第70回:「アイアンシェフ」
かつての人気テレビ番組「料理の鉄人」の復活版にあたる「アイアンシェフ」で、フレンチのアイアンシェフとして出演していた須賀シェフ。パリ、台湾、シンガポールなど世界各国のロブションの立ち上げなどの仕事の合間を縫って収録に挑んでいという多忙の日々。事前情報も全くなく、本番1時間という限られた中ですべての料理を完成させ、勝負に勝たなければならないという緊張感の中、須賀氏が感じた「面白さ」がそこにはあった。収録の裏側や、須賀氏のずっと言えなかった本音を伺った。
「アイアンシェフ」として
――日本では須賀さん=アイアンシェフとしても有名だと思いますが、どうしてオファーを受けられたんですか。
須賀:2013年から始まった番組で、2012年に小山薫堂さんからオファーを頂いていたんですが、その頃パリのロブションにいた頃だったので、最初ロブション氏に相談したときは「こんな各国回っているのに、どうやってスケジュールマネージメントをするんだ」とNOと言われたんです。でも、僕自身日本で活動したいという意識もあった頃だったので、挑戦してみたかったんですよ。それで、ロブション氏に年内だけの参加という条件でOKをもらって。なのでその頃はパリからだけでなく、台湾、シンガポール、バンコクの各国から日本に2,3日だけ滞在して収録してさっと帰るというスケジュールで動いていました。
たった1時間の大勝負
――ある程度台本とか、メニューとか決められていたんですか。
須賀:もちろんすべて自分で考えてつくらないといけなかったです。テレビの方的にはハプニングがあった方が面白いので、本当に事前に何も教えてくれないんですよ(笑)。1時間で6人分の量を火口も限られた環境でつくらなければならない、1つ失敗したら何も成り立たなくなるという緊張感の中で、どういう食材がきても対応出来るような副食材を頭の中に入れて構築していましたね。僕にとってはいい意味でチャレンジ出来た面白い番組でした。ただ、有名な方々が出つつあるタイミングで終わってしまったので。なかなか出たがらない人も多かったみたいですね。でも僕は「なんだかんだ言う前にかっこよく、勝負したらいいじゃないですか」と嗾けていたんですけどね(笑)。また同じようなチャレンジが出来るようなものがあれば、面白い化学反応があるのではないかなと思います。