自然体であるからこそイノベーティブ
辺境から吹く和食界の新風
【魚菜料理 縄屋】 吉岡 幸宣氏 日本料理
京都府の日本海側、京丹後市にありながら、関西圏の食通たちから、必ず行くべき店として上げられる【魚菜料理 縄屋】。食材の良さを活かすことだけ考え自然体で料理に向かいながら、最先端のイノベーティブに比類する料理はどこから生まれるのか。ご主人・吉岡幸宣さんのヨコガオに迫りました。
自然体であるからこそイノベーティブ
辺境から吹く和食界の新風
京都府の日本海側、京丹後市にありながら、関西圏の食通たちから、必ず行くべき店として上げられる【魚菜料理 縄屋】。食材の良さを活かすことだけ考え自然体で料理に向かいながら、最先端のイノベーティブに比類する料理はどこから生まれるのか。ご主人・吉岡幸宣さんのヨコガオに迫りました。
――これだけ都市から遠い場所にありながら、高い評価を得ているのは、どんなことが理由だと考えていますか。
そうですね、基本的には【和久傳】さんで働かせていただいたことが大きかったと思います。そのときに培った人との繋がりから来てくださったお客さんから、どんどん広がっていったので。お客さんに恵まれたということだと思います。
料理としても、【和久傳】でやっていたことを忠実に再現できるような考えが基本なんですが、ただ、食材は真似をしようがない。日本各地から集めてくる食材を使うのは無理があるので、地元で採れるものの中から、どうやって近いものができるかってことをずっと考えていましたね。
――そもそも京都で仕事を続けるという選択肢はお持ちではなかったのですか?
いや、ずっとこっちには帰ってこようとは思っていました。もともと両親に連れられて海だとか山だとかに食材を採りに行ったりして、その味が僕の料理人としての原点なんですね。春は木の芽やゼンマイ、フキなどの山菜を採りに行って母親が料理してくれたり、海で獲ってすぐのサザエやウニなどを海水で洗って食べたり。そういう美味しさというのは、京都で修行していたときでも、どんな高い食材よりも美味しいと思っていたんですよね、だから、そういう美味しさを出せる料理というのは、この場所でしか考えられませんでした。都会ではなかなか難しいなっていうのはありまして。
――設えや器などにもこだわりを感じます。
そうですね。設計士の方は入っていますけど、デザインはほとんど僕が考えて。椅子は、徳島の宮崎椅子製作所さんまで直接出向いて、『エムエムチェア』というシリーズをカスタムしてもらいました。座面のかたちと柿渋を塗っていただいたなめし革の仕様は、うちの特注です。机も、地元の建具屋さんにこういう形でと伝えて作ってもらって。 器も、地元の浅田尚道さんという作家さんのものを中心に使っています。非常にクオリティが高いのですが、地元の土を使って作陶するというスタンスも好きです。
――店の佇まいからしてもかなり斬新だったとは思うのですが、こういうスタイルが成り立つようになったきっかけはあるのですか。
最初は32歳という若さで店を立ち上げたので、「これだけやったら来るだろう」というぐらいの勢いだけでしたけどね。実際にお客さんが入ってきたのは、やっぱり徐々にです。旅館などは海岸沿いに結構あるんですけど、田舎でもきちんとした設えをして、本物の料理と言いますか、それを美味しく食べていただけるお店があってもいいんじゃないかなと常々思っていたんです。土地柄、魚料理や蟹料理などをうまく出しているところは多かったんですけど、お野菜と一緒に組み合わせる料理を出す店は少なかったので、そういう美味しさを地元の人にも知っていただきたいという気持ちもありました。
――魚そのものへの味付けは最低限にして、野菜で味を足していくという使い方は、最先端を行くイノベーティブな料理にも通じるスタンスだと感じました。
特に奇をてらっているわけではなく、うちは旬の食材を美味しく召し上がっていただきたいというのがいちばんでして。その一つの方法として、あまり経験したことのないような食感だとか、ジューシーさだとか、素材が持っている持ち味とかをできるだけ引き上げるような感じのお料理を目指しています。なので、美味しい野菜から出るダシ、辛味だや苦味なども一緒に合わせて召し上がっていただけるような仕立てにすることが多いのは確かです。
――あまり野心はない方なんですか。
そうですね。僕は、自分がやっている料理に関わっている人たちが、しあわせになってくれたりとか楽しみが増えてくれたりしたらいいなぁというくらいしか考えてないんです。地域の人や生産者さん、来ていただくお客さんもそうですし。そんなに大それた目標はないと言いますか、もっと自然に美味しいものを楽しんで、お酒も飲んでわいわいできるような場所になれたらいいなくらいのものですね
(2016.5.24取材)
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