1. ヒトサラ

【おせち特集】創業150年の老舗で聞いた
かまぼこの「うんちく」

新しい年の幕開けを飾る、おせち料理。その主役とも言えるのが、紅白のかまぼこや伊達巻です。今回向かったのは、かまぼこの生産が盛んな神奈川県小田原市。1865年(慶応元年)創業の老舗かまぼこメーカー「鈴廣かまぼこ」で、知られざるかまぼこの世界をのぞいてきました。
取材に協力いただいたかまぼこの老舗「鈴廣かまぼこ」 取材に協力いただいたかまぼこの老舗「鈴廣かまぼこ」

■お魚6匹=かまぼこ1本!?

お魚6匹=かまぼこ1本!?

かまぼこづくりは、お魚から骨や皮を取りのぞき、肉を取るところから始まります。次に、魚肉を水にさらして余分な脂や血を取りのぞく「水さらし」という工程があります。この工程こそ、かまぼこの色が白くなる秘密。その後、よくすりつぶして味を整え、「すり身」をつくります。板につけるなどの「成形」という作業を行い、蒸したり焼いたりする「加熱」を経て、最後に冷却をして完成となります。

鈴廣では、1本のかまぼこを作るために6~7匹ものお魚を使っているそうです。たくさんのお魚の栄養をぎゅっと閉じ込めたかまぼこは、とってもヘルシー。たんぱく質が豊富で、低脂質なのが特徴です。また、たんぱく質はアルコールの分解を助けるので、お正月のお酒のお供にもぴったりというわけです。

■超難関!かまぼこ職人の国家資格がある!?

超難関!かまぼこ職人の国家資格がある!?

鈴廣かまぼこの本社に併設されている「かまぼこ博物館」では、職人たちの作業を窓越しに眺めることができます。「板付け包丁」と呼ばれる、刃のない包丁を自在に操り、すり身を次々に板につけていく職人たち。その華麗な包丁さばきは、惚れ惚れしてしまうほど。機械化が進んでいる現代でも、伝統的な製法は脈々と受け継がれています。

数多い職人の中でも最も高い技術を持っているのが、「1級技能士」と呼ばれる人々。正式には「水産練り製品製造技能士1級」という国家資格です。合格率が3割程度といわれる難易度の高い試験で、しかもチャンスは2年に1回。その難関をクリアした人物だけが、一流の職人と認められるのです。ちなみに、「2級」の資格は都道府県知事が認めるもので、若手職人の登竜門となっています。

■「赤は右」「伊達は『の』の字」が美しい!

「赤は右」「伊達は『の』の字」が美しい!

ではなぜ、お正月に紅白のかまぼこを食べるのでしょうか。それは、「清浄」を意味する白と、「魔除け」を意味する赤の両方を食べることで、健康な一年を願うため。また、赤いかまぼこは日の出をイメージさせるので縁起がよいとされているのです。

かまぼこを盛りつけるときに実践してほしいのが、「白が左側、赤が右側」となるように並べること。これは、「右側に華やかなものを据える」という、日本古来の「右紅左白」(うこうさはく)と呼ばれる慣習によるものです。確かに、ひな人形も向かって右側にお雛さま、水引も赤が右側になっていますよね。

ちなみに、伊達巻を食べる理由には諸説あります。「巻物を連想させるので、学問や教養を深めるという願いがこめられている」などといわれています。また、伊達巻を盛り付けるときは「の」の字になるようにしましょう。かまぼこの「右紅左白」と合わせて実践すれば、見た目にも美しいおせちになります。

■ミリ単位!かまぼこの「おいしい厚さ」って?

ミリ単位!かまぼこの「おいしい厚さ」って?

板かまぼこをおいしく味わうための大切なポイントの一つに、厚さがあるのをご存じでしたか? 鈴廣かまぼこでは、12mmを「おいしい厚さ」としているのだそうです。長年の研究の結果、かまぼこが持つ弾力やみずみずしさを味わえるベストな厚さとして、12mmという結論に至ったんだとか。板かまぼこで最も一般的な「小板」と呼ばれるサイズの場合は、10等分に切ると12mmになります。

「おいしい厚さ」に切ったかまぼこは、そのままで食べるか「板わさ」にするのがおすすめです。ポイントは、醤油をつけないこと。わさびを少しつけてかまぼこ本来の味わいを楽しみましょう。日本酒との相性はバツグンです。そして、ちょっと趣向を変えてオリーブオイルをかけていただくのも粋。ワインとのマリアージュも絶妙です。

■「かまぼこ板」の意外なチカラ

「かまぼこ板」の意外なチカラ

板かまぼこを一度に食べきれないとき、どんなふうに保存していますか? じつは、「板につけたまま」保存するのがベストです。モミの木などからできているかまぼこ板。かまぼこの水分を調節して、カビや細菌が繁殖しにくい状態を保つ役目があるのです。そのチカラを生かさない手はありません。

最初に、食べる分だけ12mmずつ切れ目を入れたら、包丁の刃ではなく「背」を使って、板からはがすのが王道。気持ちがいいほどキレイにはがれていきます。残ったかまぼこは、ラップで包むか、タッパーなどに入れて保存しましょう。鈴廣かまぼこでは、「かまぼこ専用ケース」をオンラインショップなどでかまぼことセットで販売しているそうです。

■飾り切りで、「魅せる」おせちに

飾り切りで、「魅せる」おせちに

最後にご紹介するのは、かまぼこを「魅せる」裏ワザです。最初は食器。おせちといえば、お重や大皿に盛りつけるイメージですが、さまざま色の小鉢や小皿に少しずつ盛りつけるのも手。また、ぐっとシックな印象になる黒いお皿を使うのもおすすめです。

そしてもう一つが「飾り切り」です。包丁で切れ目を入れて、折ったり結んだりすることでおせちを華やかに演出できます。中には難易度の高いものもあるのですが、ここでは誰にでもできてキレイに仕上がる「市松」を紹介しましょう。12mm幅にスライスした紅白それぞれのかまぼこを、半分に切ります。そして、互い違いになるように並べるだけ。写真右上のお皿に乗っているのが完成イメージです。

まとめ

お正月を美しく彩る、紅白のかまぼこ。その一切れは、たくさんのお魚と職人たちの手仕事の結晶です。老舗メーカーに教えてもらったおいしい食べ方や美しい盛りつけ方を実践すれば、おせちがもっと楽しくなるはずです。

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取材協力
鈴廣かまぼこ株式会社
取材・文
佐藤史親

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