかなかラーメン店に行くことができなかったという女性にこそ、本作を読んで小泉さんからたくさんの勇気をもらってもいただきたいものです。