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世界の文化が交錯する国で
体験する新しい味
最新!
シンガポールで
行くべき
トップレストラン
Hitosara special

交易によって食材を調達し、食文化を独自に発展させてきた国シンガポール。
まだ若い国だからこそ、その進化のスピードは速く、エネルギッシュで刺激的だ。
『2019年アジアのベストレストラン』No.1に輝いた【オデット】のフランス人シェフをはじめ、
人気レストランの料理人の国籍が様々なのもこの国らしいところ。
アジアで随一のメルティングポット、シンガポールを今味わうなら、この5軒へ。

Photographs by Lin Minglong Desmond / Coordination&Text by Kyoko Nakayama / Design by form and craft Inc

  • 炭で焼いた金目鯛、発酵させた白アスパラガスを加えたブールブランソースに、コシヒカリの玄米とウォールナッツミルクのリゾット。
    上には生のバフンウニを乗せて

    Zen ゼン

    ミシュラン初登場で二ツ星獲得
    日本食材を生かしたモダン北欧料理

     今年初登場ながら、ミシュラン二ツ星を獲得した【Zen】。スウェーデンの三ツ星、【Frantzen】の世界で唯一の姉妹店だ。名前は、レストラン名でもあるビョーン・フランツェン氏の苗字の最後の3文字から。2018年11月のオープン、その前から、あの【Frantzen】がシンガポールに姉妹店を開くらしい、という噂は食通たちの間で持ちきりだった。場所も、惜しまれつつ閉店した、シンガポールを代表するモダンフレンチ【Restaurant Andre】なのだから、注目が集まらないわけがない。
     一歩足を踏み入れると、ウッディな内装に、懐かしい90年代のBGMにどこかほっとする。ショップハウスと呼ばれる間口が狭く奥行きがあるシンガポールの伝統建築を生かした3階建ての建物の構造を生かして、まずは1階でキッチンツアーとアミューズ、2階で食事、3階でデザート(お好みで葉巻も)という流れになっている。階段の踊り場に並ぶのは、開店1年前から準備していたという発酵食品の瓶。北欧の伝統である発酵は、料理やドリンクに生かされており、ワインや日本酒を取り混ぜたアルコールペアリングのみならず、発酵ジュースも加えた、アルコール・ノンアルコールミックスのペアリングが選べる。
     【Frantzen】との大きな違いは、食材。スウェーデンでも、乾物や調味料などを中心に日本食材を使っているものの、シンガポールでは、日本の魚介類や和牛、フルーツなどが、日本とほぼ時差なく手に入る。生鮮食材の半分以上が日本のものだ。とはいえ、スウェーデンの伝統料理がベースになっている皿も多く、味のバランスはあくまでも重層的に凝縮した旨味を重ねた北欧的のもの。「日本料理のシンプルさ、そして食材の尊重する姿勢を取り入れたい。大切にしているのは、深い旨みとメイラード反応」とシェフのトリスタン・ファーマー氏。例えば、キッチンの入り口に釣り下がっているのは、日本の鰹節の作り方からインスピレーションを得て、豚肉をみりんや醤油に10日間漬け込んでから、冷燻し、100日間乾燥したのちスモークして作った「豚節」。ほかにも塩を4.2%と強めにして、6ヶ月間長期エイジングしたという、オリジナルのオシェトラ・インペリアルキャビアなど、時間の経過で凝縮した旨味を、備長炭による炭焼きなど、シンプルに調理した日本食材に重ねていくスタイルだ。 
     そして、特筆すべきは、基本的にどの皿も、テーブルサイドで仕上げられること。厨房スタッフとのコミュニケーションも生まれるサービススタイル。「3階建てだから、厨房との距離がどうしても出てしまう。だったら、自分たちがそばに行けばいい、と思って」とトリスタン氏。極上の食材、北欧のオリジナリティあふれる発酵技法、そしてフレンドリーなサービスと3点揃った注目店だ。

    • 【Frantzen】とおなじ唯一のメニュー。サワードゥのパンに、トリュフと卵の衣をつけて揚げ、グリルした玉ねぎ、パルメザンカスタード、25年間もののバルサミコ酢をかけてから、たっぷりと黒トリュフをスライスして
    • 鰹昆布出汁の代わりに、自家製の「豚節」の出汁を使い、牛乳とクリームを加えたベースにトリュフと昆布をインフューズして作った茶碗蒸し。タラバガニ、フォワグラを入れ、上にワイルドガーリックの葉とキャビアを乗せて
    • 北欧ではレモン代わりに使われるという酸味の強いベリーの一種、シーバックトーンや、シンガポールらしいカフィアライムの葉なども並ぶ
    シェフの流儀 トリスタン・ファーマー氏

    “発酵”は北欧に行って見つけた新しい発見。まだまだ研究中です。年に数回シンガポールに来るという【Franzen】ビョーン氏と共に、シンガポールだからこその、アジアにあるモダン北欧料理のスタイルを確立していっています。

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