軽井沢、避暑地で味わう最高の晩餐 | ヒトサラ
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エルミタージュ・ドゥ・タムラ
- 鬱蒼と茂る深緑が店を覆い隠すような隠れ家レストラン。メインダイニングのほか、個室やテラス席なども用意されており使い勝手も抜群
- どの席に座っても周囲の緑が望める店内。別荘風の空間も雰囲気を盛り上げる
- 日本にフランス料理の文化を根付かせたひとり、田村良雄シェフが厨房を仕切る
- ヨーグルトの酸味と桃の香りが爽快感を生み出す『桃の冷たいスープ』
- 鮎のほろ苦さを楽しむ『アユのパートフィロ巻フリット サラダ仕立て、キューリのソース』
エルミタージュ・ドゥ・タムラ
0267-44-1611 住所:長野県北佐久郡軽井沢町長倉820-98
営業:12:00~L.O.13:00/18:00~L.O.20:00
休日:月曜、火曜は不定休夏に出合える珠玉の味。
フレンチの巨匠の傑作を
軽井沢らしい味。そんな料理を探している人に、ぜひ試して欲しい料理がある。それが【エルミタージュ・ドゥ・タムラ】で夏の間のみ供される『桃の冷たいスープ』だ。毎年初夏から9月上旬まで季節限定で味わえる同店のスペシャリテは、九州から山梨まで国産の桃が手に入る期間のみ供される特別なひと皿。驚くべきは、その味だ。熟れた桃の香りはそのままに、味わえばすっきりとコンソメが広がる爽やかなスープになっている。ひと口目は甘い桃の香り、ふた口味わえば丁寧に抽出したコンソメが顔を出す、三口目にはそれらが一体となり味蕾に夏を届けてくれる不思議なスープなのだ。
「熟れて香りは甘い桃そのままなのに、味はスイーツではなく、しっかりスープに。そこが肝かな。毎年、この味を楽しみに、軽井沢を訪れる常連さんも多いです」
桃をくり抜き器としたアイデアも、それを冷やして供する感性も、すべては長きに亘り日本のフランス料理を支えてきた田村良雄シェフのオリジナル。渡仏での経験や西麻布で人気を博した【ラフェドール】のオーナーシェフを経て、辿り着いた夏の味わいなのだ。
高原の緑に包まれる別荘のような店内で、夏のみ出合えるひと皿を味わいに向かう。軽井沢を象徴するようなフレンチは、誰もに口福を運んでくれる一軒だ。 -
ブレストンコート ユカワタン
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ベーカリー&レストラン沢村
- ベーカリーの統括責任者・森田良太さん。「多くの小麦をブレンドして生み出したパンが、目的の料理と相性が良いと嬉しくなります」と頭の中は常にパンのことばかり
- たっぷり野菜が人気の『ニース風サラダ』は生の鮪からツナをつくるなどこだわり満載
- 皮はパリッ、中身はジューシーな『Sawamuraフライドチキン』。つまみとしても美味
- 焼きたてのパンの香りが立ち込めるベーカリーを併設
- 人気のハルニレテラスの中でも、常に多くの人で賑わう
料理が何倍にも旨くなる、
パン屋がつくったレストラン明治時代初期から国内屈指のリゾートとして独自の文化を育んできた高原の避暑地・軽井沢。欧米文化の影響を色濃く受けているのもこの街の特徴で、焼きたての香り高いパンもそのひとつ。実は軽井沢、この地を訪れる目的に挙げられるほどのパンの名店が各地に点在しているのだ。今回ご紹介する【ベーカリー&レストラン沢村】もその代表格。朝7時のオープンに合わせて焼き立てパンと珈琲を買いに来る別荘族はもちろん、こちらでは香り高いパンに料理やお酒を合わせて楽しめるレストランが併設されているのも特徴だ。
「20種以上のこだわりの小麦粉を使い、パンはそれぞれの個性を引き出すようにブレンドしています。料理にしてもパンとの相性を考えぬき、すべてオンリストしているんです」
とは、ベーカリーの責任者・森田良太さん。そうなのだ、同店はベーカリー担当と、レストランの担当が店内で共存。互いの商品を熟知した上で、最適な料理、最高のパンとして、常にブラシュアップしているのだ。
だから赤身100%、牛肉のパティに合わせたバンズは、ふわふわの驚き食感。バゲットを最大限に楽しめるよう生み出された「アヒージョ」は、ソースだけでもパンが進む進む。たかがパンと侮る無かれ。軽井沢の焼きたてパンは、料理と合わせることで、その魅力を何倍にも広げる、この地らしい絶品グルメになっているのだ。 -
MODESTO
- 森の中に佇む小さな店だが、周囲を緑に包まれ実に軽井沢らしい一軒。モデストとは謙虚の意で店主の店に対する思いが込められている
- 新玉のやさしい甘みを引き出した『新玉ねぎのブランマンジェ 生ウニとコンソメゼリー仕立て』
- アスパラの滋味を伝える『白アスパラガスのボイル カルボナーラソース パルマ産生ハム添え』
- 近隣の直売所を周り仕入れる野菜。みずみずしい味わいをそのまま料理に
- 野菜の旨味を引き出す繊細な味わいを得意とする堀内耕太シェフ
土着のイタリアンを目指し
夫婦で紡ぐ小さな名店「のんびりできたと言ってもらえて、軽井沢らしい美味しいイタリアンが提供できれば嬉しいですね」
穏やかな表情でそう笑うのは【モデスト】のシェフ・堀内耕太さん。確かにその言葉通りの店なのだ。店は大通りから少し入った森の中に佇み、天気が良ければテラスも利用できる閑静な立地。まさに高原の避暑地と呼ぶに相応しく、緑に包まれるような食事は、本当にのんびりできる。そして料理。野菜本来の味を追求したイタリアンの名店【カノビアーノ】や渡伊経験などで、研鑽を重ねたシェフの料理は、まさに土地の滋味を引き出す味付けが特徴。そうなると高原野菜が美味しい軽井沢。自ずと料理は野菜を多用し、身体に優しい味わいが浮かび上がってくる。毎朝その日の野菜を直売所を周って仕入れ、すぐさまランチで披露する。そんなこの地に根ざしたイタリアンは、オープン直後から予約で席が埋まっていく。
それに寄り添うのが奥様セレクトのワインの数々。イタリア産とフランス産を中心に、シェフの料理を引き立てるセレクトは、まさに仲睦まじい夫婦二人三脚の賜物。時に贅沢なワインもグラスで供すなど、シェフを支える奥様の人柄が現れたようなラインナップが嬉しくなる。
緑が間近に迫る空間に憩い、身体に優しい料理に舌鼓を打ち、美酒に緊張を解きほぐす。そんな小さな名店が軽井沢には隠れているから面白い。 -
軽井沢 川上庵
- 軽井沢の目抜き通りにのれんを掲げる蕎麦店だが、店内はシックな設えでしっとり大人の空間に。開放的な大きな窓の先には周囲の緑がよく望める
- 特大の殻付き海老と旬の野菜をてんぷらにした『天せいろ上』
- 『自家製そば味噌』は蕎麦粉に鴨肉のミンチを加えコクをプラス
- 毎日使う分だけを自家製粉する香り高い蕎麦を茹でたてで提供する
- 燗酒におすすめの水尾、ぬる燗にしたい垂氷など、日本酒も充実
行列ができる蕎麦店は
やはり軽井沢屈指の実力「気の利いたつまみで一杯飲んでもらい、〆にせいろを一枚。そんな江戸時代の蕎麦屋のように使っていただけたら嬉しいですね。もちろん、蕎麦をサクッと一枚食べていただくのも大歓迎です」とは軽井沢屈指の人気店【川上庵】の統括責任者である笹田明裕氏。
目抜き通りである軽井沢銀座の入口、続々とこの店に引き込まれていく蕎麦好きが実に多いことに驚く。週末ともなれば一日を通して140席を備える広い店内は常に人で賑わっているのだ。そして、手慣れた常連であれば、まずはこの店でゆっくりと酒肴を楽しむ。例えば、11種類の野菜を使った『朝どれ地野菜のサラダ』。とれたての野菜に豊富に揃う地酒を合わせるだけで、絶妙にマッチするのだが、そこにはドレッシングに田舎味噌を加えるなど信州の恵みが隠し味に効いている。例えば、『鴨のロースたたき』。皮目をしっかり、肉はしっとりと火を入れた京鴨は、鴨の鉄分を感じる味わいで、赤ワインが欲しくなるのだ。そう、豊富に揃うつまみは、そのどれもがこだわりの酒肴ばかり。そしてそれをしっかり支える日本酒、ワイン、焼酎と、美酒の数々も盤石の布陣で手招きする。
気持ちが良くなった頃合いに、キリリと冷えた蕎麦が登場し、酔いを少し冷ましてくれる。それが同店の白眉なのだから、思わず笑みがほころぶ。蕎麦までのつまみに喜び、蕎麦の味に納得。心地の良い店内、気がつけばゆっくりし過ぎてしまうことだけは注意されたし。
※このページのデータは、2015年9月上旬取材時のものです。メニュー、営業時間、定休日などの情報は変更されることもございますので、あらかじめご了承ください。